【特集】エネルギーの街・柏崎「地域エネルギー会社設立に向けた動きに加え、風力発電計画も浮上」


柏崎市役所

石油で栄えた街

新潟県柏崎市のエネルギーの歴史は古く、西山地域における石油は、日本書紀に、越の国より「燃える水、燃える土」を献上したと記されているほどだ。また市内にあった西山油田は、かつて新潟県の新津油田、秋田県の八橋油田と並んで日本三大油田とされ、明治末から大正時代にかけて栄えたという歴史がある。

さらに明治32年、当時日本最大の規模を誇った日本石油柏崎製油所が建設され、同時に日本石油本社も柏崎に移転、大正3年東京へ本社を進出するにいたるまで約16年間、柏崎に本社を構えた。

製油所は、昭和7年に油田の副産物だった天然ガスを求め理化学研究所(株式会社リケン)が進出するなど企業進出という恩恵ももたらした。また、同社が開発した自動車ピストンリングの製造が昭和初年に始まり、鉄工業の発達を促した。

現在でも東京電力刈羽・柏崎原子力発電所があり、柏崎市は昔からエネルギーとは切っても切れない関係にある。

 

地域エネルギー会社設立へ

そんな柏崎市で現在、地域エネルギー会社の設立に向けた動きが出ている。

柏崎市では平成30年3月に「柏崎市地域エネルギービジョン」を策定し、2030年頃からをメドに「脱炭素のまち」を目指しているが、この一環として、再生可能エネルギーと原子力が共存する社会を目指しており、市では、地域エネルギー会社をビジョンの実現に向けた最重要組織として位置付けている。

2020年8月末に柏崎市、東京電力ホールディングス株式会社、東北電力株式会社、ENEOSホールディングス株式会社、国際石油開発帝石株式会社、地元金融機関などが集まり、初の設立検討・準備会を柏崎市内で開いた。

令和3年頃に第4回の会合を開く予定で、それまでにどの企業や自治体が会社の主体になるかなどや、資本比率などを検討し、地域エネルギー会社を令和3年度の後半をめどに設立する計画だ。

当初は公共施設の一部に電気を供給し、計画では2025年をめどに公共施設や市内の事業者などへ拡大、その後、市内外へも広げる方針だ。

柏崎市の目指す将来像(柏崎市資料より)

柏崎市では電力の調達先として、柏崎市内に39ある民間太陽光発電所との提携を考えているが、全部で約3メガワットと規模が小さいことから、柏崎市自前の太陽光発電を建設する構想も浮上している。柏崎市総合企画部電源エネルギー戦略室の飛田訓利室長は、「これといった時期のめどはないが、できるだけ早い時期に市のソーラーを開設したい。ソーラーの数は設備投資額のバランスを見て状況を見ながら考えたい。遊休地に作っていきたい」と話している。

また、これまで柏崎市は原子力発電への依存が高かった分、再生可能エネルギーへの取り組みが遅れていたという側面もある。だた、メガソーラーが多く集積する新潟市などの下越地方と比べて、雪が積り、日照時間も短いとされる柏崎市で太陽光発電が有効なのかどうかを調べるため、市では民間のコンサルタント会社に調査を依頼しているそうだ。

今後は民間による太陽光発電の建設が14件(681キロワット)計画されているほか、ヴィーナ・エナジー・ジャパン株式会社(東京都)よる西山地域での風力発電計画が浮上している。計画では約86メガワットで国内2番目の規模とされており、関係者によると、稼働までには早くても5、6年はかかるとの見通しだ。

 

今年に入り引き合いが増えた「柏崎フロンティアパーク」

一方、柏崎市はものづくりの街でもある。明治時代の石油産出に端を発した機械・金属分野を中心とするものづくり産業では、切削加工やメッキ、鋳造、鍛造、プレス、金型などの優れた基礎技術を持つ企業が約400社集積している。

中でも、新潟工科大学と新潟産業大学の間に位置する柏崎フロンティアパークは現在、エネルキー関連企業を含め8社が入居している。近郊には北陸自動車道の柏崎インターチェンジがあり、製品輸送の利便性も高い。

柏崎フロンティアパークの進出第1号は、平成22年に完成した株式会社東芝の新型二次電池の量産工場。日本を代表する企業の誘致に成功したわけだが、柏崎市産業振興部ものづくり振興課の天野裕輔主事は「当時は市の職員が東京へ頻繁に行っていたことが功を奏し、誘致できたのではないか」と推測する。

続いて平成23年にリケンの子会社である株式会社アール・ケー・イー(柏崎市)の木質ペレット製造工場、平成24年に株式会社飯塚鉄工所(柏崎市)の新型真空ポンプ製造工場が稼働を開始した。

また、平成27年には陸・船舶内燃機関、付属機器の販売・保守点検・修理などを主な事業とするエンヂンメンテナンス株式会社(東京都)、平成28年には業務用インクジェット装置の開発、製造、販売を主な事業とする株式会社トライテック(柏崎市)、同年6月には廃棄物から固定燃料の製造、販売を手掛ける株式会社不二産業(新潟市)が進出。

さらに、平成30年には地域未来投資促進法の規定により、誘致できる事業分野が従来のメーカーのみから拡大されたことに伴い、電気・電力流通設備工事などを手掛ける株式会社ユアテック(仙台市)の立地が決定。今年に入って、建設現場の足場などの軽仮設リース大手の日建リース工業株式会社(東京都)が10月から事務所の工事に着工する。

今年に入ってから引き合いが多く、現在、残りの7区画が商談中という。

柏崎フロンティアパーク全景

柏崎フロンティアパークは、先述の通り柏崎インターチェンジから近いことや、1平方メートル当たり6,000から7,000円と他の産業団地よりも割安であることが人気の理由と言える。

さらに、新潟県による補助金制度で原子力立地給付金などがあり、進出した企業は使用電気料金が約半額になるというメリットもある。柏崎市の天野主事は「料金は4割くらいが安くなり、給付金が戻ってきて全体でおおむね半分になる」と話す。

 

新潟県のほぼ中央に位置し、エネルギーとものづくりの街である柏崎市。将来的に原発の廃炉を見据え、「脱炭素のまち」を目指しており、その取り組みやビジョンは新潟県内でも先進的といえるだろう。



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