株式会社帝国データバンク新潟支店が「事業承継に関する企業の意識調査(2020年、新潟県)」を公表

国や新潟県でも事業承継の問題に力を入れている

株式会社帝国データバンク新潟支店は15日、「事業承継に関する企業の意識調査(2020年、新潟県)」を公表した。

調査は、TDB景気動向調査2020年8月調査とともに行なったもので、調査期間は8⽉18⽇から31⽇、調査対象は新潟県493社で、有効回答企業数は285社だった(回答率57.8%)。

 

事業承継を経営上の問題と認識している企業は68.4%

調査によると、事業承継を経営上の問題と認識している企業は68.4%で、7割近くにのぼった。細かく見ると、「経営上の問題のひとつと認識している」と回答した企業が55.1%、「最優先の経営上の問題と認識している」という回答は13.3%となった。

2017年10月時点と比較すると、「最優先の経営上の問題と認識している」(13.3%)は2.8ポイント上昇した。他方、「経営上の問題として認識していない」(21.4%)も2017年(17.3%)から2割台へと増加した。

なお、全国47都道府県別でみると、事業承継を経営上の問題として認識している(「経営上の問題のひとつとして認識している」「最優先の経営上の問題と認識している」の合計)と回答した企業の割合は、岩手県(77.9%)が最も高く、以下、滋賀県(77.8%)、奈良県(75.6%)と続き、新潟県(68.4%)は23番目だった。

 

企業の4割超で事業承継の計画があるものの、うち半分以上が進めていない結果に

事業承継を進めるための計画の有無について尋ねたところ、「計画があり、進めている」企業は20.7%、「計画はあるが、まだ進めていない」は21.1%となった。また、「計画はない」は28.8%、「すでに事業承継を終えている」は16.8%だった。

なお事業承継を「最優先の経営上の問題と認識している」企業では71.0%が計画を有しており、さらに計画を実際に進めている割合も36.8%と全体を上回った。

事業承継を「経営上の問題のひとつと認識している」企業では52.2%が計画を有し、24.8%が進めている結果となった。

事業承継に関する計画の有無を社長年齢別にみると、「39歳以下」「40代」という若年層では、すでに事業承継を終えている企業はそれぞれ83.3%、47.7%と高い値となった。一方で、「50代」以降は社長年齢が高くなるにつれて、次世代への事業承継の計画を有している割合や計画を進めている割合も増加する傾向が表れた。

 

事業承継で「苦労したこと」「苦労しそうなこと」ともに「後継者の育成」がトップ

事業承継に関する計画に対して「計画があり、進めている」「すでに事業承継を終えている」とした企業に対して、事業承継を行う上で苦労したことを尋ねたところ、「後継者の育成」が45.8%でトップとなった(複数回答、以下同)。「自社株など資産の取扱い」(37.4%)、「相続税・贈与税などの税金対策」(32.7%)が3割台で続いた。

また、後継者の育成の前提となる「後継者への権限の移譲」や「後継者の決定」は、それぞれ24.3%、16.8%となった。

事業承継に関して「計画があり、まだ進めていない」「計画はない」とした企業が想定する苦労しそうなことでも、「後継者の育成」が57.7%でトップとなった。次いで「後継者の決定」(49.3%)、「事業の将来性や魅力の向上」(27.5%)、「後継者への権限の移譲」(23.2%)が続いた。

企業からは、「親族以外の承継になる可能性があり、対応に苦慮している」(建設)や「事業承 継するべきか、たたむかコロナによって悩む」(サービス)など事業承継に関する悩みの声が複数聞かれたという。

 

M&Aに関わる可能性がある企業は38.6%

事業承継を行う手段として、M&Aへの注目が高まっていることから、自社について近い将来(今後5年以内)におけるM&Aへの関わり方について尋ねたところ、「買い手となる可能性がある」は23.9%、「売り手となる可能性がある」は10.9%、「買い手・売り手両者の可能性がある」は3.9%となった。

一方、「近い将来においてM&Aに関わる可能性はない」は35.4%、「分からない」は26.0%となった。

規模別でみると、「大企業」は43.9%がM&Aに関わる可能性があるが、「中小企業」では37.7%、「小規模企業」では30.0%にとどまった。

 

なお帝国データバンク新潟支店の資料によると、政府では中小企業の経営資源の引継ぎを後押しするため、「経営資源引継ぎ補助金」を実施するなど、円滑な事業承継に向けて積極的な支援を行っている。また新潟県でも、事業承継に関する専門家による無料相談窓口の設置や、セミナーの開催、事業承継資金の融資制度など様々な支援策を用意しているという。

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