連載 第13回 新潟出身の起業家たち Guidable(ガイダブル)株式会社 田邉政喜代表取締役/CEO


日本国内にくらす外国人への情報提供や求人などでサポート

最新の流行情報などを英語で提供する情報メディア「Guidable Japan」

法務省のサイトによると、令和元年末の在留外国人数は、293万3,137人で,前年末に比べ20万2,044人(7.4%)増加となり過去最高になったという。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった今年の在留外国人数は変動があるかもしれないが、日本国内には多数の様々な出身国の外国人が暮らしている。

インバウンド観光客への情報提供を拡充しようという動きはあるが、実は、日本国内にくらす外国人への情報(生活に密着情報)は十分とは言えないのが実情だ。例えば「銀行口座はどうやって開設するのか」「駅の券売機はどうやって使うのか」といった情報だ。ここに着目して2015年11月に、田邉政喜代表取締役/CEOが設立したのが、Guidable(ガイダブル)株式会社だ。詳細は後述するが、在留外国人向けに生活に役立つ情報提供や、求人紹介などの事業を展開している。

田邉氏は新潟県長岡市の出身。長岡高校を卒業し慶應義塾大学総合政策学部に入学。卒業後の2009年ソフトバンク株式会社に入社、広報室に配属され、ソフトバンクモバイルの携帯電話機や携帯電話向けサービスの広報を担当した。将来のソフトバンクグループを担う後継者発掘・育成を行うソフトバンクアカデミア2期生でもある。

またソフトバンクでは英語能力テスト「TOEIC」(990点満点)で900点以上とると100万円の一時金が支給される制度があったことから、田邉氏は英語力を高めようと、シェアハウスに暮らし始めたそうだ。そのシェアハウスは14名が暮らし、半分は日本人、半分は外国人(中国、韓国、アメリカ、フランス、ドイツなど)だったという。「ここで暮らし始めて、外国人が日本で暮らすことの難しさを体感した」と田邉氏は振り返る。

この体験がガイダブルの起業に向けた事業構想に繋がった。そして暮らし始めて1年後の2014年ソフトバンクを退社し、「起業に向けて、ベンチャー企業とは何かを学びたい」と、外国人の新卒採用支援を行うフォースバレー・コンシェルジュ株式会社に入社した。

その後、先述の通り、2015年11月、資本金200万円でガイダブルを設立、在留外国人向けに生活の便利情報や日本の習慣・マナー、最新の流行情報などを英語で提供する情報メディア「Guidable Japan」の運営を始めた。

社内の様子

最初の1年間は、友人やソフトバンクの同期からボランティアで手伝ってもらいながら1人でサイトの運営を行なった。「コンテンツ作成で手元資金が減っていく中、サロンのIT支援など(の副業を)行いながら運営していました」(田邉氏)。

2016年4月には、Yahoo!知恵袋の外国人版となる「Guidable Q&A」(現在は行なっていない)を開始した。このとき、ベンチャーキャピタルを回ったが、「良いアイデアだがどうやって稼ぐのか?」と言われた。これを機に、マネタイズに考えが向くようになっていき、実際、その後にマネタイズを意識した事業をいくつか立ち上げている。

その一つが2017年に5月に立ち上げた求人プラットフォーム「Guidable Jobs」だ。働き手を募集している日本企業と日本で仕事を探している外国人のマッチングするサイトで、これまでに累計で500社以上が利用している。

2018年2月には、「Guidable Crew」を開始。簡単な通訳、翻訳のお仕事や、外国人が来場するイベントの手伝い、観光地やサービスのモニターツアー、映画やドラマのエキストラ出演など、短期(1時間単位)で依頼できるサービスだ。

さらに、2019年3月に「Guidable Buzz」も開始した。この「Guidable Buzz」は、日本に住む外国人を活用したインフルエンサーマーケティングサービス。フォロワーや友達などの外国人に、サービスや商品、観光地などを紹介してもらうことができ、外国人向けSIMカード、外国人向け不動産などで利用されている。

 

今後は大手企業とのコラボレーションに注力

一方、昨年、TIS株式会社やSocialEntrepreneur2投資事業有限責任組合(PE&HR株式会社)、個人投資家(先輩起業家、長岡高校同級生など)から総額7,200万円の資金調達を実施した。また社内の体制も少しずつ整備されていて、現在の体制は16人になっている。

こうした中、今後は、大手企業とのコラボレーションにも力を入れ、業容の拡大を目指す。「これまでも三井住友海上火災保険株式会社様と、Guidableに会員登録(無料)の在留外国人が万が一就労時にケガをした際に、三井住友海上から最大50万円の補償を受け取ることができる1カ月間の保険『Guidable Jobs Free Insurance』で連携したり、東急株式会社様が運営する東横線・田園都市線渋谷駅ナカの観光案内所『WANDER COMPASS SHIBUYA』において、在留外国人向け生活相談イベント(Ask Anything Consultation Event For Foreigners in Japan!)を開催したりしています。今後も在留外国人×ITなどを切り口に大手企業と連携を加速していきたいと考えています」(田邉氏)と話す。

田邉政喜氏(たなべまさき)
Guidable株式会社代表取締役社長/CEO
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、2009年ソフトバンク株式会社入社。広
報室配属となり、ソフトバンクモバイルの携帯電話機や携帯電話向けサービス
の広報を担当。ソフトバンクアカデミア2期生。
2014年フォースバレー・コンシェルジュ株式会社に入社し、史上最年少マ
ネージャーに就任。2015年11月Guidable株式会社設立。経産省主催の始
動プロジェクトにてイスラエル派遣メンバー10人に選出される。



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