新潟県内の中小企業組合が新商品や新事業の合同記者発表会を開催

今回の発表会に参加した5つの組合の発表者。左から、新潟県公衆浴場生活衛生同業組合、魚沼木材協同組合、道の駅たがみ協同組合、新潟県畳業組合連合会、上越愛麺会

新潟県中小企業団体中央会は4日、会員の中小企業組合が取り組む新規事業などをプロモーションするメディア向けの「第1回 新商品・新サービス合同記者発表会」を開催、県内5つの組合が登壇し現在取り組んでいる事業について解説をした。

中小企業団体中央会は1955年の「中小企業等協同組合法」に基づいて設立された特別法人で、新潟県では約650の組合が所属している。主な活動は、中小企業組合の会計や財務等諸問題への支援や、補助金などの案内であり、近年は組合同士のマッチングと新事業立ち上げへの支援も積極的に行っている。

今回の取り組みは、組合を通じた県内中小企業の活性化、および県内経済のコロナ禍からの回復に資することを目的とし、県内各地の様々な業種から5つの組合が現在取り組む新商品と新規事業を発表した。発表項目は以下の通り。

 

発表項目

「新潟発! 湯朱印はじめました」 (新潟県公衆浴場生活衛生同業組合)
「職人が作る魚沼杉を使用した新ブランド」 (魚沼木材協同組合)
「道の駅の紹介と今後のイベントについて」 (道の駅たがみ協同組合)
「県下一斉畳替えキャンペーン」 (新潟県畳業組合連合会)
「酒蔵×ラーメンのコラボキャンペーン実施」 (上越愛麺会)

 

「新潟発! 湯朱印はじめました」

湯朱印達成者からの声を紹介する、にいがた銭湯大使ジャックポットの大野まさや氏

新潟県公衆浴場生活衛生同業組合は、県内の銭湯などで構成される組合で、今回はにいがた銭湯大使のジャックポット(有限会社ナマラエンターテイメント所属)と共同し、銭湯への集客を目的とした「湯朱印」を発表した。

「湯朱印」に参加している銭湯は、新潟市内12店舗、新発田市1店舗、燕市1店舗、三条市1店舗、佐渡市2店舗の計18店舗。新潟市内の全店舗の御朱印を集めるとオリジナルトートバッグ、県内全店を集めると名前とシリアルナンバーが刻印された下駄箱木札がプレゼントされる。湯朱印巡りは2020年8月1日から開始しており、現在までに15人の達成者が現れている。

湯朱印のデザインはジャックポットの大野まさや氏のデザインで、元は別の企画で製作した銭湯タオルのデザインに使用された物。一度の使用だけで終わってしまうことを惜しみ、今回の企画に繋がったという。今回の取り組みは、銭湯にとっては湯朱印スタンプの設置と湯朱印帳の販売のみの負担となるため、高齢化の進む番頭にとっても参加しやすい企画となっている。また、回収された達成済み湯朱印帳には利用者の感想や、銭湯運営に参加したいという声などが集まり、今後さらなる展開に繋がっていくことが期待される。

湯朱印と湯朱印帳

県内銭湯の湯朱印を全て集めた参加者へ送られるオリジナルの下駄箱木札

 

「職人が作る魚沼杉を使用した新ブランド」

発表する魚沼木材協同組合の石沢陽一専務理事

魚沼木材協同組合「魚沼杉」を使用した新商品おもちゃやキャンピングシェルを発表した。木材協同組合は材木店や工務店など60社からなる組合。魚沼地域の杉はかつて材木用に植林されたが、近年はより安価な材木の使用が主流となり放置されていたという。今回のプロジェクトでは、この杉を「魚沼杉」としてブランディングし、様々な商品へ繋げていく。

雪深い土地で育った「魚沼杉」は成長が遅く、年輪の密度が高いことから、通常の杉よりも高い強度ち独特の濃い色合いがあることが特徴である。プロジェクトを始めた3年間で、すでに県内約400戸の住宅の建設に使用されている。建設資材として以外にも、山形の精密機器メーカーと共同して製造した木製ブロック「MOKULOCK」や、軽トラックに乗せてキャンピングシェルとしても使用可能な小屋など様々な分野の商品開発を進めている。

魚沼杉を使用したブロック「MOCULOCK」

木材協同組合の石沢陽一専務理事は「これまで放置されてきた杉と山という資源を用いて、地元の物を、地元の工務店が扱う“地産地建”を進めて大手メーカーとの差別化を図っていきたい。また、ただ消費するだけではなく地元の子供たちと共に植林の活動をすることで持続可能性と、子供たちが自然と触れ合う機会の創出を考えている」と話す。

 

「道の駅の紹介と今後のイベントについて」

道の駅たがみ 外観

10月28日にオープンした「道の駅たがみ」の馬場大輔駅長も、道の駅のこれまでの歩みと今後のイベントについて発表した。道の駅たがみは交流会館や商工会館などの施設を集積しており、また地域福祉を考えた設計となっているため、地域の高齢者の活躍の場や、世代間の交流の場としての活用が注目されている。

また馬場駅長は「当道の駅には加工場が設置されていないものの、地域全体を加工場と考え、地元の企業や施設と共同して商品開発を進めている」と語り、長年湯田上温泉の温泉饅頭を作り続けている小柳菓子店との共同で開発した「あじさいまんじゅう」や、地元産の梅を使用した商品の展開を広げている。

 

「県下一斉畳替えキャンペーン」

発表する新潟県畳業組合連合会の淺井浩如氏

新潟県畳業組合連合会は上越22店、中越52店、下越31店、計105店からなる畳店の組合で、畳の品質管理や、畳製作技能士の育成などの活動を行っている。

同組合では11月1日から2021年1月21日まで、畳の新調、表替え、裏返しをした人を対象に、抽選で215人へ新潟県産牛肉・豚肉や食事券をプレゼントする。この試みは、新型コロナウイルスの影響で増加した「お家時間」を快適に過ごすとともに、県内の食肉業者を応援する目的があるという。

 

「酒蔵×ラーメンのコラボキャンペーン実施」

雪むろ酒かすラーメン第3期のラーメン一覧

上越愛麺会は2018年から開始した「雪むろ酒かすラーメン」の新展開について発表した。「雪むろ酒かすラーメン」は上越市が推進する「上越ならではの産品づくり事業」の取り組みから生まれた商品で、上越産酒粕の使用、雪室で貯蔵された食材の使用、発酵食品や上越産の食材をトッピングの3点を共通ルールに、上越市内の各ラーメン店・中華料理店それぞれが独自に開発するラーメン。2018年には市内14店舗で販売し、合計2万1,000食、1,950万円の総売上を達成した。

同商品は主に冬季限定の販売を基本とし、リニューアルも加えながら2019年も提供。さらに、同年1月に上越教育大学付属小学校への給食として提供し、2月には愛麺会と酒蔵による異業種交流会を開催するなど、商品の展開以外にも活動を広げている。

参加店およびコラボ酒蔵一覧

第3期目(12月5日から)となる今年は、地域の酒蔵との連携をより強化し商品開発を行ったという。具体的には、ラーメン店と酒蔵をヒアリングを交えながらマッチングさせ、ラーメン店それぞれが異なる酒粕を用いて今年の「雪むろ酒かすラーメン」を完成させた。これにより、日本酒ファンへの求心力の増加を狙う。さらに、1月31日までの間スタンプラリーを開催し、対象のラーメンを3杯食べると協力酒蔵の日本酒などが当たるという。

上越ものづくり振興センターの上田真之氏は「最近では『今年の酒かすラーメンはいつから始まるのか』という問い合わせもいただき、徐々に地元の名物として定着し始めている」と今年への期待を語った。

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