「複業」を実践するスミケン(新潟県上越市)代表の宮澤隆さん「シェアオフィスは起業のハードルを下げたかったから」


スミケン代表の宮澤隆さん

スミケン(新潟県上越市)代表の宮澤隆さんは、幼少期から自分の家が古かったことから、中学生の時に「はやく家を設計して建てたい」と思い、新潟県上越市内の県立工業高校建築科に進学した。高校卒業後、上越市内の設計事務所に就職。20歳の時に自分で住宅を設計し、頭金を貯めて25年の住宅ローンを組み、何と23歳で家を建てた。目標を達成したことと激務で体を壊したこともあり、25歳で7年勤務した設計事務所を退職した。

 

20代で社内のリーダーに抜擢される

その後、上越市内の大企業の鉄骨加工部門に勤務し、工務(関東方面のゼネコンとの打合せと設計・鉄骨加工図・工場製作への段取り)の仕事につき、社内で品質管理や改善活動のリーダーにもつき、人が思いつかないような改善案を出して評価されていたが、役職が上がるにつけ、組織の悪い面を見ることも多くなり、未来を感じなくなって11年間勤務した後に辞めた。

その後、同系の仕事についたが職場環境が合わず、2年経たずに退職。「あの時は完全に鬱病でしたね。でも、次の仕事の声がかかったのは運がよかったのだと思います」(宮澤さん)。

そして、地元の仕事をしたい気持ちから、地元の工務店の現場監督につき、そのころから、趣味で車輪付の動く小屋やロケットストーブなどを作り、クラフトイベントや朝市などに出店し、イベントを主催することも多くなった。そして、サラリーマンをしながら、シェアオフィス「空き家BASE」のオーナーを始めることになる。工務店は6年間で円満退社した。

 

築40年の古民家をシェアオフォス「空き家BASE」として立ち上げ

宮澤さんは、「当初、友人が空き家を使って開業ナース(起業)をしたいとの話があって、空き家を1人で管理するのは大変だということで、2人でスタート(管理)して、利用者を募りました。空き家を減らしたいという思いもあったし、将来独立したら事務所として使いたいとも思っていたので、築40年の民家だったがリフォーム済みで、部屋もいくつかあったので、コワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルスペースとして始めました」と話す。

「組織にいるとやりたいことができない」と昔から独立志向が強かった宮澤さんは、40代前半で独立し、現在4年目となる。

「空き家BASE」は6~8畳の部屋が5部屋あり、賃料は光熱費、駐車場込みで月額2万~2万5,000円(税込)と格安だ。部屋は、デザイナー・エステ・ネイルなどで埋まり、直近では、子育て支援のNPO法人「はっぴーはーと」が1階フロアを使い、地域の子育て支援の場となっている。

「賃料を安くしたのは、起業のハードルを下げたかったからです。シェアオフィスの賃料で儲けようとは思っていません。デザインやエステやネイルの仕事って自宅やアパートで営業できるといえばできるのですが、やはり打合せやお客さんは入れづらいだろうし、かと言って大きいスペースは要らないわけで。 空き家を活用して起業する人が増えれば、地域経済を活性化しながら空き家を減らせるのでよいと思っていて。でも、空き家BASEについては今のところ利益は出ていないのですが、5年間は運営出来ていますね」(宮澤さん)。

また、オーナーとして、空き家BASEに入居してほしい人物像に関して、「能動的な人がいいです。起業するわけだから、何でも自分で取りかかれる人。できるかできないかは別として」と話す。

「子供のころから身のまわりにあるもので遊びを自分で作ったり、チラシの裏紙に絵をかいていたりしたので、手先が器用で絵が上手になった」という宮澤さんは、現在も1人で複数の仕事を手がけているマルチ人間だ。

本業のリフォームや設計業務、建築現場の現場監督のほか、シェアオフィスの管理を行っている。さらに、上越市高田駅に近い大町の朝市(四九ノ市)に合わせて、古材・古道具の店として2棟、空き店舗(天国@四九ノ市店)・空き町家(1049)を利用して店舗営業を行い、また、直江津の平和商店でも古材・古道具の販売を開始している。

 

「ひとつの仕事に縛られるのは嫌ですね」

「ひとつの仕事に縛られるのは嫌ですね、その仕事がいつまでもあるとは限らないし、自分の性格にも合わない。いろいろな仕事ができたら楽しいでしょ。大変だけど、いろんな人とも出会えるし」(宮澤さん)。

今は、「空き家を減らしたい」という思いから、空き家問題の啓蒙活動と空き家情報を組み合わせた媒体「上越空き家図鑑」を仲間と製作中のほか、「建築業はごみがたくさんでる業界なので、少しでも社会に出るごみを減らしたい」(宮澤さん)と、古物商を取得し、建築資材の再利用ができる仕組み・場所をつくり、本業を建築業から建築古材・古道具のリサイクル業(サルベージ業)にシフトしていく方針で、サルベージした「モノ」を販売したり、住宅改修や店舗設計施工に反映している。

また、上越の地域通貨「ネコのコイン」を発案し、人や町に直接関われるお金を通さない新しいサービスの仕組みを開始している。

次々とアイデアが浮かび、まさに「複業」を実践する宮澤さんの今後の動向が注目されるところだ。

シェアオフィス「空き家BASE」外観

 

(文・撮影 梅川康輝)



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