「新潟をさらに活性化する人材を育てたい」 株式会社真友社 馬場寛取締役社長(上)

文科省の発行している『学校基本調査』(令和4年度版)によると、2022(令和3)年3月時点における新潟県の高校卒業者数17,172人のうち、大学進学者数は、8,750人で、これは卒業者全体の51%にあたる。全国47都道府県中では32位と必ずしも高いとはいえない。その一方で大学進学率は少しずつ上昇しつつある。また、少子化の影響で、親が子ども一人にかけることができる教育費の割合が増えてきている。新潟県内の学校はもちろん、教育サービスを提供する塾・予備校なども、地域の特性を活かしながら、県内中・高生の進学率のさらなる上昇や学力の向上に向けて、日々取り組んでいる。新潟県及び宮城県に6カ所の校舎を持つ株式会社真友社(新潟県新潟市中央区弁天3 小倉拓也代表取締役)も、そうした教育サービスを展開する会社のひとつである。

同真友社は、2004年、レンタル自習室「暗記クラブ」として創業した。2023年現在、学習塾の経営や通信制高校サポート業務、放課後等デイサービスの運営など、新潟県を中心に11の教室、事業所を展開している。2018年には、国大セミナーなどを傘下に置く国大グループホールディングス( 埼玉県さいたま市 小倉拓也代表取締役)と資本提携し、学習塾部門を強化するなど、さらに業績を伸ばしている。公益社団法人全国学習塾協会(東京都豊島区南大塚3 安藤大作会長)によって、学習塾認証を受けている新潟県で唯一の学習塾である。同社・馬場寛取締役社長(51歳)から教育に対する想い、新潟の印象について話を窺った。

同社が展開する個別指導塾・受験予備校 真友ゼミと児童発達支援・放課後等デイサービス あすなろがあるSKサカイビル(新潟県長岡市四郎丸4)

馬場社長は埼玉県の出身である。大学では国文学を専攻し、『源氏物語』等の文学作品に使われる語彙の歴史的変遷などを研究してきた。学部時代には、飲食店などで接客のアルバイトを経験。泥酔した客などを相手にしながら、「人の話を訊く」など、仕事をする上で基本となるコミュニケーションの仕方を学んだという。大学卒業後は、高校の国語科の教員になることを漠然と志望していた。

そんな馬場社長が、塾業界に興味を持つきっかけとなったのは学部4年生の頃、教育実習を通じてである。埼玉県内の高校で初めて子ども達の前に立った馬場社長は、そこで運命的な体験をしたという。

馬場社長によれば、教育実習自体はとても充実していた。「不勉強な自分の授業を真面目に受けてくれる子ども達を目の当たりにして、いい加減な授業はできない」と、毎回しっかり準備をして授業に臨んでいた。素直で素朴な子ども達は、毎回真面目にしっかり馬場社長の授業を受けてくれていたという。教育実習も無事に終わり、実習先の学校へとお礼にいった。このとき、ちょうど学校は定期テストが終わり、子ども達の元にテスト結果が返却されていた。自分が授業を受け持っていた子ども達の試験結果を、実習先の学校で知った馬場社長は愕然としたという。授業を熱心に受けてくれていた子ども達だったのにも拘わらず、試験の結果は、ボロボロだったという。その時初めて馬場社長は、「自分の無力さに気がついた。“俺、何も持っていないな”と感じた」という。このときの経験がきっかけとなって、馬場社長は、「伝える力」を身につけることの大切さを痛感したという。

「‟伝える力“を鍛えるには、塾講師として修行を積むことが一番」と考えた馬場社長は、大学院進学後の1997年、まずは、アルバイトとして国大セミナーに入社し、院生として研究を続ける傍ら教壇に立ち始めた。

会社成長の秘訣は、「社員やアルバイトに至るまで“理念”が、しっかり共有されていること」とする馬場寛社長

数多くの学習塾、予備校があるなかで、職場として馬場社長が、同セミナーを選んだ理由は、「理念に共感できたこと」だと、馬場社長は語る。同セミナーの指導スタイルは、6人少人数制のグループ学習を特徴とする。馬場社長が働き始めた頃は、ちょうど会社としても、大きく成長していた時期でもあり、在籍している生徒の数に対して机の数が足りないということもあったという。「今思えば、サービス提供している側としては問題があったかもしれませんが」と苦笑しつつ、床や壁でテストを受けている子ども達の姿をみて、「机や椅子がなくても、子ども達が“勉強しよう”という、そういう想いにさせる当時の教室長の素晴らしさに触れ、そのあり方に、純粋に「“すげえな”と感動した」という。そのような経験をし、当時は「学校卒業するまでの間の腰掛け仕事としか考えていなかった塾業界」に「もう少し、いよう」と決意した。

国大セミナーは現在、全国で120の校舎を展開している。「授業は、活気、楽しさ、笑いあり、涙ありの人生劇場。預かったお子さんを、きちんと責任を持って指導し、(ただ通っているだけ、参加しているだけ)の“お客さん”を一人も作らない。こうした理念が、創業者を通じて、しっかりと社員にアルバイトに共有されていたことが、会社として大きく成長できた秘訣」だと、馬場社長は分析する。

そんな馬場社長と新潟との接点については、次回に詳しくまとめる。

 

【2023年2月21日 追記】
「新潟をさらに活性化する人材を育てたい」 株式会社真友社 馬場寛取締役社長(下)を掲載いたしました

バナー②情報学部

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓