【市町村長リレーコラム】第9回 新潟県上越市 中川幹太市長 「『生きる力』をいかしてまちを活性化する」


新潟県内30市町村の首長に、地域での取り組みや課題、首長としての想いなどをコラムで寄稿いただき、次に寄稿いただく首長を指名いただく「市町村長リレーコラム」

第9回は、新潟県長岡市の磯田達伸市長からバトンをつないでいただいた、新潟県上越市の中川幹太市長のコラムをお届けします。

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風光明媚な棚田の風景(提供 上越市)

私は上越市とここにある歴史文化や豊かな自然、そして人が大好きです。

特に、私が住んでいる上越市の桑取地区は、桑取川13キロメートル沿いにある中山間地域ですが、地域の中で、水や燃料、家の材料、食べ物など、生活に必要なものを自給できる力を持っています。これらは、決して当たり前ではなく、この地域の誇るべき素晴らしい魅力だと感じています。

私はこの地に移り住んで20年以上になりますが、この地を訪れたころに抱いた驚きや感動を忘れずに、今、市長として「暮らしやすく 希望あふれるまち 上越市」の実現を目指してまちづくりを推進しています。

私は高校生まで、大阪、兵庫の都市部のベッドタウンの集合住宅で育ちました。広島や東京での生活を経て、20代半ばで、上越市の桑取地区をはじめとした中山間地域の活性化を目的に活動するNPO法人の設立や運営に携わり、その後、上越市に移住しました。

地域の伝統的な祭りも草刈り作業も初体験の私にとって、人間関係の濃い農村集落に暮らすことは、まさにカルチャーショックでした。

そして、この地に住んで気付いたのは、地域に「生きる力」があることです。

高田城の城下町として栄えた面影が残る雁木・町家(提供 上越市)

スマート農業による米づくり(提供 上越市)

農業などを営んでいる人は、生きるための百の技術を持っているといわれています。生活や除雪に使う水をはじめ、炭・薪などの燃料、家の材料(木、竹、茅、土など)、食料などの確保や生産など、生きるために必要な技術を持っているのです。つまり自給自足ができるということであり、このことを知ると、わたしは、山林が宝の山に見えてきました。

NPOの事務局として7年間活動する中で、私が担当した事業は、古民家改修体験、土づくり・栽培・収穫・地元料理作りの体験、棚田オーナー、きのこオーナーなどでした。私を含め、上越市に縁もゆかりもない若者が桑取地区の活性化を目指して集い、試行錯誤を重ね、奮闘しながら様々な事業に取り組むこれらの地域づくりのプログラムを通じて、地元の「生きる力」と古からの奥深い文化を強く感じることができました。

これらの事業の中で、高齢化が進む技術者とともに、古の技術を再現し、そして、記録し、「伝統技術のレッドデータ」と名付け、それらの技術をできるだけ保存しました。

地域に人が定着していくためには、生活するための生業が必要であり、守るべきものは保存しながら、たくさんの人に体験してもらい、さらに売れるものは加工販売していく仕組みをNPOの事業で作っていきました。

その後、私は「別の方法で地域おこしを」という思いから、NPOを退職し、市議会議員を2期8年務めました。その後、一度は落選しましたが、令和3年11月に市民の皆様のご支援をいただき、上越市長に就任し、現在2年目を迎えています。

市長になってから改めて感じたことですが、上越市にはこれからの時代に大切な3つがあります。

・地域に根付く「生きる力」(地域の自治も含む)

・米を中心とした食料の備蓄力

・直江津港に集積するLNG等、豊富なエネルギー資源

太平洋側で大きな災害が起きても食料とエネルギーが供給でき、避難者の受入れもできると考えています。

また、戦国の名将上杉謙信公と春日山城跡、高田城の城下町として栄えた面影が残る雁木・町家、新潟県鉄道発祥の地(明治19年に直江津駅~関山駅間が開通)など、積み重ねてきた奥深い歴史と文化があります。

そして、日本郵便の父である前島密翁、日本のワインぶどうの父である川上善兵衛翁、近代日本画の巨匠・小林古径画伯、発酵学の世界的権威である坂口謹一郎翁をはじめとする大勢の偉人を輩出しています。

エネルギー港湾としての拠点性が高まる直江津港(提供 上越市)

上杉謙信公と春日山城跡(提供 上越市)

このような歴史や伝統・文化などをいかしながら、本年4月の佐渡汽船カーフェリー再就航や来春の北陸新幹線の敦賀延伸を捉え、今後は、年間を通して当市に観光に訪れていただけるよう、通年観光ができるまちを目指していきます。

その他、IT技術者の育成や定着、DXの推進、若者の奨学金返還支援制度の創設など、次代を担う若者を引き寄せるとともに、日本全国や世界に当市の魅力を発信できるよう、他地域出身者、いわゆる「よそ者」の視点も大切にしながら、ほかにはない上越市ならではのまちづくりを進めていきたいと考えています。

新潟県上越市の中川幹太市長(提供 上越市)

【市町村長プロフィール】

上越市長 中川幹太(なかがわかんた)。兵庫県出身。1975年6月20日生まれ。1998年、広島大学工学部卒業。2001年からかみえちご山里ファン倶楽部事務局長。2008年4月から上越市議会議員を2期8年。2021年11月、上越市長に就任。影響を受けた人は「高杉晋作」。影響を受けた本は「茶と美」著・柳宗悦。

 

上越市ホームページ

市町村長リレーコラムについて


 

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