小中学校への空調設置の補正予算だが関係者間では不安の声も

工事関係者に加えてメーカーにも不安が広がる

2018年夏は猛暑となり各地の学校で熱中症になる生徒・児童が数多くいた。7月17日には、愛知県豊田市で小学校1年生の男子児童が校外学習の後に死亡。翌18日にも宮城県名取市の小学校で児童38人が病院に熱中症などで搬送された。そんななか、文部科学省は10月16日、平成30年度(2018年度)の補正予算案を公表。11月7日には国会で予算案が可決された。それによると、学校の災害復旧・空調設置などに1326億円。このうちの6割にあたる817億円が全国の公立小中学校の各学級への空調(エアコン)設置予算という(事業名・熱中症対策としての空調設置事業)。だが現場から人出不足などに対する懸念の声が上がっている。

文部科学省の調べ(2017年)によると、全国に公立小中学校の学級(普通教室のみ)は38万8776があり、エアコン設置率は49・6%(19万3003学級)。補正予算で新たに15万程度の学級への設置を見込んでいるようだ。

一方、前出の調べによると、新潟県には7868学級(普通教室のみ)あるが、エアコンが設置されているのは1015の学級にとどまっている(設置率は12・9%)。そうしたなか、この補正予算で、〝エアコン空白学級〟への設置が一気に進めば、県内生徒・児童の学習環境は大幅に改善されるとの見方がある。

だが、人出不足が深刻化している中、関係者の間では不安の声が上がっている。ある業者は、「新潟県の空調市場は、店舗用、設備用、マルチを合わせて1万5000台ほどですが、来年10月前には消費税増税の駆け込み需要があり増加が見込まれています。そこにきて学校への空調設置が相当数加わることになります。しかも新潟だけでなく、全国各地の自治体が一斉に発注することが予想されますので、業者が不足するのではないかと思います」と話す。

対策として、複数の県内市町村では随意契約で、スピードを上げて対応しようという案まで浮上しているようだ。「随意契約であれば、工事に早く着手できるという利点があります。それに加えて、過去に空調設置を行ったことがあって、その学校のことを知っている会社が工事をしたほうがスムーズに進みます。ただ、議会の承認を得ることができるかどうかはわかりませんが…」(別の業者)。

生産面での不安も拭えない。「各社とも、補正予算を前提に、前倒し生産や生産台数増などを盛り込んだ生産計画を立てています。なかでも学校の空調で主流となっている天吊形(天井面に設置されるタイプ)を思い切って増産する計画を立てているようで、中には倍増させる予定のメーカーもあるそうです。しかし、生産したはいいが、本当に受注して納品できるかどうか見通せない中、各メーカーが本当に計画通りの生産を行えるのか不安視する向きもあります。いっそのこと国が主導して生産調整をしたほうがいいのではないかとの声までありますね」(同)。

果たして来年、生徒・児童たちは快適になった教室で勉学に励むことができるのか?

(月刊)にいがた経済新聞2018年12月10日号より

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