「新潟県松くい虫被害対策推進連絡協議会」が開催される

昨年度は昭和52年度の被害確認以来、3番目の少ない被害

新潟県は13日午前、新潟市中央区で、「新潟県松くい虫被害対策推進連絡協議会」を開催した。

日本海に面し600キロメートルの海岸線を有する新潟県では、クロマツを主体とした海岸松林が、飛砂や強風から地域住民を守る役割を果たしている。だが、県内で初めて松くい虫の被害が確認された昭和52年以来、松くい虫の被害などでクロマツが枯死する状況が続いている。こうしたことを受け、国や県、海岸を有する県内市町村、地域団体などで協議会を構成し、対策などについて意見交換を行っている。

この日の協議会でも、昨年度(平成30年度)の被害状況(民有林、国有林)や、今年度の対策(民有林、国有林)についての報告に続き、意見交換を行った。

報告によると、県内民有林では昭和52年度に旧六日町と旧塩沢町で初めて被害が確認されて以降、被害が拡大。昭和63年度には4万459立方メートルの被害が発生した。だが、その後、徹底した被害対策を行い、約6000立方メートルまで減少。しかし、その後、下越海岸松林において平成20年から薬剤散布を一時中止したことから、平成23年度に被害量が増加に転じ、平成25年度には調査開始以来最大となる4万1310立方メートルの被害を記録した。その後、守るべき松林の被害対策を徹底したことで、平成26年度に再び減少に転じた。

なお昨年度は、無人ヘリコプターなどによる薬剤の散布、散布の難しい箇所での薬剤の樹木注入のほか、被害木の早期伐倒・駆除などを行い、昭和52年度の被害確認以来、被害量は3番目に少ない2935立方メートルだった(グラフ参照)。

地域別の被害状況(民有林)では、新発田市、新潟市、刈羽村、佐渡市、聖籠町の順で多かった(表参照)。

今後の対策(民有林)については、昨年度に策定した「新潟県松くい虫被害対策事業推進方針」に基づき、薬剤の散布・樹木注入、被害木の移動制限(被害が発生している地域から発生していない地域への被害木の移動制限、バイオマス用も含む)。国有林については、胎内市、佐渡市、村上市などで薬剤の空中・地上散布を行うほか、伐倒駆除を行っていく。

協議会の様子

グラフ

新潟市中央区の西海岸公園にひっそりと建つ初代新潟奉行・川村修就(かわむらながたか)氏の銅像。新潟に台場を築くなど外国船の侵入防止に尽力したほか、現在新潟市の海岸沿いに広がる松の植林などを行った。在任中に植えた松は3万本にものぼるという。ただ、この日の協議会では、平成30年度は、新潟市とくに中央区の被害が大きかったことが報告されていた。

平成24年、新潟北区太郎代地区。この太郎代地区を含む海辺の森保安林では当時、肥料木として植えられたニセアカシアの繁殖力におされたり、松くい虫の被害にあったりして2000本近くのクロマツが枯死し、地元の関係者などからは、「海辺の森不安林」と囁かれていた。

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