食とスポーツで人を育てる 新潟食料農業大学がFリーグクラブと連携しフットサル部創部へ

(左から)ヴィンセドールの杉木陽介監督、新潟食料農業大学の中井裕学長、ヴィンセドール白山の鈴木修平代表
新潟食料農業大学(新潟県胎内市)は6月30日、フットサルのFリーグに所属するヴィンセドール白山(石川県)との業務提携を発表した。2026年4月に同大学で創部されるフットサル部を、同クラブと連携して運営・強化する。大学とトップリーグクラブとの創部時からの提携は全国でも珍しく、競技力向上と地域貢献の両立を図る。
創設されるフットサル部は、同大学における5番目の「指定強化部」として位置付けられ、杉木陽介監督が総監督に就任。現在すでに選手リクルートや指導体制の整備に着手しており、初年度は10人の選手確保を目標に、北信越地域を中心に全国からスカウトを進めているという。

新潟食料農業大学の中井裕学長

意気込みを語るヴィンセドールの杉木陽介監督(左)と鈴木修平代表
記者会見では、中井裕学長が「食とスポーツは密接な関係にある。スポーツを通じて“生きる力”を育み、文武一道の理念に基づいた教育を推進していきたい」と語った。同大学では、農業や食品産業を含む「食」の総合的な学びを提供しており、今回の提携を通じてスポーツとの融合を図る。
業務提携の柱には、地域貢献とデュアルキャリアの形成が据えられている。ヴィンセドール白山ではこれまで、選手と地域住民が共に田植えや稲刈りを行う「米づくり体験」などを8年間継続してきた。
鈴木修平代表は「フットサルはまだマイナーな競技と捉えられがちですが、若い世代にとっては足元の技術を磨けることが実証されている。今回の創部を契機に、日本代表を目指せるような選手を育てていきたい」と意気込みを語った。
さらに、 「トップ選手たちも、日々の食事の大切さを実感しながら競技に取り組んでいる。学長の話にあった“食”への思いと、私たちの取り組みが重なり合い、強く共感して提携を決断した。また、トップ選手たちは仕事をしながら日本リーグを戦っており、セカンドキャリアの構築という面でも、大学とともに取り組んでいきたい」と話した。

フットサル部の練習拠点となる新潟食料農業大学の体育館でもフォトセッションが行われた
また、練習拠点は同大学の体育館で、バスケットボールコート2面分以上の広さを持つ施設が活用される。フットサル部は北信越大学フットサルリーグへの参戦を予定しており、全国大会出場や将来的なFリーガーの輩出も視野に入れている。特別指定選手制度を活用することで、大学在学中でもFリーグ出場のチャンスが得られる可能性もある。
記者会見では、今後の地域貢献として、小中学生向けの教室や中高年層の運動機会創出、地域課題解決に向けた共同プロジェクトなどの構想も語られた。胎内市を拠点に、スポーツを軸とした地域活性化モデルの構築を目指す。
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