【キシャメシ】ただそこに居てくれるだけで嬉しい店、旧白根市の「グリン食堂」(新潟市南区)
新潟市南区で取材。かなり濃い内容で、まだ11時半にもかかわらず記者のHPは限りなくゼロに近くなっていた。
それにしても…腹が減った(おなじみの導入)。
南区に来たら行きたい店があった。以前通りかかった時、あまりに風情ある店のたたずまいを目にして、思わず飛び込もうとしたが、あいにくの店休日。それ以来「南区で昼近くに仕事ないかな」という思いを胸に秘めていた。
「グリン食堂」である。グリーンじゃなくてグリンだ。店名の由来はわからない。ただ昭和にタイムスリップしたような店構えは、旧白根市中心街の昭和レトロな街並みが醸し出す雰囲気に完全に溶け込んでおり、思わずほくそ笑む。これこれ、この感じよ。令和の今、この感じで佇んでいるのはキセキだね…グリンだけに。
店内に入ると、期待を裏切らないレトロさ。テーブルは4人がけが4脚。昔の浴室のようなタイル張りっぽい床、昭和っぽい茶棚。こいつは…まるで昔の「ばあちゃんの家」だな、何か落ち着くと思った。
席に座り、メニューに目をやる。いかにも大衆食堂のラインナップ。まったく裏切ってこない。迷ったが「ラーメン+半チャーハン」(税込1,100円)のセットを頼んだ。鉄板でしょ、これ。
まだ12時前だが、続々と食事客が来し、小さめの店内はすっかり埋まってしまう。今日はオール男性。人気なんだな、グリン食堂。
ややあって着丼。この感じのたたずまいでゴリゴリの二郎系が出てきたら驚きだが、ここで食べるとなればこのラーメン以外ない。チャーシュー、メンマ、わかめ、そして渦巻のナルトというシンプルな具材にあめ色に透き通った醤油スープ。裏切らないねえ。ドーム型盛り付けのチャーハンも「半」の割にはボリュームあって良かですなあ。
さっそくスープをひとくち。良いねえ、このビックリさせない感じ。美味いわ。オーソドックスな醤油ラーメンだが、ほんのり生姜を感じて「長岡系」のテイストをうっすら残す。沁みるやつ。麺は中細、やわらかめだが、このスープにはバッチシよ。チャーシューはこれ、厚手だけど柔らかくてウマいねい。次はチャーシュー麺にしようかな。
そしてチャーハン。こちらもオーソドックスだが、あまりしょっぱくなく、ラーメンスープと混然一体となった咀嚼を楽しむならベストな味付け。パラパラ系とかしっとり系とかどうでもよい、ウマウマ系。これで良い。チャーハンほおばる、麺すする、スープ呑む、まさに幸せの三連ループ。
あっという間に完食、スープもほぼ完まくり。こういうので良い、こういうのが良いのだ。
帰り際、もう一度店を振り返る。令和の今は飲食店にとってまぎれもなく過酷な時代だ。「あの店が閉店?」なんて話はさんざ聞かされる。吹く風は冷たい。そんな中で、地域に愛されるこうした店が、そこにあり続けるということ、そのありがたさをしみじみ感じる。
(編集部 I)
【グリン食堂】
新潟市南区白根2822
営業時間:11:00~14:00 17:30~20:00
定休日:月曜
<グーグルマップより>