【万博会場のCO2を新潟工場に輸送、貯蔵】三菱ガス化学とRITEが先進的取り組み、メタノール原料に再利用

メンブレンガスホルダー

三菱ガス化学株式会社(本社:東京都千代田区)は、公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(京都府木津川市、以下、RITE)が2025年日本国際博覧会会場内に設置したDAC※1装置で回収したCO2のうち、同社割り当て分の受け入れを完了したことを公表した。

三菱ガス化学とRITEは、大気中から回収されたCO2について、地中貯留や循環型社会の構築を支える革新的な脱炭素技術の実用化を目指す取り組みの一環として、大阪・関西万博会場でRITEがDACによって回収したCO2を三菱ガス化学に受け渡す契約を締結した。

万博会場で回収したCO2を貯蔵する専用タンク

これは、大気からのCO2直接回収(DAC)から、CO2を原料とする化学品の製造(CCU※2)、 さらにCO2の地中貯留(CCS※3)までを包括的に実施する、「CCUS※4」のモデルケースとして、日本国内でも先駆的な取り組みであり、カーボンニュートラルの達成だけでなく、過去に排出されたCO2の削減も目指す「ビヨンド・ゼロ※5」の実現に向けた道筋を示すものとなった。

今回の取り組みにおいて同社は、RITEから合計で約1トンのCO2をトラック4台に分けて受け入れ。9月29日には、最終受け入れ分のCO2が当社新潟工場に到着するのにあわせ、関係機関や報道関係者を招いた見学会を開催した。

同社が受け入れたCO2は、廃棄物やCO2から合成したメタノールを化学物質原料や燃料として活用する環境循環型プラットフォーム「CarbopathTM」において、メタノール原料として利用されるほか、将来計画しているCCSの実施に向けて一部が新潟工場内の貯蔵タンクで保管される。

三菱ガス化学では「ミッション『社会と分かち合える価値の創造』のもと、RITEをはじめとするさまざまなパートナーと連携しながら、CarbopathTMの社会実装を通じた脱炭素社会や循環型社会の実現を今後も積極的に推進してまいります」と今後の取り組み指針について示している。

メタノールパイロット建物内観

※1 DAC(Direct Air Capture、直接空気回収技術):大気中に存在するCO2を直接回収する技術

※2 CCU(Carbon dioxide Capture, and Utilization、二酸化炭素回収・有効利用):回収したCO2を新たな資源として活用する技術で、CO2の再利用を通じて新たな経済価値を生み出す可能性を持つ

※3 CCS(Carbon dioxide Capture, and Storage、二酸化炭素回収・貯留):回収したCO2を地中貯留する技術

※4 CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization, and Storage、二酸化炭素回収・貯留・有効利用):CO2を回収する技術を基盤として回収したCO2を有効利用するか地中貯留する技術で、CO2削減のための総合的なソリューションとなる

※5 ビヨンド・ゼロ(Beyond Zero):カーボンニュートラルを実現し、さらに過去に蓄積したCO2を削減・回収することにより、地球全体の炭素収支を改善することを目指す概念

こんな記事も