カトメ、小須戸工場に新棟増設 労働環境改善と競争力強化し地域に貢献を目指す

カトメ 小須戸工場

カトメ小須戸工場(新潟市秋葉区)、増設されたD棟

株式会社カトメ(新潟市秋葉区)はこのほど、新潟市秋葉区の小須戸工場に新棟となるD棟を完成させ、稼働を開始した。

カトメは本社工場と小須戸工場の2拠点で、高度な製造技術であるロストワックス精密鋳造により金属製品を製造している。工作機械、半導体関連、医療、航空機部品からステンレス茶釜やメタルアート作品などの工芸品まで、幅広い分野に製品を提供し、「モノづくりの根幹」を支える。

小須戸工場は敷地面積17,506平方メートル、建物面積3,140平方メートルの規模を持ち、そのうちの1,159平方メートルがこの度増設されたD棟だ。D棟は、製品の品質を最終的に支える「最後の砦」としての役割を担う。

主に、製品の最終検査、仕上げ、品質管理の工程が入っており、外観検査や非破壊検査で良品を厳選しきれいな状態で出荷するほか、不良データを基に前工程へフィードバックすることで恒常的な品質向上を目指す。また、営業本部もこのD棟に入り、顧客窓口として要望を集約する。

 

未来への投資として、働く環境の改善

新工場増設の目的は、老朽化していた既存棟の刷新にあった。既存のA棟は工場取得時に他の会社が使っていた工場だったため、老朽化が進み、業務内容にあっていない設計だった。

D棟の設計では、効率的な動線と最適な面積を追求し、作業員の負担を軽減することにこだわった。

カトメ 小須戸工場 食堂

越後平野を一望できる食堂

さらに、将来的な労働人口減少を見据え、快適な職場環境にも注力した。工場内への空調整備はもちろん、2階には大小の会議室、越後平野を見渡せる開放的な食堂、男女別の畳敷きの休憩室を設け、従業員がリフレッシュできる空間を提供している。こうした環境改善は、ユースエール認定企業として若手を含む新たな人材確保へのアピールにもつなげていくものだ。

新工場の稼働により、検査・仕上げ作業の効率化が進み、社員が全工程の応援に回れる時間を増やすなど、生産体制の強化を図る。また、品質管理の精度向上による不良率の低減や、新たな金属材質・形状への挑戦を通じて、高付加価値製品の製造と業績向上を目指す。

 

地元企業との連携と地域貢献

カトメは、過去に海外進出の打診があった際にも、一貫して地元新潟でのモノづくりにこだわり続けてきた。この度のD棟建設においても、日頃から工場メンテナンスに携わる地元建設業者に施工を依頼している。設計、地質調査、基礎工事に至るまで地元業者中心で計画を進めることで、地域企業間のつながりと信頼をさらに強固なものにした。

同社は、「顔と顔が見える打合せができた」「完成後のフォロー体制も安心」と、地元企業との連携に感謝を表している。

カトメ 小須戸工場 D棟

災害時等には一時避難所として使用されるD棟

また、D棟は地域の模範となる会社作りを進める一環として、災害時の地域一時避難所としての活用も想定しており、地域社会への貢献意識も高い。

この度の竣工に当たり、同社は「引続き、工場周辺での環境問題等を考慮しつつ、地域の模範となるような会社作りを進めてまいりますので、ご指導・ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます」とコメント。

今後、ロストワックス精密鋳造メーカーとしての競争力を強化し、雇用の創出と業績向上を通じて、地域と共に成長していくことを目指すとしている。

 

【関連リンク】
株式会社加藤製作所 株式会社カトメ

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