【新潟県の宿泊業態では初】ホテル泉慶が男性管理職に生理痛体験研修 「社員ファースト」で無理して働く業界文化を変え、県内同業他社への波及効果に期待

白い機器「生理痛VR体験装置ピリオノイド」で痛みを擬似体験する参加者

株式会社ホテル泉慶(新潟県新発田市)は1月27日、白玉の湯泉慶で男性管理職30人を対象とした生理痛体験研修を実施した。生理痛VR体験装置「ピリオノイド」を用いて生理痛を疑似体験し、女性が働きやすい職場環境づくりを目指す取り組みで、新潟県内のホテル・旅館業態では初の開催だという。従業員数約330人のうち女性が6割を占める同社では、女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

ホテル泉慶では今回の研修と合わせて、生理休暇の制度も見直した。「生理」という直接的な表現が取得の心理的障壁となっている可能性があるとして、休暇の名称を女性を表すFemaleのFを用いた「F休暇」へ変更。また、生理日に限定していた適用範囲を月経前症候群(PMS)での体調不良でも取得できるように拡大した。

研修の冒頭で、同社代表取締役の飯田武志氏は「女性特有の生理現象による痛みや体調不良を、いくら言葉で言っても理解できない。私たち男性陣が体感をして、その辛さや働きにくさを理解するところからまず始めていかないと、F休暇(生理休暇)の運用はうまくいかない」と研修の目的を説明した。

研修は12時から13時まで行われ、株式会社マイナビ(東京都千代田区)の講師が進行を担当。生理のメカニズムや生理痛の基本知識、月経前症候群(PMS)についての講義の後、参加者は「ピリオノイド」を装着して生理痛を疑似体験した。同装置は下腹部に貼るパッドからの電気刺激で生理痛を再現するもので、弱・中・強の3段階で痛みを調節できる。

体験中、参加者からは「もう無理だ」「耐えられない」などの声が上がった。ひとりにつき弱・中・強の順ですべての参加者が生理痛を疑似体験し、強では立ち上がることもできない参加者や、痛みに耐えきれず緊急停止ボタンを押してしまう参加者もいた。

研修は白玉の湯泉慶で行われた

生理痛体験研修のグループワークでは、男性管理職らの間でさまざまな意見が交わされた

グループワークでの発表では、参加者から「体調不良時にどこまで本人に踏み込んで聞いていいのか」「接客サービスではお客様の前で笑顔を絶やせない立場の女性が多く、(生理時の)仕事内容の見直しも会社として検討してもよいのではないか」「女性の意見も聞きたかった。ハラスメント対応について、どこまで踏み込んでいいのか判断が難しい」といった意見が出た。

また、改善策として「体調チェックシート」「相談窓口の設置」「鎮痛剤の常備」「シフト変更の柔軟な対応」などの具体案が提示された。ある参加者は「想像を絶する痛みで、1秒でも味わいたくない。会議やミーティングで抜けられない場面もあるが、管理職として部下の体調を把握し、声をかけてあげることが大事だ」と話した。

研修の最後に飯田氏は「痛かったで終わらせないでほしい。今日明日から自分の部下や後輩に対する考え方、接し方、目をかけてあげること、気を遣ってあげることを実践してほしい」と強調。シフトの穴埋めを理由に女性従業員を休ませない考えを強く否定し、体調不良の際は休ませることを最優先にするよう管理職に求めた。従業員の健康を第一に考える「社員ファースト」の姿勢を示した。

研修後、取材に応じるホテル泉慶の飯田武志代表取締役

研修後の取材で飯田氏は体験を振り返り、「生理痛がある状態で、長時間の会議や接客をすることは考えられない」と述べた。宿泊業界における取り組みの意義について、「旅館や宿泊業界はお客様本位という性質上、柔軟な働き方が難しく、生理への理解が不足していることで無理をして働く文化を生んでいる」と指摘。本研修を通じて女性の体への理解を深めることで、より女性が長く働ける環境を作れるとした。

また、飯田氏は1日休ませても従業員を大切にする職場は長く続けてもらえ、長期的には採用コストや教育コストの削減につながると、経営面での効果も強調した。「当社の取り組みが県内の同業他社にも考えるきっかけになれば、業界全体が女性に優しい業界になっていける」と期待を示した。

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