新潟市役所が生成AI活用研修を開催 職員90名が実践ワーク

新潟市内の各部署、各部門から参加した職員

新潟市役所は2月18日、「生成AI活用研修」を開催した。生成AIを業務で活用することを検討している職員90名が参加し、ChatGPTの基礎知識から実務への活用方法まで幅広く学んだ。今回の研修を企画した人事課の山田慧さんによると、昨年、職員約2,000人を対象に実施したアンケートで、研修ニーズとして最も高かったのが生成AIだった。同時に、苦手意識が強い分野としても生成AIが挙げられ、生成AIの活用に弱みを感じると回答した職員が56.7%、研修を希望する職員が46.7%にのぼっており、現場の高いニーズが明らかになっていた。

研修開催趣旨を説明する新潟市役所人事課の山田慧(あきら)さん

「どの職員も業務に忙しく、生成AIを活用する余裕がないというのが正直なところ。生成AIにお願いできる部分はお願いして職員の負担を軽減し、AIにはできない市民サービスの質を高めることに時間を使ってほしいというのが今回の研修の最大の目的。今後も活用をもっと広めていきたい」と山田さんは話す。「使ったことはあるが業務でどう活用すべきか分からない」という層が多いことから、実務事例の紹介と手を動かすワークを中心とした実践的な内容で企画された。

研修講師はにいがたAIビジネス株式会社取締役COOの朝妻拓海さんが務めた。同氏は英会話スクール経営を経て中小企業への生成AI導入支援を手がけており、新潟IPC財団や青年会議所でのセミナーのほか、コスタリカ国立技術大学での講演など国内外に幅広い実績を持つ。当日は同社CEO・大竹崇仁さんも同席した。

生成AIの基礎から説明するにいがたAIビジネス株式会社取締役COOの朝妻拓海さん(右)と代表取締役CEOの大竹崇仁さんも同席し、ワークに取り組む職員へのアドバイスを行った

朝妻さんはまず、ChatGPTが文書作成・要約・翻訳・アイデア出しなどに優れる一方、「ハルシネーション」と呼ばれる事実と異なる情報をもっともらしく出力するリスクがあると説明。個人情報や機密情報を入力しないこと、設定画面でデータを学習させないよう変更することを推奨し、安全な活用の原則として、設定のオフ・個人情報の不入力・人間によるチェックの3点を挙げた。

AIへの指示文(プロンプト)の書き方については、「AIを使うことは料理と同じ」と例え、役割・指示命令・制約条件・出力形式の4要素を盛り込むことで精度が上がると解説した。「曖昧な指示では欲しい結果が出ない。具体的に伝えることが重要で、それは人間同士のコミュニケーションと変わらない」と強調した。

研修後半の実践ワークでは、新潟市のホームページのURLをChatGPTに入力し、「不満を持つ市民」という役割をAIに与えて問題点を洗い出したうえで、改善策や提案書を作成する演習を実施。日常業務では気づきにくい市民目線の指摘がAIから次々と出てくる様子に多くの職員が関心を示し、活発な雰囲気のなかでワークが進んだ。

積極的に質問を投げかける職員に丁寧に答える大竹さん

参加した50歳代幹部職員は「現場スタッフは業務に追われ、自分で勉強する時間がなかなか取れない。管理職の私が研修に参加して学び、職場全体に広めていく役割を担いたいと思い、参加した。AIにさまざまな役割を与えることでアウトプットが変わるプロンプトのテクニックを学べたことが大きな収穫」と話す。

起業支援窓口を担当する20歳代の女性職員も「自分では思いつかないような視点が次々と出てきて、プロンプトの組み方がいかに重要かを肌で実感した。AIの使い方を知っているつもりでも、こうした工夫をほとんどできていなかったと気づかされた」と振り返った。

チラシ製作などに生成AIを活用したいという職員ヘアドバイスを行う朝妻さん

講師の朝妻さんは「行政の方を対象にした研修は今回が初めてだったが、AIへの興味・関心の高さは民間も行政も変わらないというのが率直な感想。書類業務の多さという課題は、福祉現場でも行政でも共通している。今日の研修は基礎の基礎だが、AIは対話が全て。その精度をどれだけ上げられるかは経験値の積み重ねになるため、ぜひ積極的な活用を続けてほしい」と述べた。研修は後日、動画でも案内される予定で、新潟市役所では研修の成果を今後に活かす方針だ。

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