【特集】~NIIGATA 越品10年の歩み~新潟の宝を磨き、世界へ。NIIGATA越品10周年記念祭「にいがたからものがたり。」開催に向けて

新潟伊勢丹・NIIGATA越品バイヤーの鈴木真澄さん
発足から今年で10年を迎える新潟伊勢丹の「NIIGATA越品(えっぴん)」。
NIIGATA越品は、10年間で新潟の地場産業を代表するプラットフォームへと成長し、事業者との商品開発、自治体連携、大学生との共創まで領域を広げ、3月4日からは新潟伊勢丹6階催物場でNIIGATA 越品10周年記念祭「にいがたからものがたり。」が開幕する。NIIGATA越品バイヤーの鈴木真澄さんに、10年の歩みと今後の展望、イベントの見どころを聞いた。
キャンペーンから「自主編集の場」へ
三越伊勢丹グループで日本独自の文化を世界へ向けて発信する「JAPAN SENSES」施策の中で、新潟伊勢丹が立ち上げた地域価値発信プロジェクトだ。NIIGATA越品では2016年3月から、百貨店の目利きを生かし、県内の優れた産品を発掘・編集して発信。商品販売だけでなく、その背景にある作り手の物語やこだわりを丁寧に伝えることで、新潟の地域価値そのものを再発見し、広く届ける取り組みだ。さらには未来の作り手、担い手へと繋げることも役割の一つとしている。
スタート当初は各フロアのバイヤーが越品としてコンテンツを探し提案する、新潟伊勢丹全館におけるキャンペーンとして始まり、2017年4月に2階入口の常設ショップ、2018年に7階ダイニング&カフェが誕生。2019年にオンラインストアを開設し、2020年の大規模リニューアルで1階に移設・拡張され、現在に至る。

NIIGATA越品は、場所や時期を変えながら展開してきた
売り場での展開では「自主編集」が大きな強みだ。テナント形式ではなく、何をどこに・どれくらい配置するかをNIIGATA越品のスタッフが決めることで「お客様の声をそのまま事業者様に届けられる。その往復が商品開発や改良・認知度向上につながっていきます」と鈴木さん。
これによって事業者同士のコラボレーションが提案でき、これまでも亀田蒸溜所(新潟市)と越品のコラボラベル、津南町のとうもろこしとフタバ(三条市)の出汁を組み合わせた炊き込みご飯の素の開発、マルナオと諏訪田製作所(共に三条市)による越品限定販売の爪切りの販売が実現。1+1を2ではなく3にする、高付加価値プラットフォーマーとしての役割がNIIGATA越品の真骨頂だ。
この10年で、自治体連携にも力を入れてきた。佐渡市、南魚沼市、魚沼市、燕市、加茂市と5つの地域連携企画を実施。単品の発掘にとどまらず、地域そのものを取り上げることでNIIGATA越品ならではの地域性を発信し続けている。
NIIGATA越品が10年続いた秘訣は一体何か。これについても鈴木さんに尋ねた。
「まず、第一にお客様に恵まれた地域であることが非常に大きいと考えています。2024年に新潟伊勢丹は開店40周年を迎えました。地域の皆様から支えていただき、長きにわたりご愛顧を賜り継続した商売ができることが何よりも強みだと考えます。
また、新潟は衣食住において恵まれた環境にあります。豊かな自然から生まれる食品、職人の皆様が継続による賜物である伝統工芸品、ニット産業含む素敵なお洋服がバランスよく、多面的な提案が可能で、幅広く商品を伝えられることが強みでもあります」
同時に、新潟伊勢丹は地域唯一の百貨店として地場産業の活性化が使命だというスタンスが代々引き継がれてきたことも大きい。最近は、NIIGATA越品が新入社員の登竜門としても機能している。入社した若手スタッフが越品からキャリアをスタートさせるケースが増え、就職活動中の学生からも『NIIGATA越品の取り組みに共感して志望した』という声が多く届いているという。
地場産業の活性化というキーワードは、地域の百貨店としての使命として、若い世代の地域貢献のテーマとしても確実に響いているというわけだ。
次の10年へ。インバウンド、県外、そして「内圧を上げる」戦略
鈴木さんがNIIGATA越品のバイヤーに就いたのは2025年。紳士服担当として新宿伊勢丹メンズ館出向を経験し、その後は営業計画全体を俯瞰しながら新潟伊勢丹の開店40周年の売り出しを計画。違う角度からNIIGATA越品を見てきたからこその課題も見えている。

新潟伊勢丹1階で展開するNIIGATA越品ストア
「もともと越品は県外、できれば海外への展開という構想もあったのですが、過去10年の取り組みは新潟県内に留まっていました。ここから先は提案の幅とお客様の幅を広げていく必要があります」と鈴木さんは意気込む。
具体的なアクションはすでに動き出しており、昨年12月には湯沢町の苗場プリンスホテルの売店に越品コーナーを設置。ウィンタースポーツを楽しむインバウンドの観光客から想定以上の反響が生まれており、佐渡・しまふうみのクッキー缶は桁違いに売れているという。諏訪田製作所の爪切りのアイテムも毎月コンスタントに動くなど、インバウンドの購買力や日本・新潟の良いモノに触れたいという関心を実感する機会になった。
今後は三越伊勢丹の海外事業部や全国の百貨店との連携も視野に入れる。ただし、鈴木氏が強調するのは、外への発信より先に県内での「内圧を上げる」ことだ。
「内圧が高くない=準備運動ができていないことと同じなのです。準備運動ができていない状態で走り出そうとすると、すぐにケガをしてしまいますよね。『内圧を上げる』とは、地域の人々が自分たちの土地のものを本当に好きになり、誰かに伝えたくなる状態のことを指します。例えば、全国放送のテレビで地元の人が家族で自分たちの食や文化について語り合うシーンを見ると『行ってみたい・食べてみたい』となりますよね。あれが内圧を上げているシーンです。県民自身が愛して、誇りを持って語れるようになれば、その熱量は自然と県外、海外にも伝わっていくと考えています」
新潟県内での内圧が低いまま外に出ようとしてもなかなか通用しない。新潟の人が大切にしているものという熱量がなければ、内容も浅く、乏しくなる。「だからこそNIIGATA越品がまず取り組むべきは、新潟県民が『これは新潟が誇るもの』と語りたくなる体験を積み重ねることが大切」だと鈴木さんは語る。新潟の衣食住、農産物や産業の豊かさがその戦略を支える。県内の衣食住をまるごと提案し続けられる、豊かな環境と多様性こそが越品の強みとなっている。
NIIGATA越品10周年を祝う「にいがたからものがたり。」、その全貌

NIIGATA越品 10周年記念祭に対する意気込みを語る
3月4日(水)から「NIIGATA越品10周年記念祭 にいがたからものがたり。」が幕を開ける。1階の常設売り場に加え、6階催物場を使った大掛かりな構成は、NIIGATA越品の冠を掲げる催しは初めてといっても過言ではない。会期は1階NIIGATA越品が3月10日(火)17時まで、6階催物場が3月9日(月)16時までの開催となる。

「にいがたからものがたり。」のメインビジュアル
タイトルの「にいがたからものがたり。」には「新潟の宝物」にNIIGATA越品が光を当てることで、新潟地域そのものをよりよい土地へと変えていく「物語(ものがたり)」をつくる、そんな意味が込められている。鈴木さんはこのイベントを「単なる周年祭としてではなく、越品リブランディングの元年であり新たなスタート地点である」と位置づける。10年間積み重ねてきたNIIGATA越品が、次の10年に向けて新たなスタートを切る。
目玉のひとつが、6階催物場で行われる長岡市の老舗団子店「江口だんご」の新潟市初出店(3月7日(土)~8日(日)2日間限定)。新潟大学創生学部の学生が考案したオリジナルだんごの販売をはじめ、土日には団子焼き体験も予定される。同じプロジェクトでは、同じく長岡市で飲食店やベーカリーを展開する「SUZU GROUP」も参加。長岡市摂田屋エリアで作られる発酵食品を使い、お弁当の販売を行う。地域の老舗、若い知性、食の作り手が三つ巴で新たな価値を提供する。

初出店となる長岡市・江口だんごの「五色だんご」も販売される

同じく長岡市・SUZU GROUPのお惣菜や「WILLOW HOUSE」のパンが味わえるオリジナル弁当
食のコラボでは、高級焼肉の有名店「叙々苑」とNIIGATA越品が組んだ「叙々苑×村上牛弁当」も外せない。NIIGATA越品が10年かけて磨いた「コラボで価値を2倍ではなく3倍以上にする」哲学の集大成ともいえるコラボレーションだ。

良質なサシが入り、とろけるような食感の村上牛と叙々苑がコラボ
また、吉田電材蒸留所(村上市)によるウイスキー樽詰め体験は3月7日(土)~9日(月)まで数量限定で開催。自分の手で瓶に詰める「ハンドフィル」を体験できる。ろ過せずに樽から直接注ぐため、樽の繊維まで含んだ原酒そのままの風味が宿る。「普通は手に入らないものをここで体験できる。その体験のライブ感こそがNIIGATA越品の場にふさわしい提案と考えています」と鈴木さんは語る。
また、普段は会員制の洋菓子店「KONDITOREI ERDBEERE(コンディトライ・エルトベーレ・魚沼市)」は焼き菓子の販売はもちろん、酒粕のソフトクリームも提供予定。この機会を逃すと、次はいつ巡り合えるかわからない貴重な出店となる。(出店は3月7日(土)~9日の3日間6階催物場)
工芸品では、レジンアートを手掛けて活躍中の「パパとわかなのレジンアート工房」(新潟市)が出店。家具メーカーtree coat(阿賀野市)とコラボし、レジンアートをサイドテーブルや間接照明として暮らしに落とし込んだ作品を展示・販売する。

「パパとわかなのレジンアート工房」のyamatopapa氏とwakana氏
南魚沼市の「パティスリーアローイ」、糸魚川市の「フェルエッグ」は前半3日間(3月4日(水)~6日(金)の限定出店。米農家「まつえんどん」の玄米ベーグル、新潟市秋葉区の「御菓子司羽入」のNIIGATA越品限定三色だんごなど、普段は現地まで足を運ばなければ出合えない商品や作り手たちが集う。NIIGATA越品の常設には出ていない、新しい顔ぶればかりとなる。詳細は新潟伊勢丹HPでも紹介されている。

新潟市秋葉区の御菓子司羽入の「NIIGATA越品限定三色だんご」
「新潟を外に売り込む前に、まず新潟県民が自分たちの地域にあるものを知り、誇りを持って人に語れるようにしなければなりません。内圧が上がった状態で初めて県外や海外にも通用していくものになっていきます。NIIGATA越品はその内圧を高める拠点であり、関わる事業者様の価値を上げ続けていきたいです」と、鈴木さんは次の10年に向けて力強く語る。
この10周年の記念祭はNIIGATA越品の集大成。10年分の宝ものが一堂に会する6日間、新潟の豊かさをまるごと感じに、ぜひ新潟伊勢丹へ出かけてみてほしい。
【開催概要】
NIIGATA越品10周年記念祭「にいがたからものがたり。」
新潟伊勢丹(新潟市中央区八千代1-6-1)
▷1階 NIIGATA越品 3月4日(水)〜3月10日(火)17時まで
▷6階 催物場 3月4日(水)〜3月9日(月)16時まで