ぽんしゅ館・試飲コーナーで24カ月連続1位、「神の水」で造るテロワール、弥彦酒造の「彌彦 極」

弥彦酒造の大井源一郎専務取締役、手には現在ぽんしゅ館新潟驛店「唎酒番所」で24カ月1位となった「彌彦 極」

ぽんしゅ館は新潟駅、長岡駅、越後湯沢駅に展開する、酒どころ新潟の魅力を体感できる人気施設。中でも「唎酒番所」は、ワンコインで県内各蔵の銘酒を飲み比べできるとあって、観光客や出張客でにぎわう。その新潟驛店で、2024年2月から24カ月連続試飲1位という快挙を続けているのが、弥彦酒造(新潟県弥彦村)の「彌彦 極」だ。

ぽんしゅ館の担当者は「やはり、グループで来店した時に一人が飲んで『美味しい』と思えば周りにも勧める。そうした口コミのような形で人気が伸びたのでは」と話す。また、「彌彦 極」は試飲だけでなく商品の売れ行きも上位。支持は一過性ではない。

県内111の酒が並ぶぽんしゅ館新潟驛店「唎酒番所」(2025年12月撮影)。かつて越後湯沢驛店では「越後鶴亀」が連続1位を獲得し殿堂入りとなっているが、新潟驛店での連続1位記録は現在の「彌彦 極」が最長だ

「ウチにはこだわりが3つあって、1つ目が弥彦山の伏流水を使っていること」そう語るのは、弥彦酒造の大井源一郎専務取締役だ。

弥彦酒造があるのは弥彦山と多宝山の間で、彌彦神社のすぐ近く。ここから湧き出る水は硬度1.1の超軟水で、酒造りにおいては米の発酵が穏やかに進むことが特徴。低温で長い時間をかけることで、飲みやすい酒になるという。水の個性を生かすことが出発点だ。

そして2つ目が米。仕込み水と同じ伏流水が注ぐ地元の田んぼで、契約栽培された米を用いている。弥彦山の水で育った米を、弥彦山の水で仕込む。これを大井専務は「弥彦テロワール(フランス語で土地の風土や環境などを表し、ワインなどの品質や個性を語る際にも使われる)」だと話す。

弥彦の米と水が、3つ目の「普段着で飲める酒」に繋がる。「気軽に飲める普通酒にこだわっている」と大井専務。また、近年流行りの甘みや酸味の強い酒は造らない方針だという。「やはり新潟は食事、特に魚が美味しいので、それに合う酒にしたい。飲み飽きしなくて、酔ってきても杯が進むような、語り合えるような酒。それがこだわり」(大井専務)。派手さや目新しさよりも、完成度が高く飲みやすい酒──そんな姿勢が、「唎酒番所」でも自然と客を惹きつけた。

また、出荷のタイミングにも工夫がある。「本当は1年ほど寝かした方がいいものを、8カ月から9カ月ほどで市場に出している。市場で2、3カ月滞留していることを見越して、消費者に一番喜んでもらえるタイミングで渡るように計算している」(大井専務)。

弥彦酒造は全社員6人。だからこそ大手にはできないこだわりや、手間のかけ方ができるという

販路は県内を中心としながらも県外、さらに海外にも広がりを見せる。オーストラリアやアメリカ、東アジア・東南アジア各国で取り扱いが増えている。料理に寄り添う味わいは和食人気の高まりとともに評価を得ており、日本の酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されたことも後押し材料となっている。「弥彦の水と米で造った酒だと伝えると、海外の方はとても喜んでくれる」と大井専務。土地に根ざした酒造り「弥彦テロワール」は、むしろ海外でこそ個性として強く響く。

最後に、「彌彦 極」オススメの飲み方について聞いてみると、大井専務は「私自身は塩辛やスルメがあればそれでいい、という人間だけど」と笑う。しかし、その気負わないあり方こそ「普段着で飲める酒」を象徴している。「でも、やっぱり新潟は海鮮が美味いので、それに合わせてほしい。イカや甘エビ、冬だったら寒ブリや鍋もいい。こんなに肴が美味い県はほかにない」。

24カ月連続1位という記録は、決して偶然ではない。来県者や日本酒ビギナーも行き交う新潟駅で、数ある銘柄の中から選ばれ続ける一本。その背景には、風土に根ざした揺るぎない哲学と、飲み手に寄り添う誠実な酒造りがあった。

 

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弥彦酒造 webサイト

 

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