【コラム】「ふれ丘」送迎は「あんしん」の礎に、「あんしん」創業半年目から24年継続中 ノーマライゼーションの共生社会をめざして|NPO法人支援センターあんしん・島田 実

新潟県十日町市には、「十日町小学校(以下、十小)」「十日町市立ふれあいの丘支援学校(以下、ふれ丘)」「市発達支援センターおひさま」の3施設を一体化した、市立の複合型教育施設があります。全国でも数少ない「共生」を教育の根幹に据えた施設で、市街地を見下ろす丘陵地に整備され、開設から13年を迎えました。
3施設はバリアフリーのオープンスペースでつながり、体育館や特別教室なども共有されています。普段から十小の児童とふれ丘の児童生徒が触れ合える環境が整っており、互いの人格や個性を尊重しながら育ち合うことができます。教職員同士の情報共有もスムーズで、こうした取り組みは「夢の学校」として全国から多くの関係者が視察に訪れています。

こうした中、私ども「NPO法人支援センターあんしん(以下、あんしん)」は、ふれ丘の小・中学部児童生徒の通学や校外学習の送迎を担っています。前身となる新潟県立小出養護学校ふれあいの丘分校が2002年4月に開設された際、市が担っていた送迎業務を翌年から引き継ぎました。当時、あんしんは設立から半年ほどの障がい者支援団体でした。
実際、送迎開始時はやっと無認可作業所(利用者さん5人以上が必要)になったばかりで、車は利用者用に1台しかなく、市から学校児童用の送迎車1台をお借りしても足りず、福祉医療機構や日本財団に事業計画をびっしりと書き込み助成申請し、何とか認可を頂き助成金を活用して車椅子対応を含む新車(10~13人乗り)2台を購入できたことで、必要な送迎車3台体制を整えてのスタートでした。
当時、他に送迎の受け手はなく、障がいのある末娘の送迎で苦しんだ樋口会長夫妻にとっても切実な課題でした。行き場がない障がい者を支援したいと発足したばかりの「あんしん」でしたが、安定した送迎体制を構築できたのは本当に良かったと、今でも胸を撫で下ろしています。この大変だった新たな1歩が、今の「あんしん」にとって成長の礎となっています。
障がい児をふれ丘まで送迎する仕事は、単に車に乗せればよいわけではありません。ドライバーと介助者は児童を玄関先まで迎えに行き、保護者からその日の健康状態などを聞き取り、学校に伝えるという、家庭と学校を結ぶパイプ役も担っています。精神的に敏感な子どもも多く、細やかな配慮が必要ですが、還暦過ぎが大半で人生経験も豊富なドライバーらの優しい笑顔は安心感を与えています。車椅子にも対応した車両で介助専門員が送り迎えする、今年で24年目を迎えたあんしんの送迎業務は、学校や歴代保護者から高い評価をいただいています。

十日町市立ふれあいの丘支援学校 小林浩子校長
ふれ丘の小林浩子校長は「あんしん」に対し、「本当にありがたいです。おかげで子どもたちが毎日元気に通っています。登下校だけでなく校外学習にもバスを出していただき、これほど多くの校外学習ができる学校は初めてです。市外にも気軽に行くことができ、大切にしている交流活動や体験学習を地域の中で実施できる機会を確保していただいています」と語ります。
さらに「今冬は大雪で、始業の9時になっても子どもたちが誰一人来ない日がありましたが、多少遅れてもあんしんさんがしっかり送ってくれました。大雪の予報が出た際に『バスは大丈夫ですか』と尋ねたところ、『運転しようと思っています』との返答があり、『それなら学校も開けよう』と判断することができました。1軒1軒回ってくださる点もありがたく、何よりヘルパーさんや運転手さんがとても温かい。子どもたちを大切にしてくださり、安全運行のために市と連携して何度も相談を重ねてこられました」と話します。
特別支援学校は始業が9時と遅く、保護者が送迎する場合は就労が難しくなるケースもありますが、「あんしん」や津南町の送迎を担う「ひまわり」の存在により、保護者も安心して仕事に就くことができています。午後3時の下校後も、放課後等デイサービス利用者は直接事業所へ送迎されるため、フルタイム勤務も可能になります。
外部有識者で構成されるふれ丘の「学校運営委員会」には、あんしんの役員が開設時から所属しており、2024年からは委員長も担っています。こうした積み重ねにより関係者からの信頼を得て、地域に浸透し、新たな利用者の増加にもつながっています。

さらに、川西高等特別支援学校の送迎も担うあんしんは、卒業後に在宅生活を希望しながら日中の行き場がない障がい者のために、郡市内で初となる重度障がい者向け通所施設「ケアセンター・ハーモニー」(看護師常勤、特殊入浴設備完備)を開設しました。採算面から手を挙げる事業者がいなかった中での挑戦でしたが、保護者の声に向き合い続けてきた結果でもあります。
現在、送迎業務は支援学校に加え、市内の中学校10校中4校、小学校16校中6校、こども園2園へと拡大。川西診療所や市営バス2路線の運行も受託するまでに成長しました。
ふれ丘の児童生徒約30人を含め、朝の送迎人数は約240人にのぼります。21台の車両を使い、「送迎部」と「川西送迎」の2部門で、ドライバー21人、介助者7人、点呼担当2人の体制を構築。早朝6時30分から最も遅い19時30分まで、「安全第一」で業務にあたっています。
十小らとの連携に加え、障がい者との共生社会の実現を目指し、あんしんグループでは西小学校4年生の「ワークセンターあんしん」での製造体験に毎年協力しています。また、「きぼうワークス」の利用者による川治小学校のランチ配食業務も4年目を迎え、高齢者施設「アップル十日町」への配食や、一般企業「クローバフォー」の出荷作業にも取り組んでいます。農福連携として農家からの委託作業も受託し、13棟のグループホームでは防災訓練や地域行事にも参加しています。
障がいのある人も地域社会の一員として暮らす「ノーマライゼーション」が当たり前となる社会の実現に向け、これからも邁進してまいります。
NPO法人支援センターあんしん 島田 実
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