【湊町に泊まる・花街に染まる】「NIPPONIA新潟・古町花街」オープニングセレモニーと内覧会

開業セレモニーで鏡開きを行う来賓と関係者
新潟市の旧市街地・古町エリアに新たに誕生した、株式会社ふるまち樽拳が運営する分散型宿泊施設「NIPPONIA新潟・古町花街」の開業セレモニーと内覧会が4月9日に開かれた。
NIPPONIAブランドは、丹波篠山市の株式会社NOTEがブランド管理と開発を担い、各地域のパートナー事業者が施設運営を担う仕組みである。歴史的建造物や古民家を活用し、地域固有の歴史や生活文化、食文化を生かした宿泊・飲食事業を展開している。地域ごとに事業主体を構築することで、単発の開発で終わらせず、時代に応じた持続的なまちづくりにつなげている。

美や古の玄関口

「うち波」棟外観

はな弥棟外観
主に古民家のリノベーションによってハイエンド向けのホテルやレストラン、カフェとして活用している。現在、新潟を含めて全国33地域に展開しており 、兵庫県丹波篠山市、埼玉県秩父など、全国の歴史的な街並みエリアで事業展開、持続可能なエリアマネジメントにつなげている。
2025年には「NIPPONIA 佐渡相川 金山町」が米TIMEの「世界で最も素晴らしい場所 2025」の宿泊施設部門に選出された。

メディアの取材を受ける株式会社ふるまち樽拳の役員ら(左から今井幹太取締役COO、廣瀬雄一取締役CFO、小田嶋壽信代表取締役CEO)
今回、「NIPPONIA新潟・古町花街」の事業者は株式会社ふるまち樽拳。ナミックス株式会社、藤田金屬株式会社、株式会社廣瀨、株式会社Essa(新潟日報社とNOTEの共同出資会社)によって2023年6月に設立されたまちづくり会社で、「NIPPONIA新潟・古町花街」の構想もほぼ同時にスタートしたという。

スタッフがベッドメイキングする美や古の寝室。この部屋のベッドはシモンズ製

照明具は当時の面影を残す
「NIPPONIA新潟・古町花街」は、かつて北前船の寄港地としてにぎわい、江戸末期の開港五港のひとつでもある新潟湊の風情を残した歴史的建造物3施設が起点となった。明治時代から待合茶屋(芸妓との遊興や飲食に使われる明治時代の茶屋)として使われた建物をリノベーションした「美や古」(運営:藤田金属株式会社)、明治から昭和初期にかけて刃物職人の店だった「うち波」、華道の師匠が住まっていた「はな弥」の3施設。3施設の総改修費用は 約2.8億円。3施設が同一エリアに分散して立地することで、まちづくりが「点」に終わることなく「面」の開発へと続いていく。

新たにしつらえた洗面所とバスルーム
9日は14時から「美や古」の内覧会が開かれ、多くの招待客が足を運んだ。新潟湊の料亭文化、芸妓文化の中心的存在で、現在の建物でも築80年以上となる。外観は花街の雰囲気が残る街並みに溶け込み、湊町の情緒にあふれる。内観も、現代的にリノベされた箇所やこだわり抜いた家具・調度品とともに「古い部分を古いまま残した」場所がいくつも垣間見え、時空を超えたような非日常感に包まれる空間である。

バーの個室では古町芸妓を呼んで「お座敷」を楽しめるシステム
併設されるバーにもこだわりが満載で、木のあたたかみとシックな空間デザインが同居した内観が心地よい。カウンターでは「坂本龍一が愛した椅子」として知られるオーレ・ヴァンシャー(デンマーク)デザインのコロニアルチェア/OW149が体を包む。

「坂本龍一が愛した」というの椅子でバータイムを楽しめる
坪庭を望む個室では、芸妓の舞やお座敷遊びを楽しめるという。芸妓の「花代」も宿泊代にインクルードされるので、宿泊客は新潟湊の芸妓文化を体験しながら宿泊できる。
「古い建物」を「古さを生かしたままで」リノベーションするというのは、現代においては一般的な認識よりも高い障壁がある。当時の風情を消さずに建築基準法や消防法をクリアしなければならないためだ。「美や古」を内覧し、高い水準でそれが実現されていることに感動を覚える。

「私たちのまちづくりは、ここで終わりではない」と小田嶋代表

花角英世新潟県知事

中原八一新潟市長
ふるまち樽拳の小田嶋壽信代表取締役CEO(ナミックス株式会社代表取締役社長)はセレモニーの挨拶で「構想3年、ようやくここまで来たという気持ち。NIPPONIA新潟・古町花街をきっかけとして、昔の古町のように人がすれちがうのも困難なほどにぎわう街に再生してほしい。私たちのまちづくりはこれで終わることなく続いていく」と話した。古町エリア再生の起点となれるか、今後の展開がが注目される。

新潟が誇る花街の芸妓文化が、新しい拠点から世界へ発信される