【記者ノート】コラム・「ギフテッド」どう支援するか、今後の課題探る 発達障がいではなく特異な才能持つ子どもとして

上越教育大学大学院の角谷詩織教授の訳書『ギフテッドネス』など
「ギフテッド」は知的能力でIQ130以上
AI教育が叫ばれる中、子どもの特徴や個性を活かす教育をどう進めるのか。特に、特異な才能持つ子ども達が学校の授業が退屈で苦痛を感じ不登校に繋がることにはなって欲しくない。とは言え、学校(学級経営)は集団教育で進められており、どうしても“最大公約数”に合わせるのはやむを得ないだろう。そうすると、そうした枠に入れない子ども達は常態的に苦痛を感じ続けることにならないのだろうか。
一般的に「ギフテッド」は、生まれつき平均より著しく高い知的能力や、特定の分野で突出した才能(IQ130以上が目安とされることが多い、35人学級に一人程度存在)を持つ子どもであり、単に学業が優秀なだけでなく、強い探求心や豊かな感受性を持つ一方で、周囲とのズレから生きづらさを感じることもあると言われる。
主な特徴として、特定の分野に驚異的な記憶力や集中力を発揮するが、情緒面や感覚面で感情やエネルギーの起伏が激しかったり、クラスメイトとの会話が合わず、社会性や情緒面での発達が追いつかないアンバランスさが見られるという。タイプ的には通常の学校の授業では物足りなさを感じる英才型と、ASD(自閉スペクトラム症)やADHDなどの発達特性を併せ持ち、周囲から理解されにくい2E型からなると言う。
しかし、この「ギフテッド」についてはまだ、教育現場では余り関心がもたれていないようにも思う。しかし、ギフテッドが今、全国の教育分野で大きな課題になっている不登校問題と関係があれば、見逃すことは出来ないし、知的能力が高いにも関わらず、その能力を十分伸ばすことが出来ないのであれば、そうした能力を発揮して貰うためにも、「ギフテッド」の子ども達に対する教育的支援や教育的配慮がなされてもいいのではないかと強く痛感する。
特例制度を設け一部の授業免除や大学等で研究やオンライン受講も
そんな中、文部科学省がこの程、「ギフテッド」とも呼ばれる特異な才能を持つ子ども達の個々の才能を伸ばして貰おうと、こうした小中学生向けの子ども達の特例制度の骨子案を示した。それによると、特定の分野で才能を持つ児童生徒の学校での一部の授業を免除し、高校や大学で授業を受けられるようにしたり、具体的には得意教科については大学に移動して研究したり、オンラインで大学での講義を受講出来るようにするという。もちろん本人希望が優先であり、その対象者には学校が個別に計画を作成する。文科省ではこの特例制度は2030年度の導入を目指し、次期学習指導要領に盛り込みたいとしている。
上越市教育委員会学校教育課で担当職員に聞くと、「文科省でギフテッドに対する取組みを始めていることは承知している。これまでも多様なニーズのある児童生徒に対する日常的な対応について、臨機応変に対処している」と話している。早川義裕教育長も「今年4月に旧諏訪小学校の校舎を活用して、県内初の『学びの多様化学校』(名称・諏訪中学校)が開校しており、そうした子ども達に対する対応はこの『学びの多様化学校』も含め、今後しっかりとした対応が出来ればとも思っている」とも話す。
また、「ギフテッド」研究の第一人者であり、文部科学省の中央審議会の作業部会で主査代理を務める上越教育大学大学院の角谷詩織教授は「日本ではギフテッドに対する体系的な支援は確立されておらず、草の根的に広がっている状態だ。周囲から誤解され、見いだされずにいるギフテッドの救済には教育的配慮が必要だ。文科省が検討する特例制度によって、そうした子ども達のニーズが公的に認識され、その支援の必要性が認められた点で大きな意義がある。支援を行う学校や教育委員会、専門機関の間の相談体制を充実させることが大切だ。そうした子ども自身が日常的に最適な教育環境を選べる状態にしていくことが重要である」(要旨)と訴えている。
参考文献・資料
角谷教授の訳書『ギフテッドネス』及び『ギフテッド‐その誤診と重要診断』 公明新聞の5月5日号3面
竜哲樹(にいがた経済新聞ライター)