【梅川リポート35】法政大ラグビー部が妙高市で合宿、大学日本一へ 夏季観光にも商機

法政大学ラグビー部員、関係者ら約100人が集合

法政大学ラグビー部が8月8日から14日まで、新潟県妙高市で夏合宿を行った。新潟県妙高市での合宿は今年で2年目で、同大ラグビー部員ら約100人が参加した。2026年は法政大のみを受け入れたが、地元関係者は2027年以降、大学や社会人チームの誘致を増やしたい考えだ。冬季観光の比重が大きい妙高市にとって、スポーツ合宿は夏季の宿泊や飲食などの需要を生み出す可能性がある。

8月10日14時、妙高市の妙高ふれあいパークのグラウンドには涼しい風が吹き、選手同士がぶつかる音や息遣い、威勢の良い掛け声が響いた。監督やコーチの指示を受け、選手たちは天然芝の上で躍動するように、思い切り練習を重ねた。

涼しさの中、天然芝のグラウンドで思い切り練習する選手たち

攻守を鍛え、秋のリーグ戦へ

法政大ラグビー部の新宮孝行監督は、前年の合宿を「雨が続き、グラウンドを思い通りに使えなかった」と振り返る一方、今年の環境については「素晴らしい天然芝だ。1年ごとに良くなっている」と評価した。

チームは大学日本一を目標に掲げる。新宮監督によると、前年は得点できても、それを上回る失点を喫する試合が課題だった。このため、2026年春から体づくりと守備の仕組みを強化してきた。「夏にここで、きちんと戦術と戦略を練り、9月13日の関東学院大学戦に向かいたい」と力を込める。

選手の育成にも力を入れる。監督は「高校で1番手だけではなく、2番手、3番手の選手が法政に来て覚醒してくれる」と話し、大学4年間で力を伸ばす方針を示した。

法政大の西田幸介ラグビー部名誉顧問(同大副学長)も「まずはリーグ戦優勝、その先に大学日本一がある」と語る。ただ、勝敗だけが目的ではない。「学生が勝つことに向けて努力し、その結果、成長してくれることが一番大事だ」と強調。「現役を終えた後の人生の方が長い。人間力を高めてもらわなければならない」と、競技を通じた人材育成の意義を語った。

涼しさと天然芝が誘致の強み

右から、法政大ラグビー部の新宮孝行監督、法政大の西田幸介ラグビー部名誉顧問(同大副学長)、中村康司新潟県議会議員、山の家倶楽部合同会社の藤井伸郎代表

8月10日の練習後、寄宿先の妙高市の赤倉ホテルで、法政大の西田幸介ラグビー部名誉顧問(同大副学長)、法政大ラグビー部の新宮孝行監督、中村康司新潟県議、山の家倶楽部合同会社の藤井伸郎代表らによる対談が行われた。

中村康司新潟県議は、夏の県内で高い競技水準の合宿を受け入れるには、標高が高く涼しい妙高市や新潟県湯沢町などが有力になるとの見方を示した。取材で現地を訪れた際の気温は20度だったといい、「ここは環境が全然違う。高いパフォーマンスを求めるチームの合宿に適している」と話した。

中村県議は、2000年に新潟県糸魚川市で早稲田大学ラグビー部の事前合宿を受け入れた経験にも触れた。当時は暑さのため翌年以降の継続に至らなかったと説明し、夏でも練習しやすく、夜に休息を取りやすい妙高の気候面の優位性を指摘した。

山の家倶楽部合同会社の藤井伸郎代表は、グラウンド確保など受け入れの実務を担った。妙高市について「条件はいい。法政大がパイオニアとして来ている」と期待する。天然芝の維持に加え、雨天時に使える人工芝や体育館、筋力トレーニング設備、トイレ、水場、落雷時の避難場所などの整備を課題に挙げた。

新宮監督も「合宿期間だからといって、ウエートトレーニングを休ませるわけにはいかない」と設備の必要性を指摘。藤井代表は「天然芝をきちんと整備し、第2グラウンドを人工芝にすれば、ほかのラグビーチームも来るのではないか」と述べた。

妙高市では約20年前から、高校ラグビーの合宿受け入れが続いてきた。中村県議によると、地元の高田高校ラグビー部が指導者や練習相手の確保に苦慮していたことをきっかけに、県外の高校が妙高を訪れるようになった。複数校が集まることで、高田高校にとっても練習機会の拡大につながったという。2026年も高校生の合宿は8月2~8日に実施した。

一方、大学や社会人のチームを増やすには、高校生以上の施設水準が求められる。グラウンドを自由に使えることに加え、筋力トレーニング、雨天練習、けがや疲労からの回復に対応できる環境が必要になる。藤井代表は、公共施設の予約に前夜から並んだ経験を明かし、合宿誘致と地域利用を両立する運用面の改善も課題に挙げた。

冬中心の観光から通年型へ

相澤代表は「妙高市の人たちには、冬がオンで夏がオフという考えを変えてもらわなければならない」と話す。中村県議も「スキーが中心の地域にとって、夏場をどう埋めるかは重要だ。合宿は有効な誘致策だ」と応じた。

ラグビー合宿地として知られる長野県上田市の菅平高原について、西田副学長は、宿泊施設ごとにグラウンドを管理し、学校間で時間を分けて使うため、自由な利用が難しい場合があると説明した。藤井代表は、妙高市が施設面を充実させれば、既存の合宿地とは異なる受け入れ環境を打ち出せるとの考えを示した。

競技施設だけでなく、宿泊、食事、移動、休養まで一体で受け入れる体制を整えられるかが継続誘致の鍵となる。西田副学長は「すごく環境がいい。ぜひ今後も来たい」と語り、最後に「日本一を目指して学生たちも頑張っている。ぜひ応援してほしい」と呼び掛けた。法政大の定着を足掛かりに大学、社会人チームへ受け入れを広げられれば、妙高の夏季観光に新たな需要を生む取り組みとなる。

法政大学は2年連続の妙高合宿となった

 

(取材・文・撮影 梅川康輝)

 

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