佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)が債務超過解消に向けた取り組みの進捗状況を発表

佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)

佐渡汽船株式会社(新潟県佐渡市)は12日、債務超過解消に向けた取り組みの進捗状況について発表した。

同社は2020年12月期連結業績ならびに個別業績において債務超過となったことを受けて、今年2月19日付で発表した「債務超過解消に向けた取り組み」のとおり、今年12月末(今期末)での債務超過解消を目指している。

一方、12日に発表した2021年12月期第3四半期連結業績で、親会社株主に帰属する純損失を17億7,644万5,000円計上していることから、債務超過の解消には至らず、同第3四半期連結累計期間末において22億9,957万1,000円の債務超過となっている。

こうしたなか、同社では債務超過の解消に向けて「経営改善計画」を策定し、債務超過解消に取り組んでいる。具体的にはコスト削減などの収支改善に向けた経営改善計画と、資本増強に向けた各種施策の実施の2つの取り組みを実施している。

収支改善に向けた経営改善計画は6項目。

1つ目は、役員報酬および管理職の給与・賞与の減額で、役員報酬および部長、課長以上の管理職の給与・賞与の減額を2021年も継続。役員報酬は常勤取締役の報酬月額を25%から30%減額するとともに、部長・課長以上の管理職の給与ならびに賞与を5%から10%減額している結果、2021年12月期第3四半期では598万5,000円の費用削減効果があり、同第4四半期においても同程度の費用削減効果を見込んでいる。

2つ目は、小木直江津航路の収支改善。慢性的な赤字を計上している小木直江津航路の収支改善を目的とするため、今年4月29日より、同航路に就航する船舶をこれまでの高速カーフェリー「あかね」に替えて、同社が保有するジェットフォイルに変更した。この変更による船舶修繕費や燃料費などの削減効果により、年間約4億円の収支改善を計画している。

新潟県上越市の直江津港に停泊するジェットフォイル「ぎんが」(2021年7月6日撮影)

3つ目は、貨物運賃の改定。消費税の導入および、消費税率の改定を除いて40年間据え置いてきた貨物運賃について、佐渡島の人口減少、産業構造の変化に伴う貨物輸送量の減少、輸送コストの増大などにより、現行の輸送体制を維持することが難しくなってきたため、22021年4月1日から貨物運賃を10%引き上げた。これにより年間約5,900万円の収支改善を計画している。

4つ目は、貨物部門の収支改善。慢性的な赤字を計上している貨物部門の収支改善のため、今年10月から貨物船「日海丸」の運航体制を見直し、荷量の少ない毎週月曜日を運休し、燃料費の削減を図っている。

5つ目は、グループ企業を含めた費用の圧縮。外部に対して支払う業務委託費の削減として小木直江津航路の代理店手数料などの見直しを行っている。この見直しで、同航路の代理店手数料(年間約2,500万円)の費用削減効果が見込まれる。

6つ目は、各種割引施策の廃止ならびに見直し。現在同社が行っているジェットフォイルを中心とした旅客運賃割引および航送運賃割引などの各種割引施策の廃止や見直しを行うことにより、売上単価のアップを図り、収益基盤の改善を進めていくという。

一方、資本増強に向けた各種施策については、2つに大別される。

1つ目は、国や自治体が行う新型コロナウイルス感染症対策の活用であり、2021年12月期決算において連結・個別ともに、「新潟県地域公共交通感染症拡大防止対策事業費補助金」から5,135万6,000円を特別利益に計上する予定。また、支援額や交付時期などの詳細は確定していないが、上越市議会(令和3年9月定例会)にて、新型コロナウイルス感染症の影響により輸送人員が減少した小木直江津航路の維持に向けた支援などを計上した補正予算案が可決されている。

2つ目は、第三者出資などの実現に向けて関係者との協議・検討を進めていくという。

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