ものづくりの町、燕市の民間スタートアップ拠点MGNETが取り組む新たな循環型ビジネスモデル

スタートアップ拠点「MGNET」

地元で起業するきっかけとなる、生まれ故郷で過ごした日々を想う気持ちの大切さ。この大切さを学生のころから感じていた人は、新潟県内でもそれほど多くないのではないだろうか。この状況を少しずつ変えていこうと、地域の学生たちと共に地域の魅力について語り合う企業が新潟県燕市にある。今年9月、新潟県に起業促進のための民間スタートアップ拠点に指定された、ソーシャルビジネスを手掛ける株式会社MGNET(マグネット、燕市)だ。

マグネットは2011年、名刺入れの製作やマジックメタルで広く知られる武田金型製作所(新潟県燕市)の事業部門から独立。代表取締役を務める武田修美氏のもと、ディレクターやデザイナー、映像クリエイターなど様々な分野のスペシャリスト達が集い、カトラリーを始めとする様々な商品の企画・デザインや書籍の監修、地域イベントの運営など広範な業務を手掛ける。この業務の広範さや、ものづくりの町に拠点を置いている事情ゆえに、「マグネットさんは何屋さんですか」と素朴な疑問をぶつけられることも少なくないという。

そんなMGNETの社名の由来にもなっている「make good network」。これは仕事を通じて地域社会の経済基盤を支え、より良いビジネス環境を作り出すことだ。この持続可能な社会を目指しながら利益を生み出す新たな循環型ビジネスモデルは、日本ではあまり聞かれないが、欧米では既にサーキュラー・エコノミーという言葉で広く受け入れられている。ものづくりの町である燕市で言い換えるなら、これまで培われてきた「職人が価値ある製品を作り、製品が様々なビジネスチャンスを生み出す。やがて、ものづくりの良好な環境が形成され、新たな職人が生まれる」といった好循環の中で、環境づくりの部分に関与。この循環を将来にわたって持続・発展させる取り組みだ。

マグネットが取り組む新たな循環型ビジネスモデル

マグネットは、民間スタートアップ拠点に指定される以前から、この環境づくりを行ううえで、次世代を担う学生たちに対する教育の重要性に注目。地域の良さを一方的に伝えるのではなく、地域の良さを知ることについて、学生たちが自然と受け入れられる下地づくりに力を入れてきた。

このプロジェクトの1つが、地域の中高生とクリエイター、行政が議論を重ねる中でたどり着いたフリーペーパー「キュンマガ」の発行だ。これは、中高生たちが日常を過ごす中で感じた「キュン」とした想いを、自らの言葉と写真で発信する取り組みだ。このプロジェクトは既に行政の手を離れ、学生たちとデザイナーを務めるツムジグラフィカ高橋トオル氏、そしてマグネットの手により、2回目の発行に向けた準備が着々と進んでいるという。

キュンマガ第1号

プロデューサーを務める武田氏は「このプロジェクトで一番大切だと感じていることは、キュンマガに携わった学生さんたちが『私は将来、きっとこの時を思い出すたび、やっぱりキュンとしちゃうと思う』と言ってくれていることですね。これは、多くの人たちが大人になり、さらに10~20年経ってようやく気づくことじゃないですか。学生のうちからそんな俯瞰した考えにたどり着いてくれたことは、心から嬉しく思っています」と喜びを語る。

武田修美代表取締役

このほかにも、MGNETは、働く女性やこれから働きたい女性に向けたセミナーのみならず、中高生を対象としたU―20トークセッション、20代の若者向けのU-30トークセッションといった様々なプロジェクトを展開。若い世代の進学や就職といった悩みに応えている。そんなマグネットには平日や土日を問わず、燕市内はもちろん県外の学生たちが度々訪れる。中には、相談する側から一歩踏み込んで、マグネットに所属しアシスタントとして活躍する女子高生もいるという。マグネットは、これから社会に向けて一歩を踏み出す学生たちに勇気と希望を与えるとともに、その社名が示すとおり、人と人、人と地域をつなげる存在になりつつあるといえる。

【MGNETの概要】
本社オフィス/〒959-1289 新潟県燕市東太田 14-3
表参道オフィス/〒107-0061 東京都港区北青山3-5-6PORTAL POINT内3階
TEL/025-46-8720
URL/https://mgnet-office.com/index.html
ツイッター/https://twitter.com/mgnet_office
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インスタグラム/https://www.instagram.com/mgnetcoltd/

 

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biz Link2019年12月10日号より転載