新潟県信濃川沿岸のみの「火焔型縄文土器」を実際に手に取り、購入できる縄文ギャラリー「JOMON」

「JOMON」の中。国宝の縄文火焔土器のレプリカも多数あり、実際手に取ると独特の触感がする

諸説はあるが、今から約1万5,000年前から約2,000年前まで、つまり1万3,000年ほどの膨大な期間、日本列島各地で作られていた縄文土器。世界最古の土器とも言われ、一般にはこの縄文土器が作られた時代を、縄文時代という。

この縄文土器を、博物館や展示会で目にしたことがある人も多いだろう。しかしそうしたところで見られる縄文土器のほとんどは、ガラスの仕切りの外から眺めることしかできない。もちろん、触ることもできない。

また、展示されている土器にはレプリカが少なくない。そのレプリカも一昔前は、土器職人が発掘された縄文土器と同じ製法で、本物さながらに新しく作ったものが多かったが、近年は3Dプリンターなどの最先端の技術によるプラスチックで作られることが多い。なお、実際に発掘された縄文土器が展示される場合、それはほぼ間違いなくワイヤーなどで強固に固定されていて、自然体の姿を見ることは叶わない。

そんな縄文土器を取り巻く事情にあって、縄文土器を仕切りなしで見られ、実際に手に取り、さらに購入することもできる小さなギャラリーが、新潟市江南区所島にある。その名も縄文ギャラリー「JOMON」で、当地で明治26年に創業した手書きろうそく専門店の老舗である、小池ろうそく店が運営している。

小さな縄文ギャラリー「JOMON」

展示されているのは、信濃川を下る沿岸でしか出土例がない「火焔型縄文土器」や土偶が中心。もちろんこれらもレプリカなのだが、国宝指定されている現実の火焔型土器の大きさ、重さまで、長岡の土器職人が正確に再現したものを手にすることができる。

もちろん、ギャラリー内で土器に触れながら鑑賞するだけでも、他ではできない体験ができる。しかし、小池ろうそく店の四代目当主である小池孝男氏がお勧めするのは、火焔型土器にろうそくの火をともして、太古の昔さながらに再現された火を鑑賞する楽しみ方だ。

縄文火焔土器に火をともしたイメージ

小池氏は、火焔型縄文土器の複雑な形の理由や、その使われ方は今でも不明だとした上で、「中国でも4,000年の歴史など言われますが、それよりはるか前の1万年近くは、考古学でもわからないことが多い。ただ、戦乱の世界ではこんな複雑な形の土器や、柔和な表情の土偶は作らないはず」という。

戦いや争いごとがないという意味では、今では考えられないほど平和な世界。恐れるのは天変地異や病魔や、今よりはるかに短い寿命や死産などであって、「火焔型土器に火をともせば、当時の人々の考えていたことや祈りが、よく伝わるように思います。再現された太古の光は、縄文からのメッセージです」(同)。

実際に家などで鑑賞するには、もちろん購入する必要がある。唯一無二の国宝は誰も買うことはできないが、国宝や文化財となった土器や土偶を正確に再現したレプリカを、縄文ギャラリー「JOMON」では2万円から販売している。最近では、学校が教材用として購入した例もあるという。

JOMONへ来店の際は、電話090-8943-3033(小池氏)まで、事前に電話連絡が必要。営業時間は平日10時から17時までで、土日祝日は休みとなる。

小池ろうそく店外観

【ギャラリー「JOMON」】
住所/新潟市江南区所島2-2-76(小池ろうそく店内)
小池ろうそく店Webサイト/http://hanarousoku.com/
縄文土器ショッピングページ/https://www.hanarousoku.jp/category/21/

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