電気代値上げに太陽光発電。環境省の補助金も【中小企業に迫られる環境配慮 第6回】


テクノナガイ本社にて

これまで5回に渡り、太陽光発電設備の株式会社テクノナガイ(新潟市北区)に、環境配慮を巡る中小企業の潮流と、再生可能エネルギー導入の最も現実的な手段としての太陽光発電について話を聞いてきた。第1回の取材から半年以上が経過し年度も変わったが、SDGs、ESG投資のさらなる認知度拡大や、燃料費高騰に伴う電気料金の上昇などを受け、同社への太陽光発電設備に関する問い合わせは昨年比でも倍近く寄せられているという。

環境省の太陽光発電設備設置に関する補助金(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)の公募も始まり、続々と企業が再エネの活用に乗り出す今、改めてテクノナガイへ太陽光発電の導入と普及の状況について聞いた。

 

目次

◎電気料金の値上げと世界の要請
◎エネルギーは地産地消へ

 

電気料金の値上げと世界の要請

株式会社テクノナガイ代表取締役の長井裕三氏(左)とスマートエネルギー事業部の渋谷優樹氏

冒頭でも触れたが、新潟県に電気を供給する東北電力を含み、大手電力会社で電気料金の上昇がつづいている。経済活動の回復やロシアによるウクライナ侵攻などによる国際的な燃料費の高騰、さらに再エネ賦課金の上昇など、要因はさまざまだ。燃料費の高騰を電気料金へ転化する制度には上限があるものの、ひきつづき値上げの傾向はつづくとみられ、家庭にとっても企業にとっても懐が痛い話だ。

企業へさらに追い討ちをかけるのが、第1回から話題に上がっている環境配慮だ。投資家、取引先メーカー、消費者、あるいは将来の雇用など、あらゆる方面から要請が強まっている。自治体でも対応を急ぐ。「ものづくり」の中小企業が集まる燕市では、今年度当初予算で企業向けに脱炭素を啓発する事業を盛り込むなど、各市町村も企業の取り組みの後押しに本腰を入れはじめた。

こうした中で解決の手段として出てくるのが、やはり太陽光発電だ。テクノナガイの長井裕三代表取締役は話す。「中小企業にとって、やはり環境のためだけに導入するというのは厳しい。コスト削減も同時実現でき、費用対効果がしっかり出ることが太陽光発電のポイント」。節電効果に関してはこれまで、「数の子わさび」で知られるマルタスギヨ株式会社と、イタリアン料理店を展開する有限会社山田の実例を紹介した。「食」に関する産業が豊富な新潟県だが、同業界の場合は冷凍・冷蔵のための電力消費が多いため、太陽光発電による節電効果が顕著だ。

また実際に、テクノナガイが太陽光発電設備の施工に携わった会社の中でも、大手コンビニエンスストアや自動車メーカーの下請けとなる食品工場や部品工場が、取引先からの要請を受けて再エネ導入を検討しはじめた例があったという。

「売上を上げるのは難しいが、太陽光発電によるコスト削減は確実。しかし、太陽光発電のメリットは企業には案外知られておらず、設置費用などで悩む以前に、まず導入の検討まで至っていない会社も多い。私たちも業界として、もっと認知拡大をしていく必要がある」(長井代表)。

行政でも太陽光発電関連の補助事業を展開し、導入促進に動いている。テクノナガイではこれまで主に、前述した環境省の補助金を活用してきたが、県など自治体でも独自の補助金を打ち出しはじめている。

 

エネルギーは地産地消へ

株式会社テクノナガイ代表取締役の長井裕三氏

3月22日、全国初となる電力の逼迫警報が東京電力と東北電力管内で発令されたことが記憶に新しい。また一般的にはあまり知られていないが、ゴールデンウィーク期間のように電気の消費が少なく、再エネの発電量が多くなる天候の良い時期は、逆に電気が供給過多となり、再エネ事業者へ発電を抑制する要請が出される場合がある。蓄電池や送電網の拡充など電力事業者各社が対策に努めるが、今後も節電要請や再エネの出力抑制が出る可能性は高い。

太陽光発電を自家消費する場合、こうした節電要請への耐久力を高めると同時に、売電する訳ではないため発電の抑制がかかることもない。今後、蓄電池の性能が向上し低コスト化が進んだ場合、休日の発電分を貯めることで、さらなる電気代削減や災害時の事業継続などメリットは増加していく。

長井代表は「現在は後付けが主だが、今後は新築時から設備を導入するようになるなど太陽光発電は当たり前になっていく」と話す。同時に、現在の大規模な発電所から供給する形から、企業や家庭、あるいは地域ごとの分散型に移行していくという。

県内自治体で言うと、佐渡市や粟島浦村で離島での再エネの導入拡大を目指す「新潟県自然エネルギーの島構想」を推進。三条市でも今年度から、市内のバイオマス発電施設で発電した電気を公共施設で利用しはじめるなど、エネルギーの地産地消は加速している。

太陽光をはじめとした再エネの普及が進みつつある今からこそ、導入の機会でもある。「今後、設置することが当たり前になっていけば補助金などの促進事業も減っていく。補助金が無くても費用対効果は十分に実感できるが、導入するのであれば早いほうがメリットは大きい」(長井代表)。

「持続可能性」とは、なにも自然環境面だけの話ではない。再エネ利用とエネルギーの地産地消は、地域と企業が、災害への強靭度や経済的な弾力性を高めることにもつながる。「私たちも、ただ儲けるためにこの事業をやっているわけじゃない。地元の企業を元気にして、そしてその先に、子どもたちに地域の『環境』を残したい」そう長井代表は太陽光発電事業から繋げる未来を強調した。

 

【株式会社テクノナガイ】
TEL 025-387-3117
HP https://www.technonagai.co.jp/

 

【関連リンク】
テクノナガイ 太陽光コラム・スタッフブログ(https://www.technonagai.co.jp/blog/

環境省 「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)の公募について」(https://www.env.go.jp/press/110821.html

 

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