中小企業庁長官の安藤氏が新潟市内で講演

少子高齢化・人口減少時代の中小企業政策について語る

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経済産業省 中小企業庁長官である安藤久佳氏の講演が12日、新潟市中央区で開催された。主催は、県議会商工業振興議連(会長=早川吉秀県議)で、同議連の会員、行政関係者、商工関係者など60人が聴講した。

講演のテーマは、「少子高齢化・人口減少時代における中小企業政策について」。講演の中で安藤氏は、「中小企業・小規模事業者は『経営者の高齢化』『人手不足』『弱い内需と国内の過疎化』の3つの大きな変化に直面している」と指摘。

高齢化を例にあげると、今後10年の間に(平均引退年齢である)70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、全体(約381万人)の3分の2を占めるようになるという。さらに、この245万人の半数にあたる127万人(日本企業全体の3分の1)が後継者未定で、「この状況を放置すると、中小企業の廃業が急増し、2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性がある」という。

また、廃業企業の半数(49・1%)が黒字企業であり、中には地域の中核企業もあるそうだ。こうした現状を打破するためには、「円滑な事業承継」が喫緊の課題。特に、若い世代の経営者のほうが売上を増加させる傾向にあるというデータもあり、事業承継による経営の若返りも期待される。

こうしたなか、中小企業庁(経済産業省)では、事業承継の促進する施策を強化している。具体的には、「親族など身内への事業承継」については、法人の事業承継の場合、事業承継税制が拡充された。個人事業の事業承継の場合でも、「個人版の事業承継制度の創設が検討されている」という。また、「第三者への譲渡」についても事業引継ぎ支援センターの機能が強化されたほか、M&Aをマッチング(買い手・売り手のマッチング)するためのデータベースのさらなる整備、事業承継(M&A)ファンド税制の創設などが検討されている。

このほか、人手不足に対応するための「生産性向上の支援」(働き方改革支援、ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金など)、内需の減少を補うための「海外販路開拓支援」についても紹介していた。

少子高齢化・人口減少は厳しい現実であるが、「うまくやれば、次の時代に飛躍するチャンスになるかもしれない」と語っていた。なお、2018年版の中小企業白書では、読み手である中小企業経営者の参考になる企業事例を大幅に増やしているそうだ。「補助金を使って、自社の持ち出しを8万円に抑えながらLED照明の看板を作り、年間利益を300万円増やしたパン屋」など、ちょっとした工夫で利益を上げた事例から、補助金を使ってITシステムを導入し生産性を高めた事例など様々な事例が掲載されているという。

中小企業庁長官の安藤久佳氏