【特集】新潟食品業界のキラーコンテンツ?代替食品市場参入の動き(上)——国内米菓業界トップの亀田製菓株式会社(新潟市江南区)が代替肉市場に新規参入する理由

健康や環境への関心が高まっている昨今。肉や乳製品など動物由来の食品から、大豆などの植物由来の食品に置き換えた「代替食品」が、数年前から欧米を中心に広がりを見せている。

そのような中、新潟県内の上場企業が相次ぎ「代替食品」市場へ新規参入する動きが話題を呼んでいる。

主軸の事業を活かした「代替食品」を開発し、かつ未来を見据えた新たな挑戦について、市場参入の目的や今後の展望を聞いた。

 

米菓の製造ノウハウを活かしリアルな食感を再現、新ブランドを立ち上げ代替肉市場へ参入を果たした亀田製菓株式会社(新潟市江南区)

植物生まれのベースミート(画像提供・亀田製菓株式会社)

米菓メーカーとして国内売上高1位の亀田製菓株式会社(新潟市江南区)はこのほど、健康や環境に配慮した植物性食品の新ブランド「JOY GREEN」を立ち上げた。業務用の代替肉「植物生まれのベースミート」の発売を開始し、代替食品市場への新規参入を果たした。

2050年に世界のたんぱく質が不足すると言われている「たんぱく質クライシス」。亀田製菓はこの問題に立ち向かい、サステナブルな事業に挑戦したいという思いから、米菓製造技術を核にした「植物性食品」の開発に取り組み商品化に至ったという。

植物生まれのベースミートを製造する様子(画像提供・亀田製菓株式会社)

一方で、亀田製菓が商品化した「植物生まれのベースミート」は、原料に大豆を使用している。なぜ、米菓メーカーが大豆を使用した代替肉を作るのだろうという疑問が湧くが、その理由のひとつに「米菓製法技術の応用」があるという。

米菓の製法は代替肉の製法と似ており、これまで培ってきた米菓製造技術が生かしやすいと考え開発がスタートした。米菓の製造ラインを利用し、原料を米から大豆に替えて誕生した植物性代替肉「植物生まれのベースミート」は、解凍するだけですぐに使える「冷凍タイプ」だ。

亀田製菓内で研究開発を行うお米総合研究所の髙橋肇所長は、「他社で販売されている「ドライタイプ」よりも本物の肉に近く、リアルな食感を再現している」と話す。

 

「米」由来のたんぱく質の特許を取得、米どころ新潟オリジナルの代替肉開発を目指す

亀田製菓のお米総合研究所では、大豆ではなく「米」を原料にした植物性代替肉の研究開発に着手しているという。

独自の研究により、米のたんぱく質の抽出方法などの特許を既に取得しており、「米由来の代替肉」の開発に向けた研究を進めている。

米菓の製造技術の転用だけでなく、「米」を使用した代替肉が完成すれば、米どころ新潟の強力な特色を持つ代替肉となるだろう。

 

植物性食品事業はさらなる海外事業拡大に向けた中心事業

「国内米菓事業」「海外事業」「食品事業」の3本柱で事業を展開している亀田製菓は、グローバル・フード・カンパニーを目指し、2030年には海外事業と食品事業を合わせて、売り上げ比率50%を目標としている。(2021年度業績では、「国内米菓事業」の売上が約74パーセント)

亀田製菓はこれらの背景から、新たに参入した「代替肉」をはじめとする植物性食品事業への取組みを、「海外事業」と「食品事業」拡大のための中心的な事業と位置付けている。

亀田製菓の担当者は、「米とその加工技術を核にしてさらに研究開発を進め、機能性だけでない「Better For You」という新しい健康価値を創造し、持続的な社会に貢献していきたいと考えている」と話す。

米菓業界トップの地位に安住することなく、新しい価値の創造や社会貢献を視野に入れ、新たな市場に踏み出した亀田製菓。今後、米由来たんぱく質の研究開発の進捗に注目があつまるともに、新潟発のキラーコンテンツ食品への成長に期待が高まる。

亀田製菓株式会社(新潟市江南区)

(文・撮影 中林憲司)

 

【関連記事】
【特集】新潟食品業界のキラーコンテンツ?代替食品市場参入の動き(下)——「きのこが持つポテンシャルを活かす」株式会社雪国まいたけ(新潟県南魚沼市)が代替たんぱく質などの事業化を目指す新規事業課を創設(2022年7月15日)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓