【特集】新潟市中央区で相次ぐマンション建築


マンションの建築が相次いでいる新潟市中央区

新潟市の中心部にあたる新潟駅周辺から古町・白山エリアにかけて、マンションの建築が相次いでいる。「新築分譲販売開始!」、「第一期完売」―。こうしたキャッチコピーが躍るチラシが毎日のようにポストに届く。新潟県の家といえば庭付き戸建のイメージが強く、カーポートや外物置もついた家をイメージする読者は多いだろう。新潟駅前や古町エリアには以前からマンションは多いものの、特にここ3~4年は新築ラッシュ。万代エリアや信濃川沿いには、マンションが次々と建築されている。背景や、今後の展望を見た。

 

戸建て中心の住宅事情に一石

一般的に、住宅の購入を考える人は30歳代が中心と言われている。結婚や出産を機に賃貸住宅暮らしを卒業して住宅を購入するケースが多い。ただ、最近の住宅では高断熱の素材や高機能の換気システム、人件費の高騰などでこだわりのある注文住宅では2,000万円以上が必要なのが相場となっている。土地代や諸費用を含めると3,000~4,000万円の資金が必要となるケースが多く、平均年収が400万円程度と言われる新潟県民にとっては重荷だ。そのため、住宅を新築する世代が、市内中心部よりも割安な郊外に土地を購入し、こだわりの注文住宅やローコスト住宅を建築する事例が目立つ。

新潟市中央区に通勤する30代の女性会社員は、2年ほど前に同市秋葉区に注文住宅を建築。「利便性を考えると中央区がよかったが、手ごろな土地がなく秋葉区にした」と打ち明ける。また、別の30代男性も公共交通機関の乏しい黒埼エリアにローコスト住宅を建築した。ただ、交通の便のよくない郊外では歩ける範囲に商業施設はなく、移動のために一人一台車が必須。生涯コストや足腰が弱くなった時のための公共交通の確保、生活利便性を考えると便利な中心部に住みたいというニーズは根強い。

新潟市では2021年度にも新潟駅の全面高架化が完了し、周辺が大きく変わろうとするなか、市の魅力向上につなげるために、新しい「新潟都心の都市デザイン」も描いている。都市機能と緑、水辺が共存した街として5つのゾーンで特徴あるまちづくりを展開する方針で新潟駅、万代、古町を結ぶ都心エリアを「にいがた2km」と名付け、統一のロゴで発信、民間投資を呼び込み中心地街の活性化や定住促進を図っている。

こうした動きに歩調を合わせるように、ニーズを取り込もうとしているのが最近のマンションだ。株式会社タカラレーベン(東京都千代田区)は、6月20日から新潟市中央区西堀通四番町で「レーベン新潟 THE TOWER MARKS」の販売を開始した。この物件の特徴が18階建のタワー形状で、内廊下形状という点だ。同様の形状程度の案件が新潟市内では約10年間供給が無かったことに着目、潜在需要があると推測し事業化を決定した。雪国である新潟市で雪かき不要のマンションは戸建と差別化ができ、バス便が豊富にあり買い物や交通利便性が享受出来るという立地の特性もある。

メインターゲットとして想定しているのは、開業医、勤務医を含む医療従事者や、公務員(教員、県庁、市役所)。ファミリー世代にとっては、新潟小学校・寄居中学校の評価が高く、ゲームセンターなどのたまり場も少ない文教エリアであることも評価が高い。医療従事者では新潟大学出身者が多いため、慣れ親しんだ土地・勤務先という点がメリットだ。また、同社の物件の特徴としてあげられるのが、サブリース(不動産会社が物件をオーナーから借り上げ、入居者に転貸するシステム)付の物件という点。医療従事者や上場企業の従業員で全国転勤などの際には、「必然的に需要がある」と見ている。古町エリアは全国規模の企業・銀行・証券会社・保険会社等が多くあり、「転勤で来る方、今後転勤がある方の住まいとしてはおススメできる物件なのでは」とも指摘する。

建設中の「レーベン新潟 THE TOWER MARKS」

【写真】「レーベン新潟 THE TOWER MARKS」の建設地より①
【写真】「レーベン新潟 THE TOWER MARKS」の建設地より②

 

2021年10月に中央区営所通2番町に完成予定なのは、株式会社穴吹工務店(本社:香川県高松市)が手掛ける「サーパス営所通」。全33戸で規模としてはコンパクトなマンションで、周辺環境も落ち着いた雰囲気だ。大通りからも離れており、ワンフロア3戸でプライベート感を醸成している。小学校や中学校が近いためファミリー・プレファミリー層に育児や子育ての場として訴求するほか、子育てを終えた夫婦にとっても、徒歩で古町までアクセスできる利便性や充実した医療施設が整った立地としてニーズがあると見る。

基本的には居住用しての購入を見込むが、立地の良いマンションは流動性があり、賃貸に出した場合でもある程度の家賃が期待できる。特にサーパス営所通は、ビジネスエリアや大学病院にも近い環境のため、投資としての需要も想定される。同社でも、「家に手が掛からない」「セキュリティの充実」などマンションのメリットが新潟市民にとっても魅力的になるとみる。例えば、冬場の雪かきや夏の草取りなどの労力も少なく、交通利便や環境面などさまざまな視点で利便性の高い生活が送れるなど、マンションの利点を訴求していく。

建設中の「サーパス営所通」

今年秋には、あなぶき興産が手掛ける「アルファステイツ白山公園」のマンションギャラリーが、デッキー401の向かいに突如オープン。しばらく空き地だった場所で何ができるのかと話題になっていた最中で、周辺住民を驚かせた。マンションは2022年6月上旬に白山公園近くに完成予定で、白山小学校・白新中学校区では4年ぶりの供給となる。近隣にはやすらぎ提や市民芸術文化会館など、緑や文化施設があり、ファミリー層を主な顧客層と想定する。間取りを変更できるカスタムオーダーメイドを導入し、予定販売価格は2,600万円からと「利便性や広さなどバランスを考えると求めやすい価格帯」(同社)と説明する。

同社では新潟駅から徒歩数分の花園エリアで「アルファレジデンシア新潟駅」が完成予定で、公式ホームページでは新潟駅周辺整備事業と歩調を合わせたコンセプトを掲げている。

アルファステイツ白山公園の建設地(今年9月撮影)

 

今後の注目は、万代エリアの「ザ・プレミア <新潟駅万代>」

今後注目されるのは、万代エリアでアパグループが展開する、「ザ・プレミア <新潟駅万代>」だ。212邸のマンションと1,001室のホテルを一体開発する東日本最大級のプロジェクトで、すでに優先販売区画30邸は完売となっている。万代シティの開発を手掛けた新潟交通は万代エリアを歩いて楽しい街として回遊性を高めようとしている。万代シティバスセンター周辺が再開発される予定で、同マンションの注目度も高い。

「アパホテル&リゾート新潟駅前大通」および、マンションの「ザ・プレミア新潟駅万代」の完成予想図

なお以下の一覧が建設中もしくは今後建設予定のマンションとなる。

・ザ・プレミア〈新潟駅 万代〉
(19階、212戸、2021年9月完成)
・アルファレジデンシア新潟駅(15階、56戸、2021年7月完成)
・サーパス営所通(12階、33戸、2021年10月)
・ダイアパレス上所サウス
(14階、52戸、2021年2月竣工)
・アルファガレリア本町通(15階、55戸、2022年1月)
・(仮称)アルファステイツ白山公園(13階、2022年5月)
・(仮称)新潟市中央区川端町5丁目
・レーベン新潟THE TOWER MARKS(18階、95戸、2021年9月)

一方、全国的に社会問題化している空き家問題は新潟市でも深刻な問題だ。中心部でも空き家は増えており、新陳代謝も進まずに特に古町エリアでは高齢化が進んでいる。今後も若年層が郊外に移り住む状況が続けば、中心市街地の空洞化を避けられないだろう。空き家に関しては中古住宅を購入してリフォームする動きも広がっているが、解体をして一体的にマンション開発がなされ、低層部分には店舗を構え、若年層の複数の世帯の定住を促進させるというのも一案だ。

人口減少の続く新潟市でマンションの供給が相次ぐのは、将来的には負の遺産ともなりかねないが、今回紹介したようなマンションに魅力を感じて、中心市街地に現役世代が住むことで、中心部の空洞化を抑制することにもなる。新潟市のまちづくりにとっても、マンションの開発は今後大きな役割を担うかもしれない。



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