コジマタケヒロのアルビ日記2022 Vo.18 松橋力蔵

©ALBIREX NIIGATA

新潟が歓喜に包まれたあの日から一夜明け、10月24日。この日は聖籠町のアルビレッジで松橋力蔵監督による今季の総括会見が行われた。松橋監督自らパソコンを操作しながら、今季のデータをもとに新潟のサッカーを振り返った。

そこで最も印象的だったのが、「縦パス(1試合平均)79.1本」という数字。リーグ平均68.8本と比較すると、10本近くも平均で上回る縦への意識。ゴールへ迫る、意識を象徴するこの数字が、松橋監督の目指したスタイルを表しているよう個人的には映った。

今季のスローガンであった「より攻撃的に!!」。

フロントも含めて、チームは確かにこの言葉通りのシーズンだった。しかし、松橋監督のサッカーを言い表すのはこの言葉ではないように思えた。ましてや、ポゼッションサッカーという言葉も個人的には幾分か、しっくりこない。
「今季目指した、そして、これからより精度を高めようとしている松橋サッカーは、どんなスタイルなのか、監督の言葉で聞かせてください」

だからこそ、こんな質問を松橋監督にした。

返ってきたのは実にシンプルで明快。「状況に合わせた最善手を選べるサッカー。自分たちの今やっていることの裏側のことの中で、必要性のあるもののスピード感を高めていく。そして、そこにしっかりと的確な判断というものが備わっている。それが次の自分たちの目指すステージなのかなと思っています」

サッカーは相手ありきのスポーツ。常に高度な心理戦が行われている。相手より先に動く「先」。

相手が動こうとする先を読み、手を打つ「先の先」。相手の動きを見て、いなしたり、くずしたりする「後の先」……。監督のいう、最善手とはおそらく、どの方法で「先」を取り、自分たちの理念を貫くのか
、ということ。この手法を選択する時間の早さをいかに高められるか、がJ1で戦う際にキーとなる。

おそらくそういうことなのだと思う。

縦パスは前に出せば通ると言うものではない。相手がいるし、パスが通る、通らないは味方の選手の動きにも大きく影響される。

今季、チーム内で「先」の取り方が共有されていたという証拠が、先述の数字につながったのだと思う。
チームは11月には来季に向けて始動する。一体感を高め、さらに相手よりも先を取れるチームになるために。
そして、J1でのタイトルを獲得するために。松橋監督の最善手はもう打たれている。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ

練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート

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