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小柳建設株式会社(新潟県三条市)の加茂本店新社屋の内覧会が開催


小柳建設加茂本店新社屋の2階業務スペース

小柳建設株式会社(新潟県三条市)はこのほど竣工した加茂本店新社屋へ3月1日に移転するのに先立ち、12日に新社屋のメディア内覧会を開いた。新社屋は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を進める同社の象徴であると同時に、社員の創造性を発揮させる職場環境の構築が計られていた。

 

目次

◎社員が自由に集合できるワーキングスペース
◎地域との繋がりや事業の創造に寄与する1階エリア
◎楽しんで働ける場所

 

社員が自由に集合できるワーキングスペース

新社屋 外観

新社屋は、県立加茂病院からほど近い加茂市青海町に立地し、敷地面積は2,689.23平方メートル(約813坪)、延べ床面積は1,350.02平方メートル(約411坪)の地上3階建て。内装は仕切りが少なく、ナチュラルな木目調や植栽に彩られ、明るく開放的な印象となっている。

新社屋最大の特徴は、「Activity Based Working(ABW)」を採用している点である。ABWとは、「時間」と「場所」を自由に選択できるワークスタイルのことであり、オフィスやデスクに縛られず各個人が自分の仕事を最も効率の良い形で遂行する働き方だ。もともとはオランダで始まり、グローバル企業などで積極的に採用されているが、新潟県内でも同じ三条市の株式会社諏訪田製作所で取り入れられている

執務スペースは2階の大部分と3階の一部が用いられている。ABWを推進するために社員個人のデスクは排されており、広い空間の中でそれぞれがその時好きな席を使用するスタイルだ。また、2階執務スペース上方には数台のモニタが備えられており、各社屋の様子や、月々の営業利益の目標・見込みなどが映される。こうした取り組みは、社員1人1人が経営のマインドを持つことにも繋がる。

業務スペースに掲示されているモニタ

アメーバスペースの壁面はホワイトボードとするなど、打ち合わせで生み出されるアイデアの奔流を書き留める工夫が施されている

執務スペースの傍には、「アメーバスペース」と呼ばれる空間が4箇所設けられている。これは本格的な会議室ではないものの、プレジェクトチームなど少人数での打ち合わせを速やかに行うための空間である。「弊社では(プロジェクトごとなどの単位で)小集団を形成し、それを1つの会社のように動かし採算を取る、という方針をとっている」(中靜真吾専務取締役)。前述の経営者視点の共有などと合わせて、社員が創造的・能動的に動ける体制を工夫しているようだ。

こうしたABWのような働き方を支えるのが業務のIT化だ。社員が自由に移動するためには、無線環境の整備が必要不可欠だ。さらに、日本マイクロソフト社と連携して導入した「Holostruction(ホロストラクション)」は、建設業務に係るあらゆる資料を3Dで見ることができるだけでなく、アバターを用いて遠隔地から打ち合わせに参加することも可能である。

新社屋の業務スペースには1人で集中したい社員のために個室も設けられているが、「Holostruction」やテレビ電話を用いればもはや個室も大会議室も変わりがない。正に「好きな場所で働ける環境」と言える。

 

地域との繋がりや事業の創造に寄与する1階エリア

1階のインキュベーションスペースにはキッチンも備え付けられている

新社屋のもう1つの特徴は、1階部分に設けられたキッチン付きのインキュベーションスペースである。キッチンが備えられていることから、カフェなどが出店することが可能で、飲食店を呼んでの社内コンパの開催や、地域のイベントでの貸し出しなど様々な用途での活用ができる。

当面は試験的な運用で、社員の就業スペースとしての利用や、問い合わせのあった店舗への貸し出しが主となるが、今後はコワーキングスペースとしての一般開放も検討中で、起業や商品開発を考える人同士の交流で新たなビジネスが生まれることも期待される。

 

楽しんで働ける場所

1階から3階を繋ぐ階段はプロジェクターとクッションも設置され、会議やイベントでの使用もできるという

小柳建設の小柳卓蔵代表取締役社長は今回の新社屋を「社員が楽しんで働ける場所でありとして、理想以上の社屋ができた」と語った。「建設会社というのは特に『社屋を変えたからといって顧客が増えるわけではない』という意識があった。しかし、時代が変化し、社員が楽しく働いて、誇ることのできる会社や社屋であることことが重要になった。そして、(新卒、中途問わず)新しく来る人が『こんな場所で働きたい』と思ってほしいので、どんどん人も招きたい」(小柳社長)。

また、これまでABWやデジタル化などの「どこでも働くことができる体制」という点を注目してきたが、同時に「コロナ禍を経て『会社いらないよね』という意識が生まれたが、人が集まることで生まれる楽しさや効率性もある」として、リモート業務から会社への回帰が今後は重要になると中靜専務は話す。

リモート業務は移動時間の削減や個人作業への集中といった点で効率的であるが、コミュニケーション機会の喪失に不満を抱く人は多い。また、無意識的に取り入れていた職場環境での会話や、会話相手の所作など、デジタル化で削ぎ落とされてしまった情報が業務に及ぼす影響を指摘する人もいる。

アメーバスペースの内の1つには壁面にはHolostruction用のゴーグルが置かれていた

小柳建設ではデジタル化を進めると同時に、前述のチームでの働きや、定期的に上司と部下が意見交換をしてキャリアアップに繋げる機会を設ける取り組みなど、コミュニケーションの創出に意欲的に取り組んでいる。また、インキュベーションスペースの開設には地域との繋がりを生み出す意味合いも強い。加えて、人が集まるには未だ終息が見えない新型コロナウイルスへの対応も不可欠で、新社屋は空気循環システムの構築にも注力した。

小柳建設の新社屋は、現代の世相と最先端の技術を反映すると同時に、人と仕事の関わりという会社の根本を問うものがある。「嫌なもの」「辛いもの」として捉えられがちな仕事に、どれだけ「楽しむ心」を取り入れられるかは、職場環境の整備も重要であり、今回取材した小柳建設を始め、昨年末に取材した諏訪田製作所など、県内でも徐々に動きが始まってきているようだ。

 

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新社屋 入り口

業務スペースのテラスでも仕事が可能

インキュベーションスペースから新たなビジネスの創出が期待される



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