【妻有新聞】「明石の湯存続」、大地の芸術祭拠点は白紙

市議会採決の様子

大地の芸術祭の作品展開を充実するため、越後妻有里山現代美術館キナーレ内の日帰り温泉施設・明石の湯を閉館廃止する条例改正案は26日、市議会臨時会で再度採決し、前回の継続審査時と同様に「条例改正賛成11」の反対多数で否決された。これにより明石の湯存続は決まったが、関口市長は臨時会後の取材に答え「コスト高の温泉施設は運営内容を見直す」と、現在の温泉から水道水加温による温浴施設にする方針を示唆した。明石の湯の存続運営の予算補正は6月定例市議会に、明石の湯運営見直し案と共に提案する方針だ。大地の芸術祭の作品充実の国補助金(交付決定済み)は、否決により計画通りの使途が困難になり、他の使途が可能か国と協議するが困難性があり、補助金返還になる可能性がある。明石の湯閉館により大地の芸術祭の作品展開予算1・5億円の補正予算は議案撤回した。

明石の湯閉館の条例改正案の審議は、26日午前に議会全協を開き、午後臨時議会を開催。全協では8人の市議がこれまでの市の説明に対し時間制限で質問。関口市長が直接答え、前回はスケジュールが具体化してなかった「代替施設の温浴施設」は「12月定例会には具体案を提案しないと、私の任期中に間に合わない。私の責任において取り組む」と積極姿勢を見せた。さらに充実する芸術祭作品は「国が2025年度目標に打ち出した観光立国計画はインバウンドの大きな流れを作りだし、ポストコロナのこのタイミングで欧米のアートファンを誘客する越後妻有を作っていくための美術館の充実」と話し、「国が文化観光を全面に出すこのタイミングは、我々にとって大きな風が吹いている」と、明石の湯閉館による大地の芸術祭の作品展開充実の意義を再三強調した。

臨時会本会議での採決は起立採決で行い、条例改正賛成「11」と賛成少数(反対12)で否決された。臨時会後、取材に答えた関口市長。「民主主義の根幹のルールで決まったこと、これが民意であると受け止める。残念ではあるが私の力が足りなかった」と議案否決を話す。明石の湯存続は決まったが「早急に運営形態、運営内容を検討する。コストを考えると工夫が必要と考える」と、現在の温泉から水による「加温温浴施設」への内容見直しも検討する方針。さらに全協では「松之山温泉やミオンなかさとの温泉を運び、明石の湯に活用してはどうか」などの提案もあった。

一方、すでに交付決定している国の補助金(総額1・5億円、国2分の1,市起債2分の1)は、明石の湯跡改修が目的のため使途できなくなり、市ではキナーレ内の他に活用できるか国(補助金7500万円)と協議する方針だが、「他の利用は難しい」と補助金返還も想定している。来年開催の大地の芸術祭第9回展の拠点作品の実現はさらに難しくなった。

市議会採決結果は次の通り。

▼明石の湯条例改正(閉館)賛成議員=山家悠平、関口立之、星名大輔、富井高志、水落静子、山口康司、村山達也、高橋俊一、遠田延雄、宮沢幸子、小林正夫
▼条例改正に反対議員=嶋村真友子、中林寛暁、鈴木祐一、滝沢貞親、富井春美、根津年夫、滝沢繁、大嶋由紀子、福崎哲也、吉村重敏、小嶋武夫、鈴木和雄

妻有新聞 2023年4月29日号)

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