【弁天線の渋滞緩和策】パーク&ライドを導入する『新潟駅南エリア活性化構想』で、鳥屋野潟南部エリアの渋滞を短期間で緩和へ

「新潟駅南エリア活性化構想」を発表したイワコンハウス新潟株式会社(新潟市江南区)の代表取締役高尾茂典氏
2025年2月に新潟市より発表された「鳥屋野潟南部開発計画及びゾーニング変更の検討」を契機に、たびたび取り沙汰されていた新潟駅南口-亀田エリアをつなぐ弁天線の交通渋滞への懸念が一層高まっている。
開発計画が進む鳥屋野潟南部270ヘクタールには、現在デンカビッグスワンスタジアムをはじめとした大型スポーツ施設や文化・教育施設などがあり、市の計画によると今後大型商業施設の開業も予定され、さらなる渋滞悪化は避けられない。
そこで、渋滞解消への一手として注目を集めているのが、同年発表されたパーク&ライドを用いた「新潟駅南エリア活性化構想」だ。渋滞の緩和だけでなく、既存の道路を生かしてコストを抑えながら迅速な導入が可能とされる交通革新に迫る。
新潟駅-亀田エリア間で懸念されている渋滞悪化の未来
新潟駅南口から亀田インターチェンジまで南側へまっすぐ伸びる弁天線は、新潟市の暮らしとレクリエーション、そして観光を支える大動脈の一つ。新潟駅という玄関口から、デンカビッグスワンスタジアムやHARD OFF ECO スタジアム新潟、いくとぴあ食花や新潟テルサなどが集積しているスポーツ・文化エリア、さらには大型ショッピングセンターが点在し便利な住環境が人気の亀田エリアを結んでいる。
通り沿いには商業施設や飲食店、オフィスビル、学校などが並び、周辺には住宅街が広がっているため日頃から交通量が多く渋滞が発生しやすい。さらに週末を中心にアルビレックス新潟の試合やコンサートなどのイベントも多く、その際はさらなる交通渋滞が顕在化している。


国際試合も行われるビッグスワンは最大で収容可能人数が約4万2,000人で、2025年度のアルビレックス新潟ホーム戦の平均動員数は2万2600人。これだけの人数が試合前と特に試合後に一斉に移動するため、現場でも手厚い渋滞対策が求められている。
そこにきて2025年2月に新潟市より発表された「鳥屋野潟南部開発計画及びゾーニング変更の検討」には、HARD OFF ECO スタジアム新潟そばの田園地帯に(2028年4月開業を目指す)大型商業施設の開業が含まれている。実現すれば、今まで以上の渋滞は免れない。

HARD OFF ECO スタジアム新潟そばの田園地帯(2023年8月撮影)
弁天線にシャトルバスの優先レーンを作る「新潟駅南エリア活性化構想」
「弁天線はどうなるのか、みんな危惧していますよね。行政はデンカビッグスワンスタジアムとHARD OFF ECO スタジアム新潟に挟まれる形で東西に伸びる“横のライン”鳥屋野潟公園線の4車線化を既に計画済みです。一方で弁天線の“縦のライン”は何も協議がなされていないんです」
そう懸念するのは、亀田エリアに本社を構えるイワコンハウス新潟株式会社(新潟市江南区)の高尾茂典代表取締役だ。

イワコンハウス新潟の高尾茂典代表取締役。1948年富山県生まれ。名古屋商科大学経済学部卒業後、株式会社イワコンに入社。1976年、新潟営業所開設と同時に所長として新潟に赴任し、1991年にイワコンハウス新潟を設立。
「そこでなんとかしないといけないと思って考えたのが『新潟駅南エリア活性化構想』です」
高尾氏が考案した構想の正式名称は「新潟駅南エリア活性化構想~駅南エリアの再生とパークアンドライド(P&R)による交通革新~」。郊外に大規模駐車場(P&R施設)を作り、市街地への車の流入を抑制する計画だ。
新潟駅南エリア活性化構想の概要は以下の通りだ。
・弁天線の広い中央分離帯を活用して、シャトルバス、バス、タクシー、緊急車両用の優先レーンを設ける。
・弁天線南側・亀田エリアに約2,500台を収容可能なP&R施設を整備し、シャトルバスへのスムーズな乗り換えを促進。
・シャトルバスで万代シティ、新潟駅、ビッグスワン・エコスタ、新潟市民病院、P&R施設を結ぶ。
・EVシャトルバスの導入によるCO2排出・大気汚染の低減。

「新潟駅南エリア活性化構想」専用レーンイメージ図(提供:イワコンハウス新潟)
ランスのナント市をはじめ、国内でも富山市やつくば市など、すでにP&R導入による交通渋滞緩和の成功事例が生まれており、高尾氏は弁天線へのP&R導入に可能性を見出している。
工事費用も工期も抑えて、迅速な渋滞緩和に繋げたい
高尾氏は「新潟駅南エリア活性化構想」を提唱するに至った経緯をこう語る。
「弁天線渋滞緩和への動きが行政から見えない一方で、現実問題として渋滞は起こっています。特にサッカー観戦に訪れた県外客が、渋滞の影響でビッグスワンでの試合に間に合わず観戦できなかったことは大きな問題になりました。これから大型商業施設ができたら、さらなる渋滞悪化は目に見えています。そこでなんとか渋滞緩和に貢献できるよう策はないかと思いついたのがP&Rなのです」

「この20年でショッピングセンターやカーディーラーもたくさんできて、亀田はあっという間に様変わりしました。私ももう、亀田人ですよ」と笑う高尾氏。
特にこの取り組みの大きなポイントが、大きな投資を不要としている点。既存の道路の一部を改良してシャトルバス優先レーンとすることで、工事費用も工期も抑えることができるのだ。
イワコンハウス新潟は開設から約50年を迎える。20年前に中央区から亀田エリアに本社を移し、土地活用のコンサルティング企業として地元の、そして新潟の地域開発に尽力してきた。創業時より社長である高尾氏が、最初にこのプランを世に出したのは2025年2月、江南区の活性化に関する会議の場だった。
「亀田に20年お世話になっていてこの地域をもっと元気にしたいという思いもあるし、一方でここだけが元気になるだけでは不十分です。やはり新潟駅から南側全体の活性化を考えないといけません。新潟駅南から約5キロメートル圏は、今後ものすごく発展する可能性があります」
亀田エリアという立地の利便性は誰よりも知っている高尾氏。高速道路のインターチェンジがあり、新潟駅にも渋滞がなければ車での所要時間は約15分。商業施設も充実していてその暮らしやすさに人気は高い。

シャトルバスイメージ図 まずは土日祝日のイベント時に暫定的に導入し、検証を重ねながら実現へと繋げていきたい考え
このエリアにP&Rを作ることで弁天線に乗り入れる自動車の絶対数が減り、市街地への出勤や買い物、鳥屋野潟方面へのイベント来場がスムーズになるだろう。
さらに亀田エリアにある商業施設への買い物も利便性も高くなる。行きたい場所へ着きたいタイミングで移動することに繋がるのだ。
持続可能な新潟の未来へ、大きな一歩が踏み出された
2025年12月、新潟市南商工振興会で高尾氏が「新潟駅南エリア活性化構想」をプレゼンしたところ、県議会議員からの反響に大きな手応えを感じたという。
その後、国会議員からも同構想に関するヒアリングが行われるなど、関心はさらに広がっている。また、市役所での意見交換をはじめ、亀田商工会議所やロータリークラブなどでも構想を共有し、賛同者や協力者を増やすための情報共有や対話の場づくりに、精力的に取り組んでいる。

弁天線(鳥屋野潟側から新潟駅を望む)
「国会議員の方もやはり弁天線の渋滞を危惧した新交通のプランをお持ちでしたが、理想的である一方で大規模な工事が必要となる内容で、その実現にはかなりの年月とお金がかかることが予想されました。そのプランが実現するまで渋滞のままではまずい。だからまずは『新潟駅南エリア活性化構想』から一緒に始めていきましょうと意気投合しました」
高尾氏のプランは、3年計画(短期)、5~7年計画(中期)、10~15年計画(長期)があり、渋滞解消を入り口として、コンパクトシティの実現とそれに伴う持続可能な新潟の未来づくりを目指している。
昨年提案されたばかりの「新潟駅南エリア活性化構想」は、実現に向けて周知や議論、行政や民間企業との連携や条例の改正、予算組み、実証実験など、クリアしなければならない課題は多い。しかし、膠着している弁天線の渋滞問題に対する打開策として、現実的なプランが示された意義は大きい。そして大型商業施設の開業は2028年と、弁天線渋滞解消は待ったなしの問題だ。
「新潟駅南エリア活性化構想」を起爆剤として、住民も訪れる人も快適で生活の質が高まるまちづくりが叶う施策の議論と実現が期待される。
【関連サイト】
新潟駅南エリア活性化構想 -パークアンドライドによる交通革命-(イワコンハウス新潟ホームページ内)
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