【特集】同じ学びから、それぞれの舞台へ プリンスグランドリゾート軽井沢で活躍する鈴木海結さん、渡邊千穂さん 新潟青陵大学短期大学部卒業生

西武・プリンスホテルズワールドワイドの渡邊千穂さん(左)と鈴木海結(右)さん

JR軽井沢駅の南側に広がる「プリンスグランドリゾート軽井沢」。東京ドーム95個分に相当する約130万坪を超える広大な敷地には、複数のホテルやヴィラをはじめ、ショッピングプラザ、ゴルフ場、スキー場、温泉施設、結婚式場などが点在する。国内外から多くの人が訪れる、日本を代表するオールシーズンリゾートだ。

その一大リゾートを支える一員として、新潟県から羽ばたいた2人の女性がいる。

株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(本社・東京都豊島区)に勤務する鈴木海結さんと渡邊千穂さん。2025年入社の同期で、現在は2年目を迎えた。ともに新潟青陵大学短期大学部(以下青陵短大、新潟市中央区)人間総合学科の卒業生だ。

同じ学科で学び、同じ企業に就職した同期の2人。しかし現在は、一人が宿泊施設「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」のフロントスタッフとして、一人が新卒採用を担う人事担当として活躍している。

働く舞台は異なるが、根底にあるのは「人と向き合う力」。それぞれの場所で歩み始めたばかりの2人を追った。

 

軽井沢の現場で広がる、異なるキャリア

四季折々の表情を見せる豊かな自然に囲まれた、プリンスグランドリゾート軽井沢。国内外の要人や観光客を迎え、国際会議の会場としても利用されている

西武・プリンスホテルズワールドワイドは、ホテルやレジャー事業を幅広く手掛ける、日本を代表するグローバルホテルチェーンだ。プリンスホテルとして培ってきた約100年の歴史と日本ならではのおもてなしを受け継ぎながら、国内62、海外34のホテルを展開。ゴルフ場やスキー場、水族館なども運営し、世界各国から多くのゲストを迎えている。

ともに入社した2人だが、現在の活躍の場は異なる。

鈴木さんが勤務するのは、プリンスグランドリゾート軽井沢内にあるプリンスホテルの中でも、フラッグシップブランドの宿泊施設「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」だ。

別荘のようなプライベート空間と上質なサービスを提供する「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」

ドリンクや軽食などを自由に利用できる宿泊者専用ラウンジ。鈴木さんはドリンクの提供や館内案内などを通じて、ゲストの快適な滞在を支えている

鈴木さんはフロントスタッフとして、チェックイン・チェックアウトの対応やラウンジでの接客、敷地内の送迎などを担当。国内外から訪れるゲスト一人ひとりに合わせたサービスを提供している。

「ザ・プリンス ヴィラ軽井沢」は長期滞在のゲストやリピーターも多い。鈴木さんは、お客様から声を掛けられるのを待つのではなく、自ら気づき、行動することを大切にしているという。

新潟県新発田市出身の鈴木さん。学生時代はストリートダンスサークルに所属し、仲間と共に活動に打ち込んだ

「お客様からご要望をいただいて対応するだけでなく、表情やご様子を見ながら、自分からお声掛けするようにしています。何かお困りのようであれば、自分に分からないことがあっても、まずはお話を伺い、お力になれることがないか考えています」(鈴木さん)

その姿勢の原点となったのが、研修期間中に出会った一人のゲストだった。

初めての客室案内で行き先を間違えてしまった鈴木さん。しかし、そのゲストは責めることなく、「今日も頑張ってね」と温かく声をかけてくれたという。

「失敗したのに、最後は私の名前を覚えて『鈴木さん、一緒に写真を撮ろう』と言ってくださったんです。本当にうれしかったですし、もっと頑張ろうと思えた出来事でした」と鈴木さんは当時を振り返る。その経験は、今でも接客の支えになっている。

ゲストとの何気ない会話も大切な仕事の一つだという

「『また来たよ』『今回もよろしくね』と言っていただける瞬間が本当にうれしいです。お客様とのつながりを感じられるところが、この仕事の一番の魅力だと思っています」

一人ひとりのゲストと向き合いながら、鈴木さんは軽井沢でホテリエとしての経験を着実に積み重ねている。

新潟市出身の渡邊さん。学生時代はオープンキャンパスのスタッフとしても活躍していた

一方の渡邊さんは、東日本リージョナル管理部門で新卒採用を担当。軽井沢にある管理総合事務所を拠点に、北海道から東北、新潟、長野、群馬まで、東日本エリアの採用業務に携わっている。

担当エリアの学校を訪問したり、合同企業説明会に参加したりしながら、学生たちに会社の魅力を伝える。採用活動の最前線に立ち、未来の仲間との出会いを支える仕事だ。

入社後の研修を経て、1年目はホテルのフロント業務に配属された渡邊さん。その後、母校である青陵短大の合同企業説明会に卒業生として参加したことが転機となった。

「自分の就職活動の経験や研修で感じたことなどを、学生に近い立場で伝えることを意識しました。そして、会社の魅力を伝えるのはもちろんですが、仕事の大変さも包み隠さず伝えるよう心掛けました」(渡邊さん)

その説明会をきっかけに入社した学生もおり、実績が評価されて入社1年目の冬には社内表彰を受賞。今春からは正式に採用担当として新たな一歩を踏み出している。

合同企業説明会では、自身の経験も交えながら学生たちと積極的にコミュニケーションを図る

現在は説明会や面談を通じて、多くの学生と向き合う日々を送る。フロント業務のみならず、調理職採用を担当する際には、現場の調理師に仕事内容ややりがいをヒアリングするなど、学生に正確な情報を伝えるための準備も欠かさない。

「企業説明会で『御社を第一志望に考えています』と言っていただき、実際に履歴書が届いた時は本当にうれしかったです。学生一人ひとりに寄り添いながら、納得して進路を選んでもらえるよう、会社の魅力を伝えていきたいと思っています」

ゲストを迎える鈴木さん、そして学生の進路選択を支える渡邊さん。仕事の内容は異なるものの、2人に共通しているのは「人と関わる仕事」にやりがいを見いだしていることだ。

鈴木さんは高校時代からホテル業界やブライダル業界に関心を持っていたが、将来の進路を一つに絞り切れてはいなかった。一方の渡邊さんも、当時はまだ明確な夢や職業像を持っていたわけではないという。

幅広い分野に触れながら、自分の可能性を探したい──そんな思いを抱いていた2人が進学先に選んだのが、青陵短大の人間総合学科だった。

 

社会で生きる「人間力」を育んだ2年間

青陵短大は、多様な進路に対応した実践的な教育を特色とする

青陵短大の人間総合学科では、ホテルやブライダル、観光、ビジネス、医療事務、ファッション、英語、心理学など20の多様な分野から学ぶことができる。自分の興味や将来の目標に合わせて科目を組み合わせながら、自分らしい進路を模索できることが特徴の一つだ。

「人間総合学科は、専門学校がいくつも集まったような学科なんです。高校卒業時点で、自分の進路を完全に決められている人ばかりではありません。さまざまな分野に触れながら、自分の興味や適性を見つけていけることがこの学科の魅力ですね」と語るのは、齋藤智教授だ。

新潟青陵大学短期大学部 齋藤智教授。金融機関や企業の人事部門などでの実務経験を持ち、現在は人間総合学科でキャリア教育や地域連携に取り組む

人間総合学科の特徴は、学べる分野の幅広さだけではない。知識や資格取得のための学びに加えて、実際に地域や企業と関わる機会も重視している。

「私たちは『行ってみなきゃ分からない』ということを大切にしています。教室の中で学ぶだけではなく、実際に現場へ行き、人と出会い、自分の目で確かめる。その経験が将来の選択にもつながっていきます。資格を取ることも大切ですが、それはあくまでスタートライン。最終的に必要なのは、人と関わり、相手を理解しながら一緒に物事を進めていく力です」(齋藤教授)

また、学科での学びに加え、就職活動を支える体制も充実している。学内にあるキャリアサポートステーションでは、就職活動の進め方に関する相談から応募書類の添削、面接練習まで幅広く対応しており、学生一人ひとりの進路選択を後押ししている。

グループワークやプレゼンテーションなど学生参加型の授業で活用されている、アクティブ講義室

鈴木さんや渡邊さんも就活の際によく利用したという、キャリアサポートステーション

齋藤教授は1年次のゼミや地域連携の授業などを通じて、2人の学生時代を見守ってきた。同じ人間総合学科で学びながらも、2人の個性は対照的だったという。

「本当に見事なくらい違うタイプでしたね。鈴木さんは行動力があり、興味を持ったことには積極的に挑戦する学生でした。自分の考えを発信しながら周囲を巻き込んでいく力がありました。一方の渡邊さんは、普段は前に出るタイプではありませんでしたが、グループワークでは周囲をよく見ていて、最後に本質を突く意見を言って皆をまとめる学生でした」(齋藤教授)

学科での学びや地域活動、教員との対話を通じて自分の適性を見つめ、就職活動ではキャリアサポートも活用しながら進路を選択した2人。こうして、それぞれが自分らしいキャリアへの第一歩を踏み出した。

 

日本のおもてなしを世界へ 挑戦を後押しするフィールド

採用担当として2人の成長を見守ってきた森さん(中央)。渡邊さんの直属の上司を務める

学生時代から2人を知り、その歩みを見守り続けているのが、東日本リージョナル管理部門アシスタントマネジャーの森日菜乃さんだ。

「鈴木さんは明るく積極的で、分からないことがあればすぐに確認し、自分で学んだことを周囲にも共有してくれる人です。お客様一人ひとりと真摯に向き合う姿勢が評価され、お褒めの言葉をいただくこともあります。渡邊さんは誠実で信頼感があり、どんな業務にも丁寧な準備を欠かしません。学生と向き合う姿勢にも説得力があり、『こんな先輩になりたい』と入社を決める学生もいます」(森さん)

「軽井沢プリンスホテル ウエスト」。国際会議の会場にも利用されるなど、多彩なニーズに応える施設を備えている

「ザ・プリンス 軽井沢」。浅間山を望むロケーションと静かな環境が魅力。ライブラリーカフェやエグゼクティブラウンジなどを備え、上質な滞在を提供

森さんによると、同社では若手人材の活躍を重視しており、挑戦意欲や努力を評価する風土が根付いているという。また、ホテルやレジャー施設など事業所の垣根を越えて協力し合う「オールプリンス」の文化も特徴の一つ。事業所間の応援勤務などを通じて多様な現場を経験できるほか、国内外に広がる幅広いフィールドで、自分らしいキャリアを描ける環境が整っている。

「当社には挑戦できるフィールドが数多くあります。2人ともそれぞれの持ち味を生かしながら成長を続けているので、これからどんなキャリアを築いていくのか楽しみにしています」と森さんは期待を寄せる。

ホテル業界をけん引する存在として、日本ならではのおもてなしを世界へ発信する同社。そのフィールドで2人は日々経験を積み、自らの可能性を広げている。

 

強みを力に、自分らしさが輝く場所

同期として切磋琢磨しながら成長を続ける鈴木さんと渡邊さん。プライベートでも仲が良く、互いに支え合う存在だ

それぞれの仕事にやりがいを感じながら、2人は次の目標を見据えている。鈴木さんは、これからもホテルの最前線で経験を積みながら、お客様に寄り添えるホテリエを目指す。

「今までもお客様のお名前を覚えられるよう努力してきましたが、これからは私自身の顔と名前も覚えていただいて、『鈴木さんに会いに来たよ』と言ってもらえる存在になれたらうれしいです。海外からのお客様も多いので、英語力も磨きながら、より質の高いサービスを提供できるようになりたいです。これからも学び続けていきたいと思います」(鈴木さん)

一方の渡邊さんは、採用担当としてさらに知識と経験を深めながら、多くの学生と向き合っていきたいと考えている。

「まだ学ぶことばかりですが、学生一人ひとりに寄り添いながら、納得して進路を選んでもらえるよう会社の魅力を伝えていきたいです。『この会社を選んで良かった』と思ってもらえる出会いを増やしていけたらと思っています」(渡邊さん)

新潟を離れて軽井沢で働く2人は、自然豊かな環境に加え、東京や新潟への交通アクセスの良さも魅力だと話していた

ホテルの最前線でゲストを迎える鈴木さん。そして、未来の仲間との出会いを支える渡邊さん。青陵短大で過ごした2年間は、それぞれ異なる形で今の仕事へとつながっている。

人と向き合う力を土台に、自分らしいキャリアを歩み始めた2人。その挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 

(取材・文:新井まさみ)

 

【学校情報】

新潟青陵大学

学校法人 新潟青陵学園 新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
住所:新潟市中央区水道町1丁目5939番地
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部 Webサイト

新潟青陵学園は、新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部・新潟青陵大学大学院・新潟青陵高等学校・新潟青陵こども園を運営する学校法人。短期大学部の前身は1961年設立の新潟女子工芸高等学校専攻科で、1965年に青陵女子短期大学として開学。2004年に共学となり、現在の名称となった。人間総合学科と幼児教育学科の2学科を有し、人間総合学科ではビジネスや心理学など多彩な分野を横断的に学べる。新潟県内外の企業や保育業界へ多くの人材を輩出してきた伝統校。

 

【関連リンク】
プリンスグランドリゾート軽井沢 Webサイト

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