非エンジニアでも業務システムを自作 新潟市のウイング、新サービス「GFA」でバイブコーディングの課題克服へ

ウイングの樋山泰三代表取締役社長

生成AIにコードを生成させながらシステムやアプリを開発する手法は「バイブコーディング」と呼ばれている。プログラミングのハードルは大幅に下がり、非エンジニアが社内システムを自作する動きも広まった一方で、AIのハルシネーションに起因するバグや、生成されたコードを把握できず保守ができなくなるなど、新たな課題も浮上している。

こうした中、システム開発を手がける株式会社ウイング(新潟市中央区)が8月28日から、次世代の開発基盤「G.RAD.E for AI-D(GFA)」製品版の提供を開始した。生成AIによる設計支援とローコード開発ツール「GeneXus」を組み合わせ、品質や保守性に関するリスクを抑えながら、企業によるシステムの内製化を後押しする。

画像提供:ウイング

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「GFA」は、生成AIに直接プログラムを書かせるのではなく、主に設計や要件の構造化を行わせ、実装には「GeneXus」を使うことがこれまでと異なる点だ。「GeneXus」は、必要なデータ項目や処理などを定義すればそれを基にプログラムを自動生成するローコード開発ツールで、システム開発で広く用いられている。

「家を建てる時には、まず設計してから大工が建築する。システム開発も同じで、設計をしてからエンジニアがシステムを作る。従来はシステム会社が顧客と相談しながらプログラムを設計していたが、その設計の部分をAIに任せるのが今回のサービスの特徴」と解説するのは、ウイングの樋山泰三代表取締役社長だ。

「GFA」では、利用者が作りたいシステムについて生成AIと対話する。AIは利用者が入力した要件や設計情報を整理し、「GeneXus」で扱える定義へとつなげる。AIには直接コードを書かせず、設計や要件の構造化支援に役割を絞り、実装は「GeneXus」が担うことで、ハルシネーションなどに起因する不具合やセキュリティ上のリスクを抑えられるとしている。

ウイングによると、国内の「GeneXus」取り扱いベンダーが公開している独自ソリューションのうち、生成AIと「GeneXus」を融合した開発支援プラットフォームは日本初という。

製品版の提供に先立ち、システム開発会社を中心とする5社がRC版を試用した。設計情報データベースによる整合性の維持や、成果物の品質、テスト工程の効率化などについて評価を受けたという 画像提供:ウイング

もう一つの特徴は、設計情報と実際のシステム、ドキュメントの整合性を保ちやすい点だ。一般的には、運用開始後にプログラムを変更した場合、設計書やテスト項目などもそれぞれ修正する必要がある。更新が漏れれば、実際に動いているシステムと設計書の内容が食い違い、改修や保守が困難になる。

「GFA」では設計情報をデータベースで一元管理し、「GeneXus」側で変更した内容も設計情報へ反映する。設計、実装、ドキュメントを連動させることで、システムを作った後の改修や保守まで見据えた開発を可能にした。

一方で、同社が目指すのはツールを販売することだけではない。

社内にIT人材が少ない企業の場合、ツールを導入しても「どの業務からシステム化すればいいのか分からない」「使いこなせる社員がいない」といった課題が残る。このため、ウイングはシステム化する業務を選定するコンサルティングから、「GFA」を扱う人材の育成、社内だけで開発を進められるようになるまでの共同開発などを行い、企業のシステム内製化を伴走支援するサービスも提供する。

同社が「GFA」と伴走支援の活用を特に期待するのは、システム人材や開発費用の確保が難しい地方の中小企業だ。「生成AIやノーコードでプログラミングできるサービスは数多くあるが、できるのは比較的簡単なシステムだけ。『GFA』が目指すのは、製造業の生産管理や在庫管理、販売管理など、企業の業務で使えるような複雑で難しいシステムを、非エンジニアのユーザー自身で制作できる環境」と樋山社長は話す。

活用先は中小企業に限らない。首都圏では大企業への導入に加え、同業のシステム開発会社への提供も進める考えだ。大企業でも、費用と時間がかかる外注開発から、自社で必要なシステムを素早く作る内製化へ切り替える需要は大きいとみる。

「GFA」によって「業務で使えるような複雑で難しいシステムを、非エンジニアのユーザー自身で制作できる環境を目指す」と語る樋山社長

生成AIがプログラミングを担うようになれば、これまでシステム開発会社が担ってきた仕事そのものも変化していく。ウイング自身も、その流れとは無縁ではいられない。

樋山社長は語る。「いずれ、AIに我々の仕事が取られる時代が来ると思っており、我々もサービスを提供する側に変革していかなければならない」。働き手が減少する日本で、AIをはじめとした技術の活用は避けて通れない。一方、AIに任せさえすればすべてが解決するわけでもない。「AIによって会社や仕事が変わっていく流れは止められない。だが、AIにも課題が残っている」と樋山社長。「GFA」は正にバイブコーディングの問題を克服しようとするものであり、同時に、ウイングが受託開発中心の事業モデルから転換するための一歩でもある。

「GFA」はリリース後も機能強化を図っていく。2026年中には、より自然な言葉でシステムの構想を伝え、要件定義を支援する形に改善するという。

 

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