「主語を大きくして物事を見ていないか」 サヘル・ローズさんが講演 (新潟県柏崎市)

イラン・イラク戦争の影響で4歳の頃に児童養護施設に入り、7歳で養母に引き取られ、8歳で来日した俳優、タレントのサヘル・ローズさんが6日、新潟県柏崎市の産業文化会館で講演した。自身の生い立ちや国内外での支援活動を踏まえ、戦争や差別、分断について語り、「主語を大きく、一括りで物事を見ていないか」と問い掛けた。

講演は、柏崎市消費者協会(中村朝子会長)と柏崎市が主催したもので、テーマは「出会いこそ、生きる力」。柏崎市産業文化会館文化ホールで開かれ、約260人が参加した。

サヘルさんは講演の中で、人は周囲に気を使い、「人に迷惑を掛けてはいけない」と考えるあまり、自分の感情や苦しみを押し込めてしまうことがあるとし、家族や友人、地域の中で、普段と様子が違う人に気付き、「大丈夫、どうした」と声を掛けることの大切さを訴えた。

また、ウクライナの現状と現地での支援活動にも触れ、武器の支援などによって戦争を続けることが「平和」なのかと問題提起。「戦争は全員負けています」と語り、戦場に送られる兵士だけでなく、子どもや一般市民を含め、戦争によって多くの人が被害を受けると訴えた。

さらに、ロシアやイスラエルなど特定の国を一括りにして「悪」とする見方についても言及。「中国人」「日本人」といった言葉で人をひとくくりにせず、一人ひとりの様子に目を向けることが重要だとした。

自身も戦争や孤児としての経験を経て、人との出会いによって生きる道を切り開いてきたサヘルさん。講演を通じて示したのは、差別や分断を遠い世界の問題として捉えるのではなく、日常の中での積み重ねが社会を変えるという視点だった。

「人間は間違って当たり前。間違ったり差別をしたりする。それに自覚を持てるか」と語り、自らの見方を問い直すことの大切さを強調した。

柏崎市内から、サヘルさんの講演を聞きにきた86歳の女性は「戦争のおそろしさがよくわかった」と話した。また、同じく75歳の男性は「生の厳しい体験をされた方のお話で、非常に感銘を受けた」と振り返った。講演会の前後には著書の販売も行われ、購入者にはサヘルさんがサインをする場面も見られた。 

(文・写真 北条隆士)

 

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