【記者ノート】(株)丸尚の長井清一社長(71)インタビュー 茶わん蒸しの具等の冷凍食品の生産能力高める新工場『おいしさ夢工場』を約10億円投じ、来年5月稼働へ

(株)丸尚の本社

飲食業界人手不足で「割烹用食材」需要増、冷凍工程を短縮するための新設備を導入

国産のスルメイカを中心としたお刺身や珍味類、茶わん蒸しの具などの冷凍食品を製造・販売する(株)丸尚(妙高市東陽町、長井清一社長)は、この程新たに約10億円を投じ、生産能力を10倍に引き上げるための「新工場」を建設中であり、来年5月の稼働を目指している。

同社は昭和49年11月に創業だが、長井社長が前経営者から平成8年に取得して起業したことから、実質的には長井社長が創業者であり、当初の魚卵加工から大きく転換し、イカ刺し製品や茶わん蒸しの具などを製造して来ている。この程、昨今の飲食業界の人手不足と時代の流れもあってか業務用や割烹用の食材への需要が高まったことから、主に茶わん蒸しの具の量産に向けて製造能力を格段に上げるために、冷凍工程を短縮するための新設備を導入に踏み切ったものだ。新工場は本社敷地内に平屋建てで延べ面積は約1608平方㍍だ。

新工場で10年後売上げも3倍増30億期待

現在建設中の新工場の建設現場

新工場『おいしさ創造夢工場』の完成イメージ図

長井社長が15年程前からイカ刺しやイカそうめんの加工にも力を入れ、その後12年程前から珍味類や茶わん蒸しの具製造も加わり、令和6年には居酒屋いか亭愉楽も開店したほか、今年5月から冷凍寿司の販売を始めた。なお、新工場を『おいしさ創造夢工場』と名付けるとともに、新設備では急速冷凍するために茶わん蒸しの具を冷凍トンネルの中をベルトコンベアで通す3Dフリーザー設備を1ライン設けることで、冷凍工程が大幅に時間短縮され、1日当たりの生産能力が約10倍の約15万~20万食が可能となるという。

長井社長は「飲食業界の人手不足とも重なり、既にスーパーや外食産業などから茶わん蒸しの具の引き合いが急激に増え続けていることから、今後は我が社の冷凍品製造の売上の5割を超える主力食品に繋がるのではないかと見込んでいる。取引先も現在の250社から全国500社にも拡大し、会社全体の10年後の売上げも現在の3倍の30億円を期待している」と強気の目標を掲げる。

丸尚の「茶わん蒸しの具」人気と評判高まる、これを機に雇用創出図り、地域貢献したい

(株)丸尚の長井清一社長がインタビューに応えてくれた

(株)丸尚が生産する茶わん蒸しの具と言えば、椎茸や海老、銀杏、蒲鉾、鶏肉などを一つの塊にして冷凍製造したもので、同社では全国の取引先に販売しており、仕入先や消費者らが冷凍された具を卵液に入れて蒸せば簡単に茶わん蒸しが出来上がるというもの。現在250社程の取引先があるが、「“大変美味しい”との人気と評判を戴き、とても有難い。これを機に品質も高めながら販売量の拡大や新規取引先の開拓を目指していきたい」と重ねてアピールしている長井社長だ。

同時に同社長が望むのは「上越地域全体では雇用が伸びているのはどちらかと言えば、半導体関連などが多いのが実態である。私ども食品製造メーカーとしても新たな雇用創出を目指し、地域から選ばれる企業として地域全体に貢献していきたい」とも語る。新工場完成後は30人程を新規雇用する方針でもあり、地元小学生などの見学を積極的に受入れる予定である。

イカ刺し分岐点、茶わん蒸しの具主力商品に

実質的な創業者である長井社長に「私が起業してからは食肉販売や惣菜製造に繋げ、15年程前から新規事業として始めたイカ刺しの製造・販売が大きな分岐点になった。更なる業務拡大を目指し、本社のある現在地の東陽町の工業団地へ移転し、幾つかの工場を増設することが出来たことから、茶わん蒸しの具の製造を本格化させることとなり、今回の新工場の建設にも繋がった」と(株)丸尚の歴史を語ってくれた。新工場『おいしさ創造夢工場』の命名については、「パートも含め80人の働く従業員がやりがいとやり易さを感じてもらえるよう、インパクトのあるイメージが沸くような名前にした」と話している。

竜 哲樹(にいがた経済新聞ライター)

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