下水道処理場から回収した熱などを有効活用した、わさびのハウス栽培実証実験の報告会
下水道処理場から回収した熱などを有効活用した、植物ハウス栽培技術の実証実験研究報告会が2日、下水処理場の西川浄化センター(新潟市西区)で行われた。
報告では、下水熱からヒートポンプを使って回収した熱や、バイオガスから回収したCO2を使って、ハウス2棟で栽培した「わさび(正緑、新妻)」を中心に行われた。
新潟県と共同研究体(長岡技術科学大学および東亜グラウト工業(株)、(株)明電舎、(株)大原鉄工所)が連携して行なっている植物栽培の実証実験で、ガスから回収した(光合成に必要な)二酸化炭素(CO2)や下水道処理場から回収した熱を活用して、わさびの栽培を行っている。
わさびの栽培には大量の水を使うが、この栽培では、水を循環させて熱を有効活用しているという(なお下水を直接利用しているわけではない)。
報告会では、「正緑を20苗収穫し、LLサイズが20株、Lサイズが8株だった」ことが報告された。また、「子株は113株となり合計133株(113+20)になった」という。根茎の断面が黒く円状模様になる黒ずみ病は確認されなかったそうだ。
味については、本わさび特有の辛味成分が確認されたほか、爽やかさや甘い香りを発する香料成分の含有量がチューブわさびの3〜4倍多く、風味豊かだった。
一方、同センターの植物栽培技術の実証実験研究は、国交省が平成26年に策定した「下水道ビジョン」に、下水処理場のエネルギーを有効活用する方針が盛り込まれたことを受け、国交省の支援をもとで始まった(平成29年には下水道資源を有効利用して作られた食材の愛称を公募し、「じゅんかん育ち」と決定しPRも行なっている)。
これまで梅花藻、いちご、わざび、バジルなど生育。一連の実証実験の結果、バジル栽培(2018年冬期)と、わさび栽培(2019年夏期)に要した消費電力を時系列で並べてみると、時期ごとに大きな変化はなく、通年を通して植物栽培に下水熱を利用できることが明らかになったという。