コジマタケヒロのアルビ日記2022 Vo.20 松橋力蔵「愚公移山」

(写真はイメージです)

11月26日の土曜日、新潟医療福祉大学との練習試合をもって、今季の活動を終えたアルビレックス新潟。

練習終了後、番記者に囲まれた松橋力蔵監督は、若手選手たちに最後にどのような言葉をかけたのかと聞かれ、「人間的に少しでも成長できるように勉強してほしいと伝えました」と答えてくれた。

この言葉、実に松橋監督らしいな、と思った。

約1年間、毎週のように松橋監督の言葉を聞いてきた。その言葉は、決して難しい単語の羅列ではないのに重みがあり、聞いていてスッと心に落ちる。瞬間的に理解できる話をしてくれる。きっといろいろと学び、自分の中でろ過をして吸収してきたからこそ、発せられる言葉に無理がなく、人の心に響くのだろう。松橋監督の言葉に、そんな印象を持っていた。

そんなこともあって、練習最終日、松橋監督に「監督は昔から学ぶことに対して貪欲だったのですか?」と聞いてみた。

「僕は特別勉強ができたわけでもないですし、大学に行っていたわけでもないです。だから、そういう部分が足りないと自分の中でどこか思っているのかもしれませんね。僕の名前をつけてくれた父の兄が名前と一緒にくれたのが、『愚公山を移す』という焼き物。交通の妨げとなる山を人々のために移そうとした切り開いたという中国の古事成語で、転じて『たゆまず努力を続ければどのような難事業も成し遂げられる』という意味になったのだそうです。そういうことができるようになるために、できるだけ本物を見聞きし、体験したいという思いは昔からあります」

シーズン中、サッカー以外の時間は読書。オフ期間はここに愛犬の散歩が加わるだけで大きな違いはないという。

知らない単語が出てくれば調べ、面白そうだと感じた事柄については関連書籍を購入し、さらに学びを深める。これをずっと繰り返してきたそうだ。

「新しいことを学んだとき、ふと今までの知識がつながる瞬間というのがあるんです。あぁ、こういう視点で見るから、こういう結論、考え方にいたるんだ、と。そのつながる瞬間が楽しいから、本を読んだり、学んだりすることを続けられているんです」

チームとしてはオフに入った。選手たちはそれぞれの場所で、それぞれの時間を過ごし、次なるシーズンに備えている。

それぞれが学び、成長をし、J1の舞台でどんな難事業を成し遂げるのか。来年もアルビレックス新潟から目が離せない。

 

◎アルビライター コジマタケヒロ

練習、ホーム戦を中心に日々取材を続ける、アルビレックス新潟の番記者。また、タウン情報誌の編集長を務めていた際に、新潟県内の全日本酒蔵をひとりで取材。4冊の日本酒本を出した、にいがた日本酒伝道師という一面も。(JSA認定)サケ・エキスパート

 

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