地元編集部が選ぶ新潟の甘酒3選

暑い日が続く。高気温に体がやられないよう、風呂に浸かったり、ウナギを食べたりなど様々な夏バテ対策が考えられるが、忘れてはいけないのが甘酒だ。「飲む点滴」ともいわれる甘酒は、ビタミンやアミノ酸、食物繊維などが豊富で、江戸時代にも健康飲料として飲まれていたほど。俳句では夏の季語になっている。酒蔵がおよそ90か所と全国一であるここ新潟には、日本酒だけでなく甘酒も多く存在する。その甘酒も材料や飲むシーンに、各メーカーが工夫を凝らしている。

八海山「麹だけ」を前面に

八海醸造の「麹だけでつくったあまさけ」

清酒八海山でおなじみの八海醸造株式会社(南魚沼市)は「麹だけでつくったあまさけ」を発売している。内容量は118グラム( 税別190円)、410グラム(同440円)、825グラム(同800円)と3種類。以前は品薄状態が続いたため、新しい醸造所を作るなど人気の高い製品だ。

日本酒を製造販売している会社として、「酒造りで培った技術を駆使して麹を作り、甘酒を作ればいいものができると確信していた」と、同社製品を発売する株式会社八海山(南魚沼市)の担当者は振り返る。品薄状態はその確信が形になった八海山「麹だけ」を前面にものだ。東京・銀座に看板を掲げていることからも、人気の高さがうかがえる。

一方、製品パッケージの横に甘酒を使ったアレンジレシピを記したり、直営店「八海山 千年こうじや」(東京都中央区)や本社、営業所に来た人にレシピを提案したりしている。「甘酒をほかの様々な飲料とブレンドする飲み方を提案」(担当者)し、甘酒を楽しめる幅を広げようという試みだ。ほかにも、乳酸発酵の麹甘酒や糖分30%カットのタイプも用意した。今後も一層、様々な楽しみ方を提案し続ける予定。

八海山 麹だけでつくったあまさけお試しセット

吉乃川はパッケージも斬新に

吉乃川の「朝麹」は、パッケージにも工夫を凝らした

およそ470年にわたって酒を造り続けてきた県内最古の酒蔵、吉乃川株式会社(長岡市)。同社が昨年3月に投入した甘酒が「朝麹(あさこうじ)」だ。ラインナップは200グラム(税抜き240円)のみ。プラスチックボトルに入って、主に県内のスーパーマーケットや土産物店を中心に発売している。

パッケージのラベルには、吉乃川のロゴは小さめにしか表記せず、甘酒とも大々的には書いていない。「弊社は甘酒では後発組。ただ甘酒と出しても埋もれてしまいかねない。ならばボトルサイズで飲みきりにしたことに加え、牛乳やヨーグルトと同じく朝に飲んでもらいたいと、ブルーオーシャンを考えてこのパッケージにした」(担当者)。白と青のデザインで、ドリンクっぽくしたことも差別化を図る狙いがある。

朝に飲んでもらうための工夫も加えた。「酒蔵が作る甘酒というと、米粒感が強いものを想像しやすく、それを苦手とする人も一定数いることが自社調査で分かった」。そこで、裏ごしをする工程を加えることで、さらりとした飲み口にした。「朝起き掛けで、体にすっと入るものが飲みたいというときにも手に取りやすくした」(同)と説明する。現に、製品の試飲では、「これなら飲める」と回答した人も多かったという。ネットショップでも発売している朝麹。今後も地道に拡販していく予定だ。

峰村商店は夏バテ対策として梅を

峰村商店の「梅あまざけ」は、梅果汁入りでさっぱりと仕上げた

麹と梅のダブルパンチ食べる読者もいるだろう。梅に入っているクエン酸は疲労回復効果もあり、夏場に欠かせない健康食材だ。その梅と甘酒をコラボさせたのが、新潟市の発酵の町、沼垂にあるみそ蔵の峰村醸造(株式会社峰村商店)だ。商品名はその名もずばり「梅あまざけ」。ラインナップは900ミリリットル瓶入り(税込み価格1058円)だ。

この甘酒に使用しているのは、地元新潟・亀田産の「藤五郎梅(とうごろううめ)」だ。この梅は江戸時代から栽培されている。峰村醸造の近くにある蒲原神社が「梅神社」と呼ばれる所以もここにある。藤五郎梅の生産量と生産農家の数が、梅干しの消費減少にともなって減りつつあるなか、梅の文化を保つことを考え、製品化した。口に含むとさわやかな味わいが広がり、口当たりもさっぱりとしている。夏の体に心地よい刺激を与える一本として、夏季限定で発売する。甘酒のほかにも、梅サイダーや梅みそかつおというご飯のお供も用意している。

 

日本酒造組合中央会によると、日本酒の国内出荷量は2017年で前年比約1・3%減の53万3000キロリットル。ほかのアルコール飲料との競争や酒離れなどから消費量は右肩下がりだ。各社とも日本酒以外の事業柱を作るために、甘酒を開発している。「日本酒はどうしても夜の飲み物で、飲用シーンも年齢も限られている。甘酒でその垣根を取り払いたいし、現にこれまでリーチできなかった層にも訴求できている」(ある甘酒メーカー)という。甘酒は昨今の健康志向からまだまだブームは終わりそうにない。