「〆張鶴 純」が「三つ星」受賞、名店の料理人が評価する「日本食に合う酒」として 老舗・宮尾酒造の真摯な酒造り

宮尾酒造の宮尾佳明代表取締役
新潟県最北の酒蔵、宮尾酒造株式会社(新潟県村上市)は1819年創業。銘柄「〆張鶴」で広く知られ、2026年1月には、「〆張鶴 純 純米吟醸」が国内の料理人が料理との相性の視点から日本酒を評価する「シェフが選ぶ美酒アワード」で最高賞となる「三つ星」を受賞した。長年評価され続けるその理由は、「旨い酒」を求める真摯な姿勢にある。
「シェフが選ぶ美酒アワード」は、未来に受け継ぎたい食を選ぶ「食べるJAPAN 美味アワード」内で実施。国内の名店の料理人たちが料理との相性の観点から日本酒を評価することで、酒文化のさらなる普及につなげることを目的に2026年に新設された。和食、フレンチ、イタリアン、中華の4ジャンル別で審査され、「〆張鶴 純 純米吟醸」は和食に合う日本酒として最高評価を得た。また、「〆張鶴 純米大吟醸 RED LABEL」と「〆張鶴 大吟醸 金ラベル」も中華で二つ星を獲得している。
受賞について、宮尾酒造の宮尾佳明代表取締役は「弊社の商品はさまざまな種類があるが、基本的にどれも料理や食事と一緒に楽しんでもらえる酒を目指して作っている。料理人に実際に利き酒をしてもらい、こうした評価をいただいたのは大変嬉しいこと」だと語る。

「シェフが選ぶ美酒アワード」認定証

今回「三つ星」を受賞した「〆張鶴 純 純米吟醸」
だが、「〆張鶴 純 純米吟醸」が「料理に合う酒」という評価を得るのは今回が初めてではない。かつて日本酒専門の書籍を発行していた出版社が、東京を中心とした飲食店へのアンケートから集計したランキングでも、「〆張鶴 純 純米吟醸」は1995年版から刊行終了となった2017年版まで、20年以上にわたって首位を譲らなかった。「店で繰り返し注文されるということは、料理と一緒に飲んでもらっているということ。ずっとそうした評価をいただいてきた」と宮尾社長は振り返る。
その品質を支えるのが、製造工程への一貫したこだわりだ。同社は自社の精米工場を持ち、その年の米の品質を見極めながら精米を行う。普通酒の「〆張鶴 花」でさえ、吟醸酒の表示基準である60%まで精米した原料を使用している。仕込み水は朝日連峰を水源とする伏流水で、敷地内の井戸から汲み上げる。酒の命ともいえる米と水、その両方に高いこだわりがある。
さらに、大吟醸と純米大吟醸については、酒を搾った後すぐに販売用の瓶に詰めて貯蔵するという手法を採る。「一般的には出来た酒をタンクで貯蔵し、出荷時にそれぞれの瓶に詰めて出荷となるが、できた酒を直接瓶に詰めて貯蔵することで酒を移し替える工程が少なくなくなり、香りや味へのダメージを抑えられる」と宮尾社長は説明する。
今回三つ星を受賞した「〆張鶴 純 純米吟醸」は、五百万石を50%まで精米した純米吟醸酒。料理との相性を重視した香りと旨みが特徴だ。宮尾社長が特におすすめだと語るのは、地元・村上の鮭料理との組み合わせ。「村上は鮭の産地。『酒びたし』などは1年中楽しめるいいおつまみになる。やはり、地酒には地のものが一番よく合う」と目を細める。

酒造りのこだわりについて語る宮尾代表

「〆張鶴 純米大吟醸 GREEN LABEL」
また、同社はこの3月に「〆張鶴 純米大吟醸 GREEN LABEL」を新発売した。これまで同社の純米大吟醸酒は季節限定品として展開してきたが、同商品は通年販売。その背景には消費者ニーズの変化がある。「少し高級な酒は、これまではお中元やお歳暮など贈答の時期だけ動くものだったが、今は一年を通じ、ちょっとしたお祝いや『仲間との集まりで普段より良い酒を楽しみたい』という方が増えている」と宮尾社長。
そうした声に応えたのが同商品で、使用する酒米は山田錦、精米歩合は45%。豊かでありながら料理を邪魔しない香りのバランスは、今回受賞した「〆張鶴 純」と同じ哲学に基づいている。現在は県内の特定の販売店のみで取り扱っているが、6月以降は全国での購入が可能となる予定だ。
宮尾酒造には、同社2代目が当時の酒造技術を記した「酒造伝授秘法の巻」が伝わっているという。時代は変わり酒の製法は変わったが、「旨い酒をつくる」という底に流れる哲学は変わらない。今回の受賞は、その積み重ねが改めて証明された瞬間といえるだろう。

宮尾酒造
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