【記者ノート】赤字体質続くJR西日本の大糸線(糸魚川市~南小谷間35.3キロ)の今後あり方・見直しを新たに検討する「第1回大糸線沿線地域公共交通検討会議」が4月28日スタートし、議論本格化!

大糸線を走る1両の列車

大糸線沿線地域公共交通検討会議の会長に流通経済大学の板谷和也経済学部教授就任!

新潟県糸魚川市の糸魚川駅と長野県小谷村の南小谷駅を結ぶ大糸線のあり方を検討する「第1回大糸線(糸魚川~南小谷間35.3キロ)沿線地域公共交通検討会議が4月28日、糸魚川市のヒスイ王国館で初会合を持った。これには平松勝久新潟県交通局長と青木英明長野県交通局長などをはじめ、JR西日本金沢支社の廣田光信副支社長や糸魚川市、小谷村などの行政関係者らが出席した。

はじめに第1部として基調講演が行われた。その後2部として、大糸線の現状や沿線地域における取組などについて説明があった後、関係者間で意見交換を行った。同検討会議の会長には、全国各地の地域公共交通協議会の会長などを務める“公共交通のスペシャリスト”でもある流通経済大学の板谷和也経済学部教授が就任した。

 

6億超す赤字、活性化策も

この日、大糸線の6億を超える赤字の厳しい現状や沿線地域を挙げての活性化策、課題意識などについても説明があった。

なお、大糸線は運行本数が南小谷‐糸魚川間14本で所要時間約58分。8駅あるが2024年平均通過人員は151(各駅平均4人程度)。運輸収入22百万円営業費用642百万円(2022~2024年平均)。病院や学校、買い物施設は駅から離れており鉄道乗車数が少ない。その上、沿線地域の人口急減で乗車人員もピーク時(1993年)の88%減少。

活性化策では、北陸新幹線敦賀開業に伴う増便バスで、大糸線利用は平均11.5人になった。白馬等の観光目的とした乗客が増加。更に大糸線活性化の取組ではえちごトキめき鉄道雪月花乗り入れやサイクルトレイン・ハロウィン列車運行、大阪駅での出向宣伝、湯めぐり手形など多数も。糸魚川市によるイベント助成や定期助成も、その他コラボキャンペーンやシェアサイクルステーションも。

赤字という厳しい中にあっても、行政含め沿線地域挙げての活性化策にも懸命に取り組んで来たとの報告があった。

 

結論ありきでなく議論尽くし本年度中に結論を

第2部での議事終了後、報道陣の取材に応じる板谷教授(中)や平松勝久新潟県交通局長(右)、青木英明長野県交通局長(左)

第2部については、冒頭のみのカメラ撮影で議事進行は非公開だったが、終了後、板谷和也会長や両県の平松、青木両交通局長が取材に応じ、大要次のように語った。

最低でも2カ月に1回のペースで同検討会議を開く
1年間会議を行い、本年度中に結論を出したいと思う
結論ありきではなく、データを基に議論を尽くすことが大事である
鉄道利用で交通サービスのレベルを上げるとしたら、高速化や運行本数を増やすということなどもあり得る
それぞれの対策方法でどれ位の人が乗ってくれるか、その上での費用対効果を検証することが大事な視点
住民説明会と言う形でなくとも、住民を巻き込むことが大事である
運行体制の見直しやバスへの転換ほか、上下分離方式や第三セクターなどの選択肢もある
白馬などのインバウンドも含め、ニーズにどう応えるかも大きな課題だ
まとめたものは答申や提言という形で公表したいと思う

―などと概要を語った。

 

板谷和也教授「鉄道のままサービス改善か、バス転換で改善か」

はじめに第1部の基調講演は流通経済大学の板谷和也経済学部教授が、『地域鉄道の刷新に向けて‐人口減少時代のモビリティのあり方とは‐』との演題で基調講演を行った。

この中で、板谷教授は地方鉄道の現状に触れ、「全国の多くの地方鉄道では、いずれも利用が著しく減少し、相次ぐ路線見直しの議論が進んでいる。より便利な移動手段の自動車に流れていき、特に地方では利便性が高い自動車が圧倒的なシェア(70%以上)、現状のままでは鉄道利用者が絶対に増えないので、鉄道のままサービス改善するか、バスに転換してサービス改善するのかいずれかなので地方鉄道をどう刷新するか、そのために①利用・運営の実態把握②利用ニーズと新たな利用者獲得の可能性の把握③刷新施策の概要検討(費用と改善効果)、鉄道を上下分離方式等維持した事例やバスで刷新した事例もある。終わりに当たり重要なのは、関係者が鉄道・交通問題を自分のことだと考えること、人口減少時代には公共交通は地域・関係者の支援で維持すべきだ」などと、自論も含めた地域鉄道のあり方について大要、上記のように述べた。

 

竜哲樹(にいがた経済新聞ライター)

 

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