【記者ノート】貯水評価研究所・鈴木和雄社長インタビュー 震災通して断水時に安全な飲料水確保のための貯水槽が最重要と気づく、それが会社立上げのきっかけに

インタビューに応じる貯水評価研究所の鈴木和雄社長

上越環境科学センターとともに歩んだ約40年

株式会社貯水評価研究所代表取締役の鈴木和雄氏(74)は、新井高校卒業後、一般財団法人上越公害分析センター(後に上越環境科学センターに)に就職、約40年に渡り大気や水質などの検査業務などに携わって来た。昭和40~50年代当時は地方でも公害問題が叫ばれるようになり、一般財団法人上越公害分析センターが設立(昭和47年12月)されるキッカケにもなった。ちょうどその頃に鈴木氏も同センターに就職し、大気や水質などの検査(分析・測定・調査など)の業務に当たってきたという。

この間「古い貯水槽も多くあり、特に断水時には災害時の避難所となる学校等には課題がある」と感じてきた。だからこそ、安全な飲料水の確保には貯水槽が大事であり、そのために貯水槽水道のリスク評価及び簡易専用水道検査を主業務とする貯水評価研究所を立上げたのだ。

 

大きな転機が大規模地震、安全な飲料水確保の重要性改めて痛感

その後、大きな転機となったのが、何と言っても中越地震(2004年10月)や中越沖地震(2007年7月)、東日本大震災(2011年3月)だった。当時、鈴木氏は上越環境科学センターの職員として、柏崎市などを中心に震災地に駆け付け、各地で水質分析・検査・測定の日々を重ねた。

東日本大震災でも会社設立時とも重なるが、茨城県の現地に足を運ぶとともに、岩手・福島・千葉などでも貯水槽水道への影響に関するアンケート調査を行い、更に熊本地震(2016年4月)でも同じ調査を実施した。地震災害の現場に駆け付ける中で、特に高齢化社会においては上水道における安全な飲料水の確保が最需要な課題であることを改めて痛感した。

同時に安全面における水質分析・調査の重要性を知り、その上で安全な飲料水のための貯水槽の設置が最優先して取り組む課題であることも身に染みて知った。

そんな折、麻布大学大学院教授の故早川哲夫氏との出会いがあった。故早川教授は水質基準のリスク論や水道環境、公衆衛生の研究では日本の第一人者であり、特に貯水槽水道における水の滞留の長期化や不適切な管理による水質悪化とその対策に関する研究を重ねてきた数少ない専門家であり、鈴木社長は「私が貯水評価研究所を立ち上げることも出来たのも早川先生のお陰であり、先生から貯水水道における専門的な対策を学ぶことが出来た。今後とも私自身が貯水槽を有する施設管理者に寄り添いながら、水質検査の受託や水槽診断・劣化診断などの具体的な業務を実施していきたい」と話している。

貯水評価研究所は、鈴木社長が住む妙高市楡島の自宅に本社事務所を構えている。埼玉県川口市の埼玉支所を拠点に、関東圏エリアを中心に検査を行っている。鈴木社長はこれまで日本水道研究会で論文2題発表、早稲田大学院生のインターシップの受入れ、また水槽診断士でもあり、東京都建築物衛生管理講習会の講師も務めているほか、水道関連特許も3件持つ。特に水槽診断士の業務は、各種既設水槽の耐震診断、劣化診断を実施して補修や部品交換、あるいは水槽の更新などを提案することである。

 

災害時に『生命の安全』守る貯水槽は最重要!

鈴木社長が大事にしている理想的な貯水槽の模型

最後に鈴木社長は「貯水槽は設計耐用年数としては15年となっているものの、30年以上も経過する古い貯水槽も多い。震災の度に耐震設計の見直しが図られているため、15年以上経過の貯水槽は現在の耐震基準に合致していない」と話す。

「災害時には長期間の断水が懸念され、高齢化社会における病院や福祉施設、学校などへの安全な水道供給は必須な課題だ。貯水槽の供給水は『生命の安全』に係ることから、災害時には貯水槽が身近で一番重要な役割を果たしていることを再認識して貰いたい」とも話している。特に鈴木社長が日頃から訴えているのは、「貯水槽管理者の皆さんには貯水槽水道の管理水準の向上に最優先で取組んで戴きたいことだ」と強調する。

そんな鈴木社長も6年程前から、会社としてSDGsに取り組んでいる一貫として、日本ミツバチの飼育を始めた。県内で消費されるハチミツはほとんど西洋ミツバチだが、鈴木社長は日本ミツバチに特化して、環境を守る取組みも行っている。

竜哲樹(にいがた経済新聞ライター)

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