【通信制の高校生が10人に1人の時代】新潟青陵が挑む、全日制と通信制を“行き来できる”新しい学びのカタチ

新潟市中央区の水道町にある新潟青陵高等学校

10人に1人。これは現在、高校生が通信制高校へ進学する割合だ(※1)。かつては不登校の生徒が中心だった通信制という選択は近年、「多様な未来を自分で選べる」学校のひとつに変化している。

「最近は、自分のやりたいことを見つけるために通信制を選ぶ生徒もいます。青陵高校通信制課程をスタートさせたのも、ニーズやサポートが多様になった中で、より多くの生徒たちのニーズに応えていきたいというのが一番大きな理由です」

そう話すのは、新潟青陵高等学校の川端弘実校長だ。2026年4月、126年目の歴史を迎える新潟青陵高等学校は、新しく通信制課程を開設。約60人の新入学生や転編入学生、転籍生が入学した。同校は全日制と通信制を併設し、自校の生徒の転籍先としてだけでなく、中学生が4月から進学先として選ぶことのできる通信制となっている。

新しい歴史の一歩を踏み出した、新潟青陵高校の通信制の特徴と展望について話をきいた。

 

ニーズの多様化と自律支援 通信制が誕生した2つの背景

新潟青陵高等学校の川端弘実校長

新潟青陵高等学校は、地元新潟に根差した私立高校だ。地域でも「親身で面倒見のいい学校」として親しまれ、生徒一人ひとりの成長を支えている。

ただ、近年は全日制だけではカバーできないような、多様性が求められるケースも増加している。年々その傾向は強まり、不登校だけでも背景はさまざまで興味や学び方も一人ひとり違う。だからこそ、それぞれの生徒に合った最適な環境を一緒に考え、学び方を提供できる「一人ひとりの可能性を広げられる学校にしたい」という思いが、通信制開設につながった。

また、もうひとつ背景にあるのは、生徒の将来のためにも「他律から自律」を促しながら学んでほしいという側面だ。

「小学校や中学校の頃は、先生や保護者が管理する他律的な場面が多いですが、高校生は、少しずつ自分で考えて行動するようになる『他律から自律へ移る橋渡し』の時期だと考えます。だからこそ放任にはしません。必要な支援はしっかり行いながら、時間の使い方、進路のこと、何を学ぶか、どう行動するかを少しずつ自分で考えて決める経験を積んでもらいます。そんな『自律』を支える場として通信制は重要だと思っています 」(川端校長)

同校では、中学卒業後の進路として通信制を選べるほか、全日制に入学した後に通信制へ転籍することも可能だ。反対に、通信制で学んでいた生徒が希望すれば、履修単位数などの条件を満たすことにより、全日制へ移ることもできる。これは、全日制と通信制の両方を備えた併置型高校ならではの大きなメリットだ。

 

地域連携で社会とつながり、「ポータブルスキル」で対人関係を強化

スクーリング会場の一つである新潟青陵高等学校内の通信制サポート室

新潟青陵高校通信制課程が目指すのは、卒業だけではない。その先の将来を考え、広い視野を持ちながら、社会の中で人と関わりながら生きていく力を育てたいという思いだ。そのために取り入れたのが「ポータブルスキル」だ。

「本校の特色ある学校設定科目の一つです。人間関係が少し苦手な生徒も、しっかり3年間かけて対人スキルをあげていきます。最初は、自分の考えを表現することや、人の話を聞くことから始め、最終的にはファシリテーションやプレゼンテーション、みんなの前で発表して意見交換をするところまで持っていきます」(川端校長)

10年以上新潟市や新潟県でファシリテーションの普及や活性化に取り組んできた、NPO法人みらいずworksの専門家を「ポータブルスキル」の講師に迎えている。

また、授業だけでなく、人と関わる機会も多彩な選択肢も用意している。新潟青陵学園全体で行っているボランティア活動やフィールドワーク、文化祭などの学校行事、地域連携事業として、企業と学生のコラボプロジェクトや職場見学なども予定しており、興味があるものに参加できる。

マリンピアでのボランティア活動の様子

「みんなが同じ就労体験をするわけではありません。本当にいろんな生徒がいるので、多様なチャンネルを用意したいと思っています。それぞれが様々な経験を積みながら、自分の持ち味や特性に気づき、自分に合った方向へ進んでいけるようにしたい。目指すのは、生徒たちの『社会とつながる力』を育てるということです」(川端校長)

選択肢があれば、自分の役割を考えたり、新しい興味を見つけたりすることのきっかけになるかもしれない。自由度の高い通信制だからこそ、基礎的な勉強だけにとどまらず、人との関わりや、大学進学や社会に出ても役に立つ知識が学べるのは大きな特徴だ。

 

高校在学中に大学の単位認定も目指せる

新潟青陵大学内にサポートキャンパスを設置。平日に10:00~16:00の間いつでも気軽に通える他、相談窓口も設置している

また、卒業後の大学への進学や就職にむけた社会とのつながりを意識できるカリキュラムも用意されている。

そこで強みとなるのが、こども園、高等学校、短期大学、大学、大学院を擁する新潟青陵学園という組織力だ。学園全体では約450名の教職員が在籍し、生徒にあらゆる学びを提供し、サポートを行っている。

生徒はサポートキャンパスである新潟青陵大学ではホールでの学習や、売店、学食の利用も可能

様々な書籍を揃えた図書館も利用できる

この組織力を活かして、通信制の生徒は早い段階から、大学の授業を受講できる。大学連携講座では、心理学や観光論、カラーコーディネート論など、様々な分野の基礎をしっかり学ぶことができる。さらに授業を受講し、単位認定試験に合格すれば、高校生でありながら、大学進学後の単位を先取りできる。

また、平日気軽に通えるだけでなく、学習や進路相談を教員と一緒にできるサポートキャンパスも新潟青陵大学に設置している。スクールカウンセラーの対応はもちろん、24時間のオンラインや電話で相談できるサポート体制が充実している。

通信制課程への入学前の面談時には、高校だけではなく、サポートキャンパスや大学内をまわり、図書館や学食を含めた大学の雰囲気を感じてもらっているという。

サポートキャンパスを案内する新潟青陵高校通信課程を受け持つ高橋恒彦副校長

自由に通う事ができる通信制サポートキャンパス

「人と関わることが少し苦手でも、まずはこちらで自分のペースで慣れていけばいいよとお伝えしています。大学は、将来につながる場所でもあるので、そこに魅力を感じてくださる方も多かったのではないかと思います」(川端校長)

ほかにも、企業と連携し、AIを含む基礎的なITリテラシーを身に付けられるITスキル講座を準備している。この講座は無料で受講でき、自分の興味や進路に合わせて学べる内容も多岐にわたる。

 

学習も自律支援もしっかりサポート

新潟青陵高校内にある通信制教務室には先生たちが常駐している

通信制高校は、毎日通わなくていいという利点がある一方で、一人で勉強を進めるのが難しいという側面もある。

本校でも、レポートを提出し、単位認定試験を受け、年間10日程度の面接指導であるスクーリング(※2)に参加することで単位を取得することができる仕組みとなっており、登校は自由だ。

学習は、各自のペースで教科書やオンデマンドの動画教材を使用してレポートを進めるが、サポートが必要な場合はサポートキャンパスで先生に質問をしたり、オンラインで学習相談をしたりできるため、自分に合った方法で学習支援を受けることができる。大学の校舎内にサポートキャンパスを平日の10:00~16:00に開室しており、ここでは数学や英語の先生から直接学習支援が受けられる。

また、学習内容の進捗管理システムを確認し、レポートや学習が止まっている生徒には先生たちが時折連絡を入れ、オンラインでの通話を含め、声をかけていく。先生たちには勉強だけでなく、生活面の相談もできる。

先生たちはオンラインで生徒のサポートを行うことも多い

「困っている子ほど、自分からSOSを出せないことがあります。だから、通信制専任の教員だけでなく、全日制と兼任している教員やパートタイムのスタッフも加わって支援していきます。通信制だからこそ、人とのつながりは大切だと思っています」(川端校長)

心理面も支える専門スタッフとしてスクールカウンセラーが常駐しているほか、特別支援教育にも対応できる臨床心理士が週に一回来校する。また、24時間相談できる相談ラインも設置しており、必要に応じて学園の心理センターともすぐに連携できるのが強みだ。

今後は、県外から学びたいというニーズに向けても寄り添い、生徒の未来を広げる学びを提供する予定だ。年間10日程度の短期スクーリングを活用すれば、どこに住んでいても、たとえ海外に留学しても、教育を受けられる。

それぞれの個性に寄り添い、生徒の選択肢が広がる未来を創造する新潟青陵高校通信制課程。選択肢の先にある、個性豊かな生徒たちの未来が、これからの新潟を明るくしてくれるのではないだろうか。

 

【関連リンク】
新潟青陵高等学校通信制過制 webサイト

 

【参照】
※1  参照:高校生の約10人に1人が通信制課程 2025年度学校基本調査速報値
※2 新潟本校に月1コースで通うもしくは本校と、渋谷キャンパス(実践女子学園中学高等学校)、横浜キャンパス(関東学院大学横浜・関内キャンパス)での集中コースに出席

 

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