花粉を作らないスギの仕組み解明へ前進 新潟大学などが候補遺伝子を特定

飛散するスギ花粉 ※画像イメージ
新潟大学(新潟市西区)と国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所、東京大学などの共同研究グループはこのほど、花粉をほとんど作らない「MS2タイプ」の無花粉スギについて、原因となる最有力候補遺伝子を特定したと発表した。スギ花粉症対策として期待される無花粉スギの品種改良や苗木生産の効率化につながる成果として注目される。
無花粉スギは、花粉を飛散させないため花粉症対策として植え替えが進められている。一方、種子から育てた苗木は無花粉の個体と有花粉の個体が混在し、花粉の有無は数年間育成しなければ判別できないことが課題となっていた。

プレスリリースより
研究グループは人工交配したスギを解析し、第5染色体上にある91個の遺伝子を調査。その結果、花粉形成に関わる酵素を作る「GELP遺伝子」がMS2タイプの最有力候補遺伝子であることを明らかにした。この遺伝子では1塩基の変異が確認され、酵素の働きが低下することで花粉形成に異常が生じると考えられるという。
さらに、この変異を検出するDNAマーカーも開発。これにより、雄花ができる前の幼苗段階でもDNAを調べることでMS2タイプの無花粉スギを選抜できるようになり、苗木生産の効率化が期待される。
現在、無花粉スギは「MS1タイプ」が主に利用されているが、今回の成果によりMS2タイプやMS4タイプなど複数の無花粉遺伝子を活用できる可能性が広がる。研究グループは、成長性や材質に優れた無花粉スギの育成や、花粉発生源対策の加速につながることを期待している。
研究成果は5月19日付で国際学術誌「BMC Genomics」にオンライン掲載された。共同研究には森林総合研究所、新潟大学、東京大学、基礎生物学研究所、新潟県森林研究所、岡山大学が参加した。