山古志の課題を「訪れる理由」に 地域外の人とのつながりを考える 山古志で大嶋智博氏らによるトークセッション

人口減少や高齢化など地域が抱える課題を、地域外の人とどう共有し、継続的な関わりにつなげるかを考えるトークセッション「地域の課題を訪れる理由に 関係人口と『関わる旅』から考える地域の未来」が2026年8月23日、新潟県長岡市山古志竹沢のやまこし復興交流館おらたるで開かれた。現地とオンラインを合わせ、申し込みベースで39人が参加した。山古志農泊推進協議会が主催した。

セッションには、一般社団法人日本関係人口協会代表理事で「ソトコト」編集長の指出一正氏、放送作家・地域メディアプロデューサーの大嶋智博氏、NPO法人中越防災フロンティア理事長の田中仁氏、山古志農泊推進協議会代表の小池裕子氏が登壇した。

人口減少や高齢化、担い手不足、棚田などの景観維持といった山古志の課題について、田中氏は、冬季の除雪を担う人材の高齢化や田んぼの維持管理を課題として挙げた。その上で、人口減少によって「今までやってきたことが今まで通りにできない状況」にどう対応するか、地域外の人も含めて考える必要があると指摘した。

震災後に山古志と地域外の人との間に生まれたつながりについて、小池氏は、外から来る人を単なる「外の人」としてではなく、一緒に地域を支えてくれた仲間として受け入れることが重要だと説明した。

大嶋氏は、各地の被災地で取り組んできた地域メディアづくりの経験を紹介した。地域住民自身が情報を発信することで、地域外にいる人にも地域の日常や活動を伝えられると説明。「支援する側」と「支援される側」という関係を固定するのではなく、「同情を友情に変える」ことが重要だと指摘した。地域の祭りやイベントなどを一緒につくることが、継続的な関係につながると語った。

関係人口について、指出氏は、最初は地域にとって見知らぬ「転校生」のような存在でも、関わりを重ねることで次第に友人のような存在になっていくとの考えを示した。山古志で生まれているデジタル村民や山古志ラジオなどの活動にも触れ、地域外の人が「訪れる人」や「応援する人」から、企画や運営を担う人へと変化している点を評価した。

参加者との意見交換では、地域の魅力や課題を発信することの重要性についても議論された。大嶋氏は、地域住民自身が発信者やインタビュアーになることで、人と人とのつながりが広がるとの考えを示した。

会場で4人の話を熱心に聞いていた吉田明宏さん(36)は奈良県出身。長野県上諏訪などのエリアリノベーション事例を視察した経験があり、仕事の関係で長岡に滞在することになったことをきっかけに、今年になって山古志を知ったという。山古志の景色に「すごく綺麗」と感動し、人口減少によって地域やまちが失われていく中で、自分にも何かできることがないかと考え、今回の催しに参加した。

吉田さんは、ものづくりや地域開発の観点から山古志でできる取り組みを考えており、「今後も何らかの形で山古志と関わりたい」と話した。

今回のセッションでは、地域の課題を地域だけで抱えるのではなく、地域外から訪れる人が関わるきっかけに変えていく視点が示された。山古志で震災後に育まれてきた地域内外のつながりを、地域の暮らしや文化を支える継続的な関係へどう発展させるかが、今後の課題となる。

(文・写真 北条隆史)

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