【記者ノート】「谷村美術館・翡翠園・玉翠園」の秋山伸宏支配人インタビュー
文化勲章木彫芸術家・澤田政廣、糸魚川出身愛弟子・石塚祐康、相馬御風の縁の繋がりが谷村建設初代社長創設の谷村美術館誕生へ

谷村美術館の建物の外観
糸魚川市京ケ峰に建つ谷村美術館は、1983年(昭和58年)に創設された静岡県熱海市生まれの文化勲章を受章した木彫芸術家・澤田政廣氏の作品のみを展示する『澤田政廣作品展示館』である。その政廣の愛弟子の石塚裕康が糸魚川出身であったため、関東大震災の疎開を通して糸魚川へ来訪するきっかけとなった。
その後谷村建設の谷村繁雄初代社長が政廣の仏像に大きな感銘を受け、「政廣作品だけを集めた展示館を開きたい」との申し出を政廣が快諾したことから、谷村美術館が誕生した。しかもかねてから政廣作品を高く評価していた糸魚川出身の相馬御風と政廣との出会いなども創設を後押した。なお、政廣の出身地熱海市にはもちろん素晴らしい澤田政廣記念美術館が建つ。
設計も建築界の巨匠、文化勲章の村野藤吾、外観も砂漠に立つシルクロードの遺跡イメージ
しかも、谷村美術館の設計もまた、政廣の尊敬する知人でもある建築界の巨匠で文化勲章受章の建築家・村野藤吾が手掛けた。村野藤吾は当時東京の「新高輪プリンスホテル(現:グランドプリンスホテル新高輪」の設計を手掛けており、当時91歳だったが、「手造りの建物として、これを最後にしたい」と依頼を引き受けたという。
仏像彫刻を中心とした10体の政廣作品のためだけに造られ、自然光と人口照明が巧みに組み合され、半円形の部屋・洞窟のような部屋に各作品が展示されている。美術館の外観は、荒涼とした砂漠の中に、シルクロードの遺跡、敦煌の石窟寺を思わせるイメージとして造られている。一直線に伸びる日本風回廊が美術館へと誘っていく。
更に魅力を惹き立てる日本庭園の玉翠園と翡翠園(3㌔程先)、共に造園の権威、中根金作氏(元大阪芸術大学学長)設計・監督、翡翠園に小滝川産コバルトヒスイ70㌧

同美術館に隣接する日本庭園「玉翠園」
谷村美術館創設の2年前に作庭したのが、美術館に隣接する日本庭園の玉翠園で、庭園築山の山間から流れる日本の川が風流な趣を見せる広大で閑静な鑑賞式庭園だ。入口には自然石の大観音像(全長8㍍、約90㌧)が立てられ、庭園の四季のうつろいを一幅の絵画のように室内からも愉しめる。
更に美術館から3㌔程山側に行った同市蓮台寺には1978年に開園したヒスイ原石を配置した本格的な日本庭園・翡翠園がある。敷地面積1万7千㎡で、松林を借景に3つの滝、池、曲水で構成され、巨石などを使用した回遊式庭園。園の正面にはヒスイ原産地の市内小滝川から運んできたコバルト色の70㌧ヒスイ原石が目に入る。なお、翡翠園・玉翠園を設計・監督したのは、造園の権威である中根金作氏(元大阪芸術大学学長)。「昭和の小堀遠州」とも称えられ、「大地に絵を描くように」との思いで作り上げたとのことだ。
糸魚川はヒスイのまちであり、市も「ガーデン・ミュージアム運営協議会」を通して翡翠園や谷村美術館等とも連携して観光振興に努める
さて、糸魚川市と言えば、フォッサマグナでも知られる山岳地であり“石のまち”としてPRする。県の石でもあるヒスイの主産地であることは良く知られる。2009年9月には日本で初めて『世界ジオパーク』の認定を受けた。今年は「ラピスラズリ」が話題になったばかりだ。従って、今回伺った翡翠園・玉翠園・谷村美術館にも随所にヒスイをはじめとする石の文化が脈打っている。
糸魚川市としても観光の観点から、谷村美術館の運営などを進める「ガーデン・ミュージアム運営協議会」にも市内企業のほか同市観光課も参画し、サポート体制を取って貰っているほか、同施設なども市全体の観光イベントなどの施設としても連携を図っている。
「翡翠園・玉翠園・谷村美術館」の秋山伸宏支配人は「以前小学校の校長をしていたが、昨年4月から支配人になった。観光資源としても素晴らしい庭園・美術館である。とにかく文化価値を魅力に変えて全国の多くの人に知っていただきたいし、一流の建築物としても認知度を上げていければと願っている。昨今はインバウンドで外国の皆さんからも、遠くは北海道などからも入館していただいている」とも嬉しそうに話している。
アニメ『瑠璃の宝石』とコラボの「石フェス」でも同美術館で「瑠璃と凪の三時のおやつ」抹茶セット
現在糸魚川市全域を舞台にした「石フェス2026inいといがわ~瑠璃の宝石と出会えるまちへ~」(9月19日~11月30日)を開催しており、人気テレビアニメ『瑠璃の宝石』とコラボした飲食メニュー販売やスタンプラリーなどが実施されている。谷村美術館の喫茶コーナーでもその一貫として「瑠璃と凪の三時のおやつ」(税込み800円、11月30日まで)として勾玉型黒ゴマサブレと宇治抹茶を使用した抹茶セットを提供する。
なお、開園時間は、玉翠園・谷村美術館は9時~16時30分(受付終了16時、火曜日休館・祝日の場合は翌平日)、翡翠園は9時~14時30分(受付終了14時、火曜日・水曜日水曜日休館・祝日の場合は営業、12月から3月までは休園)。なお入園料は玉翠園・谷村美術館大人800円子ども400円。翡翠園大人600円子ども300円。共通券大人1000円子ども500円。

インタビューに応えた同美術館秋山伸宏支配人
竜 哲樹(にいがた経済新聞ライター)