【国内初】新潟薬科大学が豪医学研究所QIMRと提携、熱帯感染症研究の世界的拠点へ

署名した連携協定書(MOU)を掲げる新潟薬科大学の杉原多公通学長(左)と、QIMRベルホーファー医学研究所のダレン・グレイ教授

新潟薬科大学(新潟市秋葉区)は4月27日、オーストラリアのQIMRベルホーファー医学研究所(以下QIMR)との間で、国際共同研究の推進に向けた連携協定(MOU)を締結した。同研究所内に設置されている「熱帯健康・新興感染症センター」が日本の大学と協定を結ぶのは今回が初めてとなる。

QIMRはオーストラリア・ブリスベンに所在する、感染症やがん、免疫学などの分野における国際的な生物医学研究の権威ある機関。今回の協定の主な狙いは、国際共同研究の強化、国連の持続可能な開発目標(SDGs)および世界保健機関(WHO)の目標に沿った研究への参画、研究資金へのアクセス確保、そして研究者間交流を通じた研究能力の強化である。

QIMRベルホーファー医学研究所のダレン・グレイ教授(左)と、キャサリン・ゴードン博士

連携協定書(MOU)への署名を終え、笑顔で握手を交わす新潟薬科大学の杉原多公通学長(左)とQIMRベルホーファー医学研究所のダレン・グレイ教授。右はキャサリン・ゴードン博士

同日、同大新津キャンパスの学長室で行われた締結式には、杉原多公通学長、研究推進責任者を務める医療技術学部のマルセロ・オータケ・サトウ教授、QIMRのダレン・グレイ教授、キャサリン・ゴードン博士らが出席した。

両機関の協力関係には、30年以上にわたる歴史的背景がある。サトウ教授とグレイ教授それぞれの恩師がかつて同僚として共同研究を行っており、現在の両教授は「第2世代」の研究者としてその絆を受け継いでいる。この世代を超えた信頼関係が、今回の組織間における正式な提携へと発展した。

共同研究の焦点の一つは、熱帯地域で課題となっている住血吸虫症などの寄生虫疾患である。グレイ教授は「住血吸虫症はかつて日本でも流行していたが、それを根絶できたことは一つの成功例(サクセスストーリー)だ」と指摘した上で、「日本での教訓を、現在も蔓延している世界の他の地域に持っていくことができる」と述べ、日本が持つ知見を世界の保健課題解決に生かす重要性を強調した。

30年前の恩師たちの絆を受け継ぎ、次世代の共同研究を牽引(けんいん)するグレイ教授(左)とサトウ教授(右)。中央はゴードン博士

新潟薬科大学とQIMRによる連携協定締結式の出席者一同

新潟薬科大学が海外の医療研究機関と連携協定を結ぶのは、米国、ブラジルに次いで3例目となる 。杉原学長は、私立大学が研究を推進する意義について「一生懸命頑張っている研究者にスポットライトが当たり、そこを中心に大学が前へ動いていくという、大学が本来持つ動きが実現できる」と語った。また、学生への影響についても「世界で活躍する方々と議論できる環境は、学生にとって非常に良い経験になる」と期待を寄せた。

今後は、物理的な建物に縛られない「ハイブリッド形式」で運営される同センターを拠点とし、情報の共有を容易にすることで、国際的な研究資金の獲得や、エビデンスに基づく政策立案に資する知識ネットワークの構築を本格化させる。

 

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