スマート農業普及目指す 新潟県弥彦村で実証実験、湛水直播など導入

田植え機の自動直進機能を体験する弥彦村の本間芳之村長

新潟県弥彦村で5月11日、「スマート農業実証プロジェクト」の現地実証が行われた。湛水直播によるイネの栽培とスマート農業機器の導入で、村内農家の省力化・効率化を図る。

全国的に農業の担い手不足が深刻化しているが、弥彦村でも20年前と比較し農業経営体が約3割減少し、高齢化も加速。家族経営の農家では管理面積が限られ、さらに近年の酷暑なども追い打ちをかける状況だ。

こうした中で弥彦村はヤンマーアグリジャパン株式会社やアグリノート株式会社などと連携し、「個人生産者でも導入できるスマート農業」の普及を図る事業を開始した。5月11日には村内農家の協力で、湛水直播の実証実験を行った。

水田に直接種を蒔く湛水直播は、農家にとって手間の大きい育苗の作業を省略でき、田植えでも苗の補給などの作業が省けるため、作業時間が削減できる。一方で苗立ちが不安定だというデメリットがあるが、新しい種子コーティング技術を導入してこの課題の解決を図る。また、人工衛星から田んぼを診断するシステムも導入。タブレットからイネの生育状況や健康を観察・分析でき、経験の少ない若手農家の判断を助ける。

11日に行われたスマート農業の実証実験の様子

石井知治さん

実証実験に参加した農家の石井知治さんは「初めて体験した技術ばかりだが、驚くことが多かった。田植え機の操縦や苗の補給が不要な点が非常に楽」だと話す。そして「これからの生育管理や収穫までしっかり経験し、自分の経営や農地条件に合っているのか、そして自分の将来の経営にどう活かすのか、設備投資の計画を判断する材料にしていきたい」と語った。

弥彦村の本間芳之村長は「弥彦の農業は今、大きな転換点に立っている。村内の全耕地の約9割が水田。農家が明日からでも使える実践的な手段を確立することで、担い手不足や事業承継という課題解決の可能性を高めていきたい」と力を込めた。2028年以降、村内全域で技術を普及させることを目指し、同年までの3年間、実証実験を行う予定だ。

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