2021年を振り返る「今年もICT関連企業やコールセンターの新潟進出が相次ぐ」

多くの進出企業が入居するプラーカ

かつて地方自治体の企業誘致といえば、工場誘致のイメージが強いが、昨今はICT企業の開発拠点やコールセンターの誘致を多いようだ。そして2021年も、新潟県と新潟市が誘致を進めてきた、そうした業種の新潟進出が相次いだ。

8月には、生損保やクレジットカードなど金融業界に特化したコールセンター業務を行っているソニアキューブ株式会社(さいたま市)が、新潟駅前のマルタケビル内に熊本に次ぐ2か所目の地方拠点となる「Niigata(新潟)コールセンター」をオープンした。

既存のコールセンターの稼働率が80%近くに達するなか、3都市(他の2都市は新潟市よりも人口規模の大きい都市)を候補に進出先の選定を進めてきたが、「誘致制度が充実していたこと、県や市の担当者が熱心に説明してくれたこと、(さいたま市の)大宮駅から新潟駅まで新幹線で最速1時間10分ほどであることから新潟市に決めた」(堀舘代表取締役)という。

Niigataコールセンターの席数は40で外資系の大手生損保会社の顧客対応を行う。「まずは資料請求の対応、商品説明などを行い、将来は補償内容の確認、契約内容の見直し提案なども行っていきたい」と堀舘代表取締役は話していた。

11月には、TVアニメ「ヤマノススメ」などの作品を手がけたアニメ制作会社、株式会社エイトビット(東京都杉並区)が、新潟市中央区にスタジオを開設した。

同社の地方進出初となる新潟スタジオでは、本社と同様にアニメーション制作の中核となる業務を担う。

新潟を選定した決めては、人口やアニメーション系専門学校の多いことがあるほか、これまでにも数人の新潟在住のアニメーターとの関わりがあったことなどがあったという。同時に、アニメ・マンガに関するイベント「がたふぇす」が開催されていることや、著名なアニメーターや漫画家が昔から多く輩出しているいるなど新潟にはマンガ・アニメ文化の地盤がある点も挙げていた。

なお同社では多様な働き方を実現する取り組みとして、2019年6月からテレワークでのアニメ制作を試験的に開始し、2020年4月からその取り組みを本格化。またコロナ禍の影響から、現在も在宅勤務を続けるアニメーターもいるなど、社外・遠隔での就業環境を構築してきた。

11月にはTVアニメ「ヤマノススメ」などの作品を手がけたアニメ制作会社、株式会社エイトビット(東京都杉並区)が、新潟市中央区にスタジオを開設

12月には、株式会社shabell(シャベル、東京都渋谷区)が新潟駅前のプラーカⅡにサテライトオフィスを開設。

shabellは、学生などが興味ある業界の状況や求められる知識などについて業界のプロから直接メンターとしてのアドバイスを受けることができるアプリ「shabell11」の開発・運営を行っている。新潟のオフィスでは、「(何かに)なりたいがそのために何をしてよいかわからない人と、すでに実現している人のキャリアシェア」(守岡代表取締役)ができるという、このアプリの開発を行っていくほか、オウンドメディアを通じて地場産業の魅力を発信していく。

具体的には、オウンドメディアで燕三条のものづくり、酒蔵、農業などの情報を発信し、アプリ「shabell11」で実際の就職などにつなげていく。守岡一平代表取締役は、「地方には仕事がないと思い、東京などで働く人は多いが、新潟県内でも夢は叶えられることを発信し、こうした人がUIターンできるようにしていきたい」などと話していた。

一方、shabellがオフィスを構えたプラーカには最近、新潟県に進出してきたIT系企業などが相次いでオフィスを構えている。Shabellもこれまで新潟には縁がなかったが、(新潟県と新潟市が誘致を進め、現在、プラーカに新潟支社を構える)イードアから新潟の話を聞いたのがきっかけとなり、新潟進出へとつながっていったそうだ。また県や市が熱心に誘致したことも新潟進出を後押ししたという。

上越新幹線で約90分という東京都のアクセスの良さが注目されている湯沢町にも、新潟県と湯沢町が誘致を進めてきたNHホテルマネジメント株式会社(東京都)が湯沢町にオフィスを開設した。

同社は、宿泊施設運営・運営受託やホテルなどへの人材紹介事業を行っており、10年以上前から湯沢や南魚沼のホテルなどに人材を紹介している。こうしたことから、「湯沢にはたびたびきていて湯沢町には愛着がある」(芳村社長)という。また東京からのアクセスの良さも進出の決め手になった。

湯沢オフィスは同町大字土樽にあり、当面は、会社が購入したリゾートマンションから湯沢オフィスに通う2人が、新規事業である、宿泊施設間で人材融通などを行うことができるアプリの開発・販売を行う予定だ。

そのアプリでは、ホテルのON期(人材不足)とOFF期(客室余剰)の課題克服を図る。

ON期(人材不足)については、スキーシーズン(繁忙期)に人材不足になるスキーリゾートのホテルなどへ、閑散期に入ったホテルなどから社員を出向させるマッチングを行う。

OFF期(客室余剰)では、「一人でビジネスをやっていて、働く場所を問わない人々が増えている。こうした人やワーケーション向けに、宿泊ではなく仕事の部屋として部屋を利用(賃貸)してもらう」(同)という。

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