【記者ノート】ICT技術を駆使しスマート農業に挑む若手農業移住者に農林水産大臣賞、銃による狩猟免許で獣害対策にも!

ドローンによる直播が古岩さんの圃場で行われた

地域農業の後継者不足の中、ドローンなど最新技術を活用

千葉市出身で茂原樟陽高校にて農業を学んだ古岩樹さん(27歳)は、その後自然環境保全の専門学校を経て、2020年に専門学校での知り合いがいた上越市にあるNPO法人かみえちご山里ファン倶楽部にインターン生として上越市にやって来て、同地域の農家で農業研修生として一から水田農業を学んだ。その後同市に正式に移住し、いわゆる若手農業移住者として、同市鍋ケ浦に「うらかぜ農園」を立上げ、本格的な水稲農家としてのスタートを切った。

古岩さんは上越地域若手農業者グループ「ひかり」(高橋伸代表)にも所属し、先輩農家から多くを学んできたことも含め、それまでの農業体験を『中山間農地の後継者として』と題し、第64回全国青年農業者会議(全国農業青年クラブ連絡協議会主催)で意見発表し、最優秀賞の「農林水産大臣賞」に選ばれた。

今回の受賞に古岩さんは「農業研修生として私を受け入れてくれた地元農家の板垣義一さんや、『ひかり』の先輩方など多くの皆さんの支えがあって農業を続けてこれたし、農林水産大臣賞が戴けた」と謙虚に語る。

 

専門学校時代に狩猟のための銃免許取得

今、上越地域含め全国的にもイノシシやハクビシンなどによる獣害が深刻化している。古岩さんも専門学校時代に狩猟における銃などの免許を取得し、獣害対策にも強い関心を持ってきた。

現在はくびき野猟友会に所属し、行政と連携しながら、要請があれば農作業の合間を見て、毎週ではないものの土日には出動、昨年は2頭のイノシシを捕獲したと言う。イノシシから水稲を守るため発信機の付いた括り罠などの設置活動も行っている。

 

中山間地では水田手放す農家も増加

古岩さんは比較的海に近い同市丹原や高住などの地域の水田で、約8ヘクタールを耕作している。同地域は昭和40年前後、県営パイロット事業として先駆的に圃場整備が行われたものであり、現在は谷浜土地改良区の管理下にある。

同地域もそうだが、中山間地域ほど耕作放棄地が広がり、農業後継者不足が深刻だ。古岩さんは「私から見れば、素晴らしい圃場や棚田が広がっているものの、最近は高齢化や過疎化で水田の管理が生き通らず、手放す農家も多い。借り受けた水田はドローン等のICT技術で省力化し、出来るだけ条件のいい水田だけはしっかりと管理・維持するとともに、若手の人達にも声を掛けて後継者不足に応えていきたい」とも語る。

独立してまもないが、専門学校時代の同級生を雇用し、鍋ケ浦で購入した自宅でシェア生活を送っている。

古岩さんは今年から昨年までの4ヘクタールから2倍の面積を耕作している。特に現在4月半ばからは水田の田起こしや代掻き、ドローンによる直播、水管理と続き、その後も追肥、害虫への農薬防除、除草と連日の忙しいスケジュールをこなしている。

参加する若手農業者グループ「ひかり」の先輩達からドローンによる直播技術も教えてもらい、順調に農作業を続けている。古岩さんは「ドローンは種苗の直播だけでなく、その後の追肥や農薬散布、除草剤などあらゆる部分で活躍出来、人手不足やコスト面などで大変役立っており、欠かせない」とも話す。

一昨年初めてコメを出荷したが、採算面では「中山間地直接支払いや多面的機能などの補助金には助かっているし、コメ以外の特産のダイコンやシソ、トウモロコシなどにも取組んでいる」とのことだ。なお、冬場の仕事としては高齢者世帯の多い地域でもあることから、冬季の雪下ろしもけっこう忙しいとも言う。

 

竜哲樹(にいがた経済新聞ライター)

 

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